■感染研BSL4施設(武蔵村山庁舎)の稼働への動きをめぐる2つの要望書          

当センター

 

 昨年(2014年)の1117日に塩崎厚労大臣は国立感染症研究所の村山庁舎にある「高度安全実験施設(BSL4施設)」を視察したあと、武蔵村山市の藤野勝市長と会談し、「エボラ出血熱への対応は日本でも国際社会でも喫緊の課題であり、国内で患者が発生した場合は実験施設の活用が不可欠だ」と述べ、全面的な稼働に向けて協力を求めた。これに対し藤野市長は「稼働にあたっては国の責任で万全の安全対策を講じ、市民の理解を得ることが大前提だ」と述べ、今後、安全対策などを協議していくことになった。

 会見した藤野市長は「考え方を方向転換したわけではない」と前置きした上で、「国が万全の安全対策を講じることと、市民の理解を得ることを大前提として、協議を始めることを了解した」と述べた。協議に当たっては、施設の管理体制や安全対策を調査する第三者を入れた組織を設置することを要望したという。厚労省は今後、周辺住民に向けた説明会や見学会などを行い理解を深めてもらうとともに、稼働を目指して市と協議を始める意向であるという。

 当センターは、周知のように現状では病原体等実験施設の規制に関する法がほとんど整備されていない我が国でのBSL4施設の稼働には反対しているので、エボラ出血熱の大流行の時機に乗じてBSL4施設を稼働させようとするこうした動きを牽制する意味で、塩崎恭久厚生労働大臣と渡邉治雄国立感染症研究所所長ならびに藤野勝武蔵村山市長に宛ててそれぞれ別個の要望書を配達証明付郵便で送付した。以下の①と②がそれらの要望書の全文である。

 

                                            

塩崎厚生労働大臣と渡邉治雄国立感染症研究所所長宛の要望書

                                            

201522

厚生労働大臣 塩崎 恭久 様

国立感染症研究所所長 渡邉治雄 様

                     バイオハザード予防市民センター

                      代表幹事 新井秀雄 臼田篤伸

                      連絡先:〒260-0802

千葉市中央区川戸町308-10(長島方)

電話043-266-2495

 

「国立感染症研究所村山庁舎BSL4施設を稼働しないこと」を求める要望書

 西アフリカにおけるエボラ出血熱の感染者の拡大を受け、政府・厚生労働省は、国立感染症研究所(以下、「感染研」)村山庁舎のBSL4施設の稼働に向けて、地元自治体と協議を進めていると聞き及びます。

 このことについて以下、要望させていただきます。

 

【要望内容】

1.エボラ出血熱など病原体の早期診断、侵入防止と施設稼働は直接の関係は無く、公害の予防原則と住民の生命の権利を最大限尊重する立場から、感染研村山庁舎のBSL4施設は稼働しないこと。

2.前項「要望内容」、下記の「要望の理由」に対するご回答・ご見解を、2015227日までに文書でお示しいただくこと。

 

【要望の理由】

1.政府、感染研は、安全神話(HEPAフィルタ、キャビネット)に依拠し、施設の立地・欠陥を無視している

政府、感染研は、「感染症法」「感染研安全管理規程」を遵守し、HEPAフィルタ(注1)、バイオハザード対策キャビネット(以下「キャビネット」と言う)などを適切に使用しておれば、バイオ施設から病原体が漏れるなどして周辺に生物災害(バイオハザード)が発生する可能性はないから、BSL4施設を含めて人口密集地に立地しても何ら問題ないとする立場(いわゆる「HEPAフィルタ・キャビネット安全神話」)である。(注2)

そうであれば、そもそも感染症法や安全管理規程には平常時非常時を問わず「バイオハザードゼロ」を保証するに相応しい規定がなされ、感染研では「責任ある管理」がなされていることを立証し説明責任を果たす義務が政府、感染研にはある。

 しかし、政府、感染研はそうした義務を果たすことを怠ってきたし、感染症法や安全管理規程は「バイオハザードゼロ」を保証するにはほど遠い内容である。

 

(注1)     HEPAフィルタは「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上を捕集する」性能を持つが、610mm角のフィルタで直径6mmの穴があっても検査に合格するものであり、穴の有無をチェックする「走査試験」(最大透過率0.01%を超えないこと)も直径0.25mm(250μm)の穴を許容するものである。(JIS K 3800 解説より)

(注2)     国立医薬品食品衛生研究所(P3施設)は府中市への移転が閣議決定されていたが、施設の立地などで住民から異議申し立てが行われる等の経緯もあり、移転先が川崎市の京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区内に変更したという事例もある。

 

2.情報開示文書から、感染研において「責任ある管理」は行われていないのは明らか

当市民センターでは、2013年度、法に基づき感染研に対し安全管理(主に戸山庁舎、村山庁舎)にかかわる文書の開示請求を行い、開示された文書内容を検討し、それを踏まえて感染研と文書による質疑応答も2回行った。

 その結果、以下のことが明らかになった。

  キャビネットのHEPAフィルタについて、法で定める技術基準(JIS K 3800)に従って厳密な現場試験が行われている根拠はなく、かつ技術基準に適合しない不良品が多数あるなど、技術基準を無視した管理が横行している。また現場試験は外部の業者に丸投げである。

  安全管理規程第1条の「感染研における病原体等に起因して発生する曝露及び感染症法に基づく事故の未然防止を図ること」という目的を達成するために設けられた4つの委員会(同第7条)がキャビネット、HEPAフィルタの管理(技術基準を含む)について無関心でありかつ必要な知見を有していない。

  建築、建築設備、実験機器・器具類の経年劣化が進んでいる。

つまり、感染研において、「責任ある管理」は行われておらず、周辺の住民は基準に基づく性能が確認されないHEPAフィルタを通過した実験室排気を一年中、「再利用」させられてきたことになる。

 

3.BSL4施設を発生源とする甚大なバイオハザードの可能性がある

 

こうした現況の杜撰な管理が放置されたまま、さらに原発と同様の根拠のない「安全神話」に依拠した

まま、BSL4施設を稼働すれば、BSL4施設を発生源とする取り返しのつかない甚大なバイオハザードを周辺にもたらす可能性がある。

 

4.エボラ出血熱の診断は、BSL3施設以下で実施できる検査体制が確立している。BSL4施設稼働とエボラ出血熱の早期診断、侵入防止は直接の関係はない。

 

一方、エボラ出血熱を含むBSL4病原体による感染症の診断は、BSL3以下の施設で実施できる検査体制がすでに確立されている。

侵入を阻止する柱は侵入門戸での検疫であり、BSL4施設の稼働と病原体の侵入防御とは直接関係ないものである。侵入門戸にある検疫施設に病院機能も併設させるなど侵入阻止のための総合的な体制こそ肝要である。

ということはBSL4施設稼働の目的は、早期診断や侵入防止とは関係のない基礎研究を行うことに他ならない。

5.BSL4病原体の基礎研究は、流行現地で国際的な協力の下に実施されるべき

 

 結局、BSL4施設稼働の目的は、BSL4病原体を生きたまま(増殖しうる状態で)施設内に持ち込み、増殖実験、動物感染実験、遺伝子組換え実験等々の各種実験を日常的に行うためであることに他ならない。本来、BSL4病原体の基礎研究は、流行現地で国際的な協力の下に実施されるべきと考える。世界各国に生きたBSL4病原体を移送して実験研究をすることはかえってバイオハザード発生の機会を増加させ、バイオテロの可能性も危惧される。

 

6.日本学術会議は自らの提言を見直し、再検討すべき

 

日本学術会議は2014320日付の提言「我が国のバイオセーフティレベル4(BSL-4)施設の必要性について」で、BSL4施設の建設、稼働を求めているが、バイオ施設の立地条件の重要性、住民が異議申し立てを行ってきた理由、感染症法の課題などについてあまりにも無知・無関心な内容である。当センターは2014828日付け意見書で詳細に反論し、提言の見直し再検討を求めた。

意見書の詳細は当センターホームページ(http://www.biohazards.jp/)を参照いただきたい。

以上

                                             

藤野勝武蔵村山市長宛の要望書

                                            

2015212

武蔵村山市長

藤野 勝 殿

要 望 書

バイオハザード予防市民センター

http://www.biohazards.jp/

代表幹事 新井秀雄

同  臼田篤伸

連絡先:千葉市中央区川戸町308-10長島方

TEL&FAX:043-266-2495

 

 塩崎厚生労働大臣と藤野勝市長は昨年11月17日、武蔵村山市役所で面会し、エボラウイルス感染の確認調査を行っている国立感染症研究所村山庁舎内にある、国際基準で最も危険度の高い病原体を扱う高度安全実験施設(BSL4)を稼働できるよう協議を進めることで合意し、1128日には市長より大臣あて要望書(「国立感染症研究所村山庁舎に関する要望について」)を提出されたと伺っております。

 私たちは、武蔵村山市が1982年からBSL4施設の実験停止状態の継続と当該施設の移転を強く求めてこられたことを高く評価しております。

 その立場から、以下のことを要望させていただきます。

 

【要望内容】

 BSL4施設の稼働を厚労省と協議するにあたり、今までどおり「BSL4施設実験停止状態の継続」の立場を堅持されるとともに、厚労省、国立感染症研究所に対し、以下の立場を前提とされるよう要望させていただきます。

  公害の予防原則と住民の生命の権利を最大限尊重する立場にあること。

  地方自治の本旨に照らし、当事者(自治体、住民)がBSL4施設の稼働に伴う安全性を評価し、稼働の可否を決定する権限があること。

  それ故、厚労省、国立感染症研究所には、BSL4施設がバイオハザード(生物災害)の発生源とならないという「明確な根拠」を示し、それにかかわるすべての安全情報を開示するとともに当事者への説明責任を果たす義務があること。

 

【要望の理由】

1.1980年代から全国で、バイオ施設の稼働に多くの住民が異議申立をしてきたのは次のような理由によります。

 

(1)バイオ施設そのものがバイオハザードの発生源となる潜在的な危険性があること。すなわち施設の立地が重要であり、少なくとも人口密集地への立地は認められない。

(2)バイオハザードは以下のような特徴を有し、その被害が甚大かつ深刻であるにもかかわらず、本来尊重されるべき「予防原則」が軽視されている。
 ・バイオハザードの原因を迅速に確定することは困難である。

 ・排出された病原体は、一定の条件のもと、増殖の可能性を持ち、さらに二次、三次感染の可能性を持つ。

 ・不顕性感染による病原体の一層の拡散の可能性がある。

 ・とりわけ発生の初期には因果関係がわからず被害だけが悪化、拡大する可能性がある。

 ・リスクの定量的な把握は困難である。

(3)バイオハザードを防止するための施設の立地要件、耐震安全性などに関する法制度が未整備である。

(4)施設内での杜撰な安全管理の実態がある

 

2.これらの状況は、改正感染症法、カルタヘナ法が整備された現段階でも変わることはありません。テロ対策を理由に、情報の管理、監視に重きが置かれ、中央政府と地方自治体との対等な連携や住民への安全情報の公開は保障されてはいません。

 

3.当センターは、日本学術会議が提言(2014320日)「我が国のバイオセーフティレベル4(BSL-4)施設の必要性について」でBSL4施設の新設などを求めたことに対して、意見書(2014828日付、添付書参照)で、

  バイオハザードの予防原則と住民の生命の権利が最大限尊重されねばならないこと、

  今現在あえて国内でBSL4施設を新設し、稼働することは全く不必要であること、

を指摘し、提言内容の見直しと再検討を要望しました。

 

4.国立感染症研究所の安全管理の実態などを踏まえて、厚生労働大臣、国立感染症研究所長あて、「国立感染症研究所村山庁舎BSL4施設を稼働しないことを求める要望書」(201522日付)を提出(添付書参照)し、村山庁舎のBSL4施設の稼働と、エボラ出血熱の早期診断、侵入防止は直接の関係は無いこと、BSL4病原体の基礎研究は、流行現地で国際的な協力の下に実施されるべきであることを指摘しました。

 

以上

 

添付書

・厚生労働大臣、国立感染症研究所長あて、「国立感染症研究所村山庁舎BSL4施設を稼働しないことを求める要望書」(201522日付)

・日本学術会議提言(2014320日)「我が国のバイオセーフティレベル4(BSL-4)施設の必要性について」に対する意見書(2014828日付)


■高浜原発運転差止仮処分判決とバイオ施設                   

川本 幸立(幹事・建築技術者)

 

●はじめに

 

人口密集地に立地し、日本最大の病原体実験施設である国立感染症研究所戸山庁舎(感染研、東京都新宿区)について、周辺住民や隣接する早稲田大学教職員らが、病原体の漏出による感染被害(バイオハザード)の「予防」を求めて「人格権」に基づきP2,3実験の「差止め」を求めた裁判(19893月東京地裁に提訴)で、裁判所は、バイオ施設の潜在的危険性と被害が生じた場合の甚大さを認める一方、①司法判断に予防原則は適用できない、②具体的な危険性が存在するという立証責任は住民側にある、③住民側が指摘した具体的な問題点(杜撰な施設管理と事故の実態、耐震性の不足、病原体を含む実験室排気の周辺住民による再利用、WHO基準(立地など)違反など)の事実認定・評価を避ける一方、感染研側の言い分を全面的に採用し、直ちにバイオハザードの具体的な危険性があるとは言えない、などとして、「差止め」を棄却しました。(東京高裁判決、20039月)

つまり、人格権侵害による差止請求の可否について、「従来の伝統的な裁判例による判断の枠組み」を踏襲したものです。

 

 本報告は、この感染研裁判の判決内容を、「司法は生きていた」と評価されている原発運転差止めをめぐる2つの判決内容と照らし合わせ、改めて感染研裁判判決の問題点を再確認し、司法によるバイオ施設の安全性評価のあり方について指摘するものです。

 

●福井地裁の2つの差止め判決の意義

 

2015414日、福井地方裁判所(福井地裁、樋口英明裁判長)は、関西電力に対し、高浜原子力発電所(高浜原発、福井県大飯郡高浜町)の「3、4号機の原子炉を運転してはならない」と、運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しました。

 

 この仮処分決定、及び同じ裁判長による福井地裁2014521日の大飯原子力発電所(大飯原発、福井県大飯郡おおい町)運転差止判決の意義については、日本弁護士連合会の会長声明や脱原発弁護団全国連絡会が指摘しています。この中から、バイオ施設に関係する項目について整理すると以下のことが挙げられます。

 

(1)人格権は憲法上の権利、人の生命を基礎とする。わが国の法制下でこれを超える価値を見出すことはできない。原発の稼働は法的には電気を生み出す一手段である経済活動の自由に属し、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位におかれるべきだ。

 

(2)自然災害や戦争以外でこの根源的な権利が極めて広範に奪われる事態を招く可能性があるのは原発事故以外に想定しにくい。具体的危険性が万が一にでもあれば、差止が認められるのは当然である。

 

(3)原発をめぐる「従来の司法判断の枠組み」からではなく、技術の危険性の性質やそれがもたらす被害の大きさが判明している場合は、裁判所の判断が及ぼされるべきだ。

 

(4)「従来の司法判断の枠組み」とは、裁判所は、規制基準への適合性や適合性審査の適否の視点から、行政庁や事業者の提出する資料を慎重に評価せず、行政庁の科学技術的裁量を広く認めてきたことであり、安全性の欠如について住民側に過度の立証責任を課したことで、行政庁や事業者の主張を追認する結果となり、適切な判断がなされたとは言い難かった。

 

(5)その上で、原発の特性、冷却機能の構造の細部に検討を加え、当該原発に係る安全技術及び設備は万全ではなく、むしろ確たる根拠のない楽観的な見通しの下に初めて成り立ちうる脆弱なものであり、実験差止めを認めた。安全審査の前提となる新規制基準が合理性を欠くと判断したこと。

 

●司法によるバイオ施設の安全性の評価のあり方

 

前項を踏まえ、バイオ施設の安全性の評価のあり方について考えてみましょう

 

(1)バイオハザードの具体的危険性が万が一にでもあれば差止めを認めるべき

感染研裁判確定判決は「ひとたび病原体等が外部に排出し、漏出等されるような事態が発生すれば、その病原体等の病原性、感染力、漏出量及び伝播の範囲などの条件如何によっては、最悪の場合には回復が事実上極めて困難な甚大な被害を招来する危険性があることは何人も否定できないであろう」とし、「感染研においては、病原体等漏出等による感染の具体的な危険性が絶対に発生しないよう、あらゆる万全の施策を講じてこれを未然に防止しなければならず、平素からこれらを確実に実践するよう努めるべきことはいうまでもない。当裁判所としては、このような観点から、感染研に対し、諸設備・機器の厳格な点検実施、最新の設備・機器の設置・更新、徹底した安全管理体制の構築及び適宜の見直し等、安全確保のための諸施策の遵守と実践を改めて強く要請するものである」とあります。

この判決文から言えることは、バイオハザードは、原発事故に準ずる被害を生む可能性があるもので、万全の施策を講じて未然防止に努めねばならないというものです。

したがって、具体的危険性が万が一にでもあれば、差止が認められるのは当然ということになります。

 

(2)「従来の司法判断の枠組み」ではなく、「最高の科学的知見」を基準に判断すべき

しかし、感染研裁判判決は、肝心の「万全の施策を講じているかどうか」について「従来の司法判断の枠組み」を採用し、その結果、感染研の主張を追認してしまいました。

当初、高裁は「本件は科学裁判だから最高の科学水準で安全対策を検討すべきではないか。その立場から見ると国のこれまでの主張は不十分。資料は国にあるから主張を補充せよ。高裁は最新の科学的知見を基準にして臨みたい」(2002220日)と住民側の立脚点に立った訴訟指揮を行い、結審後もさらには、住民側と国側の代理人を呼んだうえ、「国の主張は科学裁判としては不十分。また、住民側が提出した証拠に理解できないものがあるので分かりやすく解説したものを出して欲しい。716日に審理を再開し、当日結審する」と伝えてきました。(2003521日)

このように国に対して二度も「主張が不十分」と示したにもかかわらず、高裁は、感染研の危険性は「抽象的、一般的な危険性にとどまる」としたうえ、「研究所の公共性や公益性を考慮すれば、危険性は受忍限度の範囲内」と結論づけてしまいました。

(参考:「国立感染研は安全か」緑風出版)

福井地裁の2つの差止判決と同じく、「最高の科学的知見」を踏まえて人格権の尊徴の立場から司法としての厳格な判断が求められます。

おわりに

 

エボラ出血熱問題をきっかけに、P4施設の稼働、設置が焦点となりました。

この問題についても、立地、耐震性など安全性評価について、福井地裁の2つの差止判決から私たちは大いに学ぶ必要があります。

なお、耐震性については、紙面の関係から省略しました。別の機会に触れたいと思います。


2014年度の開示文書(戸山庁舎・村山庁舎)分析報告

~国立感染症研究所はBSL4施設を稼働できるほどの「責任ある管理」を相変わらず既存の施設で行ってはいない!

川本幸立(幹事・建築技術者・電気管理技術者)

 

はじめに

 国立感染症研究所(以下「感染研」という)の村山庁舎(東京都武蔵村山市)には1981年に建てられたBSL4施設がありますが、地元住民、議会の反対でBSL4実験を行えずにきました。しかし、西アフリカでのエボラの流行を受けて、今年83日、武蔵村山市長は「稼働やむなし」と方針転換を表明しました。この問題に関しては当センターも、厚労大臣、感染研所長、武蔵村山市長あて要望書を提出してきたところです。(会報90号参照)

「そもそも、感染研ではBSL4施設を稼働できるほどの「責任ある管理」を既存のBSL2,3施設で行っていない」ことを、文書開示請求により感染研から入手した主に2012(H24)年度、2013(H25)年度の安全管理に関わる文書(各年度4千枚前後)の分析結果を踏まえて明らかにしてきました。(会報83号、90号)

 この度、2014年度について下表の文書を入手、検討しましたので以下に概要を報告します。

表・国立感染研開示文書(2015630日請求・同731日開示決定通知書)

番号

文書名

請求結果

枚数

不開示理由

351

特殊建築物等定期調査報告書(H24-26年度)村山庁舎

一部不開示

67

 

352

同戸山庁舎

一部不開示

49

 

353

バイオリスク管理委員会議事録(H26年度)

不開示

 

文書を保有しない

354

バイオリスク管理運営委員会(H26年度)

不開示

 

文書を保有しない

355

病原体等取扱安全監視委員会議事録(H26年度)

開示

4

 

356

高度封じ込め施設運営委員会議事録(H26年度)

不開示

 

文書を保有しない

357

H26年度冷却塔の冷却水水質・レジオネラ属菌類調査結果書(戸山庁舎)

一部不開示

4

 

358

H25-26年度冷却塔の冷却水水質・レジオネラ属菌類調査報告書(村山庁舎)

一部不開示

9

 

359

H26年度高度安全実験室点検報告書(村山)

一部不開示

187

 

360

事故記録(H26年度)村山・戸山庁舎

一部不開示

9

 

 

329

 

 

1.経年劣化が進行し、防火・避難施設不備が多い村山庁舎(351)・戸山庁舎(352

特殊建築物等定期調査報告書から紹介しましょう

なお、外構図、平面図の平面プラン部分はすべて「黒塗り」で「公開」されました。

①村山庁舎(24棟、延べ床面積25818㎡、地上MAX6階、竣工S56~H24年)

・防火区画(遮煙性能、防火戸)、避難施設(排煙設備、非常照明、避難経路)に是正箇所多数。

8号棟(BSL4対応)では7号棟との区画防火戸が固定開放されていた。

6号館(RC造、地上6階、H14年竣工、鳥インフル)の外壁にクラックあり調査要。

 

②戸山庁舎(延べ床面積31699㎡、地上7階・地下2階、竣工H4年)

・研究棟、共用棟は地震の影響と思われる斜めクラック等が顕著に認められる。

(川本注:2011年の震災?でどの程度の地震動だったのか?)

・打継目地シールに欠損部分があり、漏水の危険性あり。

・共用棟3階の高天井の軽量鉄鋼下地は、2011年震災後改訂された新基準には対応していない。

 (川本注:阪神淡路大震災後の1996年に策定された「官庁施設の総合耐震計画基準」(既存施設にも適用)には、天井材など建築非構造部材の耐震基準(病原菌類の管理の上で、支障となる損傷、移動等が発生しないこと)が定められたが、これすら感染研は無視してきた。)

・防火区画(貫通部処理、遮煙性能、防火戸)や避難施設(排煙設備、非常照明、避難経路)の是正箇所多数、消防点検指摘事項(研究棟などの防火ダンパー固着不良など)多数あり。

・建築設備面では全般的に経年劣化による不良が発生しており、優先順位を加味した計画的修繕が望まれる。

 

2.4つの委員会は機能不全?!開催されたのは「病原体等取扱安全監視委員会」だけ。(353356

 

 感染研には安全規程第1条(目的)「感染研における病原体等に起因して発生する曝露、及び感染症法に基づく事故の未然防止を図ることを目的とする」に基づき、バイオリスク管理委員会(規程第8条、直近の開催はH24年度)、高度封じ込め施設運営委員会(同9条、同H23年度)、バイオリスク管理運営委員会(同10条、同H20年度)、病原体等取扱安全監視委員会(同11条、同H24年度)の4つの委員会がありますが、2014(H26)年度は病原体等取扱安全監視委員会が戸山庁舎1回(30分)、村山庁舎1回(1時間15分)、ハンセン病研究センター1回(45分)だけでした。

 2013年度の同委員会の議事録では、停電時のバックアップ電源の確保の有無をめぐって、「バイオセーフテイあるいは病源体委員会の方で、少なくとも来年度までに検討いただくという事にする」と委員長の発言が記録されていましたが、2014年度はそれに関係するものは一つもありません。

 なお5項で紹介する事故報告書はバイオリスク管理委員会あて提出されています。しかし、委員会は開催せず、持ち回りで審議をしたようです。

4つの委員会すべてが機能不全状態にあるといえるでしょう。

 

3.冷却塔冷却水のレジオネラ属菌類調査(357358)~指針違反?ずさんな村山庁舎

 

 1997618日に感染研戸山庁舎を査察したコリンズ博士(WHOマニュアル統括編者)とケネディ博士(同分担執筆者)は、査察報告書の中で、屋上の空調冷却装置が微生物で汚染されていることを発見し、周辺でのレジオネラ菌発生の危険を警告しました。(「バイオハザード裁判」緑風出版、p.148

厚生労働省の告示第二百六十四号「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(H15年)には、「空気調和設備の冷却塔を発生源とするレジオネラ症は、国内では報告例は少ないが、海外では数多くの集団感染事例が報告されており、感染源として重視する必要がある。冷却塔からの排気に含まれるエアロゾルは、外気取入口や窓を介して屋内に侵入し、又は、地上に飛散することから、冷却塔の設置又は修繕を実施する場合は、エアロゾルの飛散を抑制するための措置を講ずる必要がある。」と記されています。

 戸山庁舎、村山庁舎は人口密集地にあり周辺は老人施設、障碍者施設、幼児や老人が過ごす公園、住宅地があります。冷却塔からの排気がこれらの施設などで過ごす人々に再利用されていると考え対応しなければなりません。

 指針では冷却塔水に「100CFU/100ml以上のレジオネラ属菌が検出された場合には、直ちに菌数を減少させるため、清掃、消毒等の対策を講じる」とし「対策実施後は、検出菌数が検出限界以下(10CFU/100ml未満)であることを確認する」とあります。

ところで、村山庁舎では、H24年度は6号棟の2か所の冷却塔しか調査しておらず、それぞれ280560CFU/100mlの検出がありながら、H25年は調査をしていません。H24年度の報告書の所見では「レジオネラ属細菌再検査の実施を推奨いたします」とありますが実施した形跡がありません。26年度は8か所の冷却塔の循環水について各1回検査していますが、内6か所で100CFU100ml以上のレジオネラ属菌が検出されています。しかし、報告書の「担当者コメント欄」には何一つ記載もなく、指針に定める「対策実施後の再検査

の報告書は存在しません。

 一方、戸山庁舎は4か所の冷却塔について26年度は各2回検査し、いずれも検出限界以下です。報告書には検出された場合の対応、所見も明記されています。

 

4.村山庁舎8号棟(BSL4対応施設)の設備の現況は?(359

 

 BSL4室が3室ある8号棟には、グローブボックスライン29台、バイオハザード対策用キャビネット6台、パスボックス4台、遠心機7台、インキュベータ4台があります。

①報告書では以下のことが指摘されています。
事故の未然防止のために交換周期の遵守など迅速な対応が求められます。

・グローブボックス:10台のグローブボックスで給気バルブ内側パッキンにひび割れが見られ、密閉度が保てなくなる可能性がある。

・バイオハザード対策用キャビネット:HEPAフィルターが交換周期である5年を経過し、このまま使用し続けた場合、ろ材と枠を固定しているシール材が劣化しクラックが発生しリークが起こる可能性がある。また排気ファンモータ(6台)、給気ファンモータ(6台)も交換周期5年を経過しており、故障した場合、キャビネットは使用不可となる。

②何に基づき現場試験を行ったのか、試験方法に妥当性があるのか不明である。

・たとえばグローブボックスの「HEPAフィルタの透過率は0.3μm粒子で0.01%以下」とあるが検査方法の詳細、その妥当性が不明である。グローブボックスはどういう基準に基づき製作されたのか?

・バイオハザード対策用キャビネットも同様。JIS規格品なのかどうか不明。HEPAフィルタの塵埃対象径は0.30.5μmに限定すべきではないか。

 

.なくならない注射針刺し事故(360

 

 2014年度は村山庁舎で「4号棟2階処置室の安全キャビネット内でHTLV-1感染ヒト化マウスの腹腔内に麻酔注射を行った後、注射器にリキャップしたところ左手の親指に針刺しをしてしまった」という注射針刺し事故が起きています。詳細の評価は新井代表に委ねるとして、注射針刺し事故をゼロにすることはなかなか出来ないようです。

ところで、感染研裁判で感染研側が東京地裁に出した書証(乙23号証)に感染研の幹部研究者たちが執筆した「バイオハザード対策ハンドブック」(編集:大谷明・内田久雄・北村敬・山内一也、近代出版、1981)があります。その21頁に次のような記述がありました。

「注射針による事故はよく起こるが避けがたい。最も高度なⅢ型安全キャビネットを使用していても、注射針がゴム手袋を通して手指を刺すことがある。最近英国のP4実験室でこのような事故でエボラウイルス感染が起こった」

同様な事態が村山庁舎で起こらないとも限りません。

以上

 

 


2014年度感染研の事故報告を読んで                     

新井秀雄(代表幹事)

 

 当会の川本幹事が2014年度の感染研の管理運営の実態に関して情報公開を請求し、沢山の資料を入手して緻密に検討されました。その内容は既にこれまでの本誌等にも報告が掲載されています。ここでは、感染研事故報告の中で特に「針刺し事故」について感じたことを記してみます。

 201485日、感染研の武蔵村山庁舎の4号棟2階処置室(感染実験動物の取扱室)において、ウイルス性の白血病の原因体であるヒトT細胞白血病ウイルス1型の感染動物(マウス)に麻酔薬を注射した後で、その注射器の針にプラスチック製のキャップを被せる操作の時に左手親指に刺してしまった。直ちに、刺し傷から血液を絞り出し、流水洗浄と消毒用アルコール塗布の応急処置をした、というものです。目視にてマウスの注射部位からの出血は見られなかったことから、この針刺し事故によって感染動物から大量のウイルスが実験者の体内に入ったとは考えられなかったと記載されています。

 この針刺し事故に関していろいろ問題点があります。まず、このような針刺し事故が毎年のように起こっている、つまり事故を防ぐことが未だにできていません。感染実験動物へ注射したあと、注射器の針に手指で再度キャップをすることは厳禁されているにもかかわらず、多分無意識にしてしまったようです。感染研で毎年実施されているはずのバイオハザード防止のための安全講習会の意義が疑われてしまいそうです。しかも、この時に同室者がいたにもかかわらず事故は避けられなかった。感染の危険性がある実験には、同伴者の相互監視体制が要されていますが、実態はあいも変わらず無視されているようです。この事故によって、事故者が感染したかどうかは、後の経過、とくに抗体検査が必須ですが、この検査は対照としての感染前の状態の血清が必要です。そのためには、事故時に直ちに本人の採血と血清分離・保存が必要ですがそれが実施された報告の記載がありません。本人の血清は、前々から既に保存されていたからその必要はなかったのかもしれませんが、確認記載はありません。翌年(2015年)の26日の検査では、16倍未満の抗体価となってます。ただし、この検査は何故か外部の検査機関にてなされたものが一回のみであり、この間の抗体推移等を追跡した記録はありません。バイオハザードの観点からは、2次感染のチェックは重要ですが、家族、同僚等についての疫学的検討の記載はなく、当初からその可能性は無視された印象です。

 今年のエボラ出血熱流行を巡って、本邦でもついに感染研武蔵村山のBSL4(P4)施設の実質稼働が画策されてきました。旧来の「グローブボックス方式」施設で感染被疑者の検体を動物に注射してウイルス分離を試みることがなされた場合、陰圧下での厚手のゴム手袋を介した動物実験は、バイオハザードの危険性が強く憂慮されます。情報公開と監視がますます大事となります。

 


■シンポジウム「新たなバイオハザードの危険性」(201626日)報告②    

長島功(幹事)

Ⅱ.第1部

 

「武蔵村山感染研施設で何が行われているか」と題した第1部では、次の4つの報告がなされ、その後それに基づいて質疑(本稿では省略)が行われました。①「バイオ時代の感染症」(新井秀雄当センター代表幹事)、②「WHO指針とバイオ事故」(長島功当センター幹事)、③「バイオ施設の管理の実態」(川本幸立当センター幹事)および④「現地からの報告」(須藤博武蔵村山市議)。これらの報告内容の概要を以下に提示します。

 報告①「バイオ時代の感染症」では、冒頭に述べましたように、現代(約50年前から現在まで)をバイオテクノロジーと新興再興感染症の時代ととらえて、ちょうど3年前に起きた西アフリカでのエボラ出血熱の大流行とそれにともなう感染研BSL4施設(武蔵村山庁舎)の稼働の決定ならびに新たなBSL4施設の新設の動きを取り上げて、大要次のような指摘がなされました。エボラ等の国際感染症の国内侵襲を阻止するために第一にやるべきことは検疫を強化することです。万が一感染者が国内に入った事態に備えてワクチン開発や治療法等の研究を行うBSL4施設を稼働・新設することが現在の政府や医学界の考えですが、そうするためには感染者から当該ウィルスを分離するか、そうでなければもともと国内に存在しない危険な病原体を国外から持ち込むことになります。しかし、そうした場合にはそれらの病原体の研究施設の外部への流出とバイオテロへの利用という2つの危険性が増すことになります。政府と医学界は日本もBSL4施設を複数稼働させて感染症との闘いに国際的な貢献をする必要があることを一様に強調しています。しかし、報告者によれば、「エボラ熱(風土病の性状)のような国際伝染病に関わる研究等は、流行現地での国際協力によってなされるべき」ものです。

 報告②「WHO指針とバイオ事故」では、これまで起きた実験室内感染は「1890年代以来、約5000件発生し、そのうち少なくとも200名の実験者が死亡した」という(コリンズ&ケネディ『実験室感染』1999年)。また実験室外感染の例は少ないが、被害は大きい。一つは1979年に旧ソ連のスヴェルドロフスクで発生した炭疽菌漏えい事故で、68名が死亡しました。他は「昨年(2015年)の12月初旬(明確な日時は不明)にウクライナのハリコフ市にある米軍の研究所から流出したカリフォルニア・インフルエンザウィルスに感染して20名の兵士が死亡し、200名の人が入院した感染事故」です。

 BSL4施設でも1999年以来すでに3件起きています。第一に、1990年の旧ソ連のベクター施設におけるマールブルグウィルスの実験室感染、第二に、イギリスのピルブライト施設からの手足口病のウィルスの漏出、第三は、台湾のBSL4施設で起きたBSL4対応型の生物学的安全キャビネットからのSARSウィルスの実験室感染です。その他では、BSL4施設で実験室の研究員が着用する宇宙服に数10個の穴が開いていたという。

 次にWHO指針についてですが、この種のものは計2種類あります。通称「WHO指針」と呼ばれているのは『微生物等実験施設の安全対策必携』(第3版、2004年)と『保健関係実験施設の安全性』(1997年)の2つで、実験施設の周辺住民に実験室からの排気が流れないようにすることを指示するとともに、実験施設を住民が住む地域から離れたところに立地させることを勧告しています。それらには実験室外感染事故の防止の観点から、バイオ施設(病原体等実験施設と遺伝子組み換え実験室)の立地を規制していると解釈できる文言や規定(省略―当センターのホームページを参照)があります。WHOの指針と勧告は微生物実験施設から病原体が漏れることを前提してこのような指針と勧告を出しています。したがって、WHOの加盟国である日本は微生物実験施設を建設する場合にはこれらの原則を尊重しなければなりません。 

 報告③「バイオ施設の管理の実態」の内容については次号で報告者の川本幹事が要約します。

 報告④:「BSL4問題、地元からの報告」では、感染研武蔵村山庁舎のBSL4施設稼働決定までの経過報告が話されました。以下にその内容を箇条書きにして示します。

⑴エボラ出血熱の大流行2014年の夏ごろ西アフリカで発生したエボラ出血熱に感染の疑いのある患者が出現して感染研村山庁舎にウィルスが運び込まれる事態が発生し、政府はBSL4施設稼働に向けて動き出した。同年11月17日、塩崎厚労大臣が武蔵村山市を訪問し市長と会談。市長はコメントを発表し、「市はこれまでBSL4の実験停止状態の継続と移転を求めてきたが、大臣の説明を聞いて施設の必要性について理解を深め、国の責任で万全の対策を取ることを前提にBSL4の使用について協議を進める」旨の発表を行った。

⑵感染研が主導する運営協議会:協議の進め方については、感染研が「国立感染症研究所村山庁舎施設運営協議会」を設置して安全を検証するための会議を行うもので、構成メンバーは、感染研・厚労省の役人と、隣接する学校を含む関係機関の役人に地元自治会の4人の会長を加えた22人で構成され、事務局は感染研、座長は感染研の倉根所長(後に脇田副所長)が務めている。同評議会は、平成27年1月20日の初回は感染研の説明に時間を割き、その後は毎回、質問とそれに対する感染研・厚労省の回答という形で進められ、会議のメンバーには前回の質疑をまとめたレジメが配布されている。6月に行われた4回目でこれまでのまとめを行い、市民向けの施設見学会も5~6月で3回行い(参加者数は70名)、市民の理解が進んだという実績作りを強引に行った(エボラが終息の兆しを見せていたからか)。

⑶市長と厚労省が手を組む:その上で、厚労大臣は8月3日に再度武蔵村山市を訪れ、市長と会談を行った。市長は、「国の責任で安全を担保したうえで、国内で感染者が確認された場合に限り診断や治療に関する業務に特化すること、移転について検討すること」を要望した上で、「BSL4の稼働はやむなし」とコメントした。それを受けて厚労大臣は「感染者の生命を守るための診断や治療等に関する業務に特化してBSL4を稼働する」旨の確認書を出した。8月7日、厚労大臣は、感染症法に基づく厚労大臣の指定により、村山庁舎を「特定Ⅰ種病原体等所持施設」に指定し、BSL4はいつでも稼働できる状態になった。感染研は、ウィルスを輸入しての実験はしないといっているが信用できない。

⑷弱い市民の反応:武蔵村山市民は寛容で優しい人が多くて批判精神は欠如しており、エボラの流行で疑い例が発生しているのを見れば「協力せねば」と理解を示す人が多く(市長も議員も役人もその中に入る)、施設の見学会で感染研から安全だと説明されれば簡単に信じてしまう。チラシを撒いても反応が弱く、心配を口にする人はいても主体的に行動を起こす意欲と力量のある人はほとんどいない。感染研の正面に位置する雷塚自治会だけが強く反対している。問題点は、何がどう危険かが見えにくい点と、これまで目に見える被害が起きていないということに尽きる。

 

※このシンポジウムの内容全ては下記IWJのサイトから視聴できます。(有料)

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/286207

 


BSL4施設など病原体取扱い施設の安全確保に関わる法令とその遵守状況について」の関係省庁への質疑と回答対照表

 

バイオハザード予防市民センター質疑事項

2017330日)

関係省庁回答(2017421日)

備考(指摘事項他)

国内には現在、BSL24施設は何施設あるか。(BSL2~4の各クラス毎に、施設名を明らかにされたい。)

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)の規定では、一種病原体等の所持については、国の指定、二種病原体等の所持については国の許可、三種病原体等の所持については国への届出が必要であるため、一種、二種、三種病原体等の取扱施設を国としては把握している。一種病原体等取扱施設、二種病原体等取扱施設、三種病原体等取扱施設は、平成29年4月現在、全部で140施設あり、内訳は以下のとおり。施設名はテロ防止の観点から非公開としている。

 

   一種病原体等取扱施設   1施設

   二種病原体等取扱施設  78施設

   三種病原体等取扱施設 100施設

※複数の分類の取扱施設は重複計上のため、合計は一致しない。

 

(参考)

WHOが定めるBSL(病原体等の実験室内での安全取り扱い基準)に応じたBSL 24の分類と、一種~三種病原体等取扱施設の分類の関係は下表のとおり。一種病原体等取扱施設についてはBSL4となっているが、それ以外は1対1とはなっておらず、BSLと病原体等取扱施設の分類が一致するものではない。

 

<一種~三種病原体等取扱施設とBSL24の関係>

 

BSL4

BSL3

BSL2

一種病原体等取扱施設

 

 

二種病原体等取扱施設

 

三種病原体等取扱施設

 

(厚生労働省健康局結核感染症課)

 

 

 

質疑項目で下線部分は未回答項目

 

回答で下線部分は曖昧なもの

 

140施設の実態は?

200412月の全国調査との関連)

 

 

一種~三種病原体の取扱施設をすべて把握しているか?

 

地元自治体(防災部署、保健所、消防署など)への周知と連携は?

 

テロ防止優先によるバイオハザード防止(人権問題)の不十分さ

・安全情報の全面公開は不可欠である(質疑項目の「6」)

・動物実験施設、感染性廃棄物、遺伝子組換え

バイオハザード対策キャビネット(安全キャビネット)について

 

2-1.感染症法施行規則第31条の2 第10号、11号に基づく厚生労働省告示では、バイオハザード対策キャビネットはJIS K3800に規定する規格又はこれと同等以上の性能のものとするとある。

そこで、以下伺う。①~③について、具体的に明らかにされたい。

①各施設にあるキャビネットのJISの遵守状況はどうなっているか?

遵守していない場合、どのような指導がなされているのか?

JIS K3800はクラスⅡキャビネットを規定したものである。しかし、告示ではBSL4施設で使用するクラスⅢキャビネットもJIS K3800規格によるとある。クラスⅢキャビネットについて別途より詳細な規格が必要ではないか?

 

安全キャビネットについては、病原体等所持の許可申請・届出等の時点で、設置場所、規格等について審査を行っており、基準に適合していなければ、病原体等を取り扱うことはできない。また、感染症法第56条の31第1項の規定に基づく立入検査(以下「立入検査」という。)において、当該施設に設置されている安全キャビネットの規格について確認を行っているが、これまで安全キャビネットの規格についての法令違反はない

 

   JIS K3800(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット)ではバイオハザード対策用クラスⅢキャビネットについても規定されており、BSL4施設(一種病原体等取扱施設)において備えることとされている高度安全キャビネットについては、厚生労働大臣が定める安全キャビネット等の規格(平成19年厚生労働省告示第201号)において、JIS K3800(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット)に規定しているバイオハザード対策用クラスⅢキャビネットの規格又はこれと同等以上の性能のものとすることとしている。

(厚生労働省健康局結核感染症課)

 

140施設の内、立入検査の実績は?

 

2-2.同施行規則第31条の27-30で、年1回以上定期点検し機能が維持されていることを確認する、とある。そこで以下伺う。

①国内各施設における、同施行規則第31条の27-30の遵守状況はどうなっているか?具体的に明らかにされたい。

②遵守していない場合、どのような指導がなされているのか?

具体的に明らかにされたい。

 

立入検査において定期点検の実施状況の確認を行っており、これまでの立入検査において、定期点検漏れの事例が確認された。厚生労働大臣が当該施設に対し改善を指導し、必要な点検を実施した旨の報告を当該施設から受けている。

(厚生労働省健康局結核感染症課)

 

設置後の立入検査の実績は?

遵守状況の実態は?

定期点検実施報告の提出は?

建設省告示第2379号、「官庁施設の総合耐震計画基準」について

 

感染症法施行規則第31条の27の第3号は、阪神淡路大震災による官公庁施設の被災の教訓から、「官公庁施設の建設等に関する法律」に基づく「官庁施設の位置・規模・構造の基準」(建設省告示第2379号、199412月)を受けて策定された技術基準である「官庁施設の総合耐震計画基準」(1996年)(以下、「1996年耐震基準」という)によることとされている。

そこで以下伺う。

①この規定の対象は、第一種病原体等取扱施設だけで、第二種~第四種病原体等取扱施設は対象ではない。第二種~第四種を対象から外した理由は何か。

②厚生労働省は、国内にある第一種~第四種病原体取扱施設の耐震基準(建築基準法、1996年耐震基準)遵守状況を把握しているか。事実を明らかにされたい。

建設省告示、1996年耐震基準に関わる審査はどの省庁が実施するのか?部署の名称を含め、明らかにされたい。

大地震動後や電源喪失時の機能維持のため、バイオハザード対策キャビネット本体内部の損壊防止のための耐震性能の規定や非常用電源が必要ではないか。御省の認識を明らかにされたい。

 

一種病原体等取扱施設については、所持する病原体等について特に厳重な管理が必要となり、当該施設の耐震性能についても十分であることが求められるため、一種病原体等取扱施設の耐震基準が設定されている。

現存する一種病原体等取扱施設である国立感染症研究所については、厚生労働大臣が指定をする際に、関東地方整備局営繕部計画課が構造体の耐震基準を満たしていることを確認した旨の文書の提出があり、耐震基準が遵守されていることは確認されており、安全性が確保されている。

二種~四種の病原体等取扱施設については、建築基準法に基づき、一定の水準の耐震性が確保されていると考えている

 (厚生労働省健康局結核感染症課)

 

1996年耐震基準は構造体のみならず非構造部材、設備、立地について規定している。村山庁舎BSL4施設について、構造体以外の項目についてどこが審査したのか?

 

第二種~第四種が外されたのは既存施設の構造体が耐震性不足であること、戸山庁舎も引っかかることによる。

 

第二種~第四種がどの程度の耐震性があるのかの調査結果を公表願いたい。

国立感染症研究所(以下「感染研」)の村山庁舎、戸山庁舎と建設省告示第2379号、1996年耐震基準について

 

村山庁舎、戸山庁舎は、感染症法の規定に関わりなく、国家の施設として、建設省告示第2379号及び1996年耐震基準の対象となると考えるがどうか?

村山庁舎、戸山庁舎のBSL2~3施設について、建設省告示第2379号、1996年耐震基準の遵守状況はどうか?

村山庁舎BSL4施設について、施設の立地、配置の適合性を含めて建設省告示第2379号、1996年耐震基準に基づく詳細な審査がいつどこでどのように実施されたのか?またその審査結果はどうだったのか?(別紙参照)

村山庁舎BSL4施設は2009年に改修工事が実施されたと聞く。耐震設計の地震加速度は、熊本地震、中越地震、東北地方太平洋沖地震を踏まえて大幅に割りますべきと考える。同施設の地震加速度の設計値はいくらか?

 

 

<以下、次号掲載>

①~③

戸山庁舎及び村山庁舎の大規模地震に対する構造体の安全性については、「地震の震動及び衝撃に倒壊し、又は崩壊する危険性は低く、極めて稀に発生する地震動後、構造体に修繕を必要とする損傷を生じない。」と評価されています。

平成2011月から翌年4月に実施した改修工事の内容についてはBSL4B実験室のB1実験室とB2実験室を独立させるための間仕切り部の改修、空調設備やグローブボックスの改修となります。

(厚生労働省大臣官房厚生科学課)

 

 

③建設省告示、1996年耐震基準に基づく審査は実施されていないことになる。

 

④構造体、非構造体、インフラを含む1996年耐震基準による全面的な改修工事ではなかったのか?!

5

感染研施設における管理の実態について

 

 公文書開示請求により入手した2011H23)年度~2014H26)年度の戸山庁舎、村山庁舎の文書内容を踏まえて、以下伺う。

(厚生労働省大臣官房厚生科学課)

 

5-1.村山庁舎の冷却塔冷却水のレジオネラ属菌による感染の危険について

 

厚生労働省(厚労省)の告示第264号「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」は、冷却塔冷却水のレジオネラ属菌類調査の実施と検出した場合の対策を規定している。しかし、村山庁舎では、H24年度は6号棟の2か所の冷却塔しか調査しておらず、それぞれ280560CFU/100mlの検出がありながら、H25年度は調査をしていない。H24年度の報告書の所見では「レジオネラ属細菌再検査の実施を推奨いたします」とあるが、実施した形跡がない。26年度は8か所の冷却塔の循環水について各1回検査しているが、内6か所で100CFU100ml以上のレジオネラ属菌が検出されている。しかし、報告書の「担当者コメント欄」には何一つ記載もなく、指針に定める「対策実施後の再検査」の報告書は存在しない。

 そこで以下、伺う

①こうした村山庁舎における指針違反の実態を監督官庁として把握したのはいつか?またその結果どのような指導がなされたのか?

②また周辺地域でレジオネラ症の発生の調査を実施したか?

 

レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針(平成15年厚生労働省告示第264号)では、ご指摘のレジオネラ属菌類調査の実施は規定されておりませんが、「冷却塔の使用開始時及び使用期間中は1月以内ごとに1回、定期的に冷却塔及び冷却水の汚れの状況を点検」等することとされており、村山庁舎においては建物管理業者による毎日の目視点検と概ね月一回の清掃が実施されているため、同指針に基づき適切に対応がなされているものと認識しています。

また、これとは別に、上記点検結果に応じて平成24年度及び平成26年度に業者による細菌調査を実施しており、財団法人ビル管理教育センターが取りまとめた「第3版レジオネラ症防止指針」で示されている検出菌数の目安を超過している冷却塔が確認されていますが、当該冷却塔については国立感染症研究所による薬品の投入又は清掃により対応されており、厚生労働省からの指導等は特段行っておりません。

医師がレジオネラ症の患者等と診断したときは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第104号)に基づき最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならないこととされているため、国立感染症研究所では特段の調査は実施しておりません。

2016329日の感染研戸山庁舎の質疑でこの問題について、「細菌調査については確かに指針で求められる対応は行っていない状態だったのでやはり十分とは言えず、28年度は、必要な検査を実施する」と答え、適切でないことを率直に認めている。本回答と異なる。

②患者発生待ちの姿勢であり、感染研施設がバイオハザードの発生源となる危険があることを認識していないものと思われる回答である。

5-2.村山庁舎における注射器による針刺し事故と対応について

 

2014年度は村山庁舎で「4号棟2階処置室の安全キャビネット内でHTLV-1感染ヒト化マウスの腹腔内に麻酔注射を行った後、注射器にリキャップしたところ左手の親指に針刺しをしてしまった」という注射針刺し事故が起きている。

ところで、戸山庁舎P2P3実験差し止め裁判(1989年~2005年)において感染研側が東京地裁に提出した書証(乙23号証)には、感染研の幹部研究者たちが執筆した「バイオハザード対策ハンドブック」(編集:大谷明・内田久雄・北村敬・山内一也、近代出版、1981)の21頁に次のような記述がある。

「注射針による事故はよく起こるが避けがたい。最も高度なⅢ型安全キャビネットを使用していても、注射針がゴム手袋を通して手指を刺すことがある。最近英国のP4実験室でこのような事故でエボラウイルス感染が起こった」

そこで伺う。

①人為的ミスや過誤などによる同様な事態が村山庁舎で起こらないとも限らない。BSL-4病原体の取り扱い中、職員が感染した場合の処置、自治体、近隣住民の対応、避難計画の整備状況はどうなのか?

 

 

 

 

 

万一針刺事故等により職員の感染が疑われる場合には、すぐに国立国際医療センター(新宿区)に搬送し、適切に措置、治療がなされることとなっています。また、自治体や近隣住民への対応として「災害・事故等発生時における対応マニュアル」に基づき、武蔵村山市に直ちに通報する体制をとっており、村山庁舎の敷地外に影響が及びおそれがある場合は、村山庁舎の屋外放送設備等の方法により、災害・事故等の状況や住民に求められる避難行動等について、具体的に、かつ、速やかに住民に連絡することとしております。

なお、「災害・事故等発生時における対応マニュアル」については、国立感染症研究所HP及び武蔵村山市HPに掲載しています。

 

針刺し事故に対する厳格な対応が今まで感染研ではとられてきたのか?

 

バイオハザード防止のためには研究施設内に隔離施設が不可欠

 

 

 

5-3.村山庁舎8号棟(BSL4施設)の設備の劣化等について

 

BSL4室が3室ある8号棟には、「H26年度高度安全実験室点検報告書」によればグローブボックスライン29台、バイオハザード対策用キャビネット6台、パスボックス4台、遠心機7台、インキュベータ4台がある。

この報告書では、以下のことが指摘されている。

・グローブボックス:10台のグローブボックスで給気バルブ内側パッキンにひび割れが見られ、密閉度が保てなくなる可能性がある。

・バイオハザード対策用キャビネット:HEPAフィルターが交換周期である5年を経過し、このまま使用し続けた場合、ろ材と枠を固定しているシール材が劣化しクラックが発生しリークが起こる可能性がある。また排気ファンモータ(6台)、給気ファンモータ(6台)も交換周期5年を経過しており、故障した場合、キャビネットは使用不可となる。


 そこで、以下伺う。

①これら設備の更新の現状はどうか?

グローブボックスはどういう規格、基準に基づき製作され、現場試験は何に基づき実施されたのか?

③バイオハザード対策用キャビネットはJIS規格品なのか? 現場試験は何に基づき実施されたか?

 

 

これらの設備は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)等に基づき、毎年定期検査を専門技術者に依頼して実施しており、その結果を踏まえて、必要な修理及び更新を行っています。また、故障時においても速やかに対応しています。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)により、BSL4施設(一種病原体取扱施設)における一種病原体等の使用は、実験室の内部に備えられた高度安全キャビネット等の規格(平成19年厚生労働省告示第201号)において「JIS K3800に規定しているバイオハザード対策用クラスⅢキャビネットの規格又はこれと同等以上の性能のものとする」こととされており、グローブボックスはこの規格と同等以上の性能を有しています。

また、現場試験について定められた法令等はありませんが、専門業者による試験を実施し、バイオセーフティ管理室が結果の報告を受け、確認しています。

安全キャビネットは、厚生労働大臣が定める安全キャビネット等の規格(平成19年厚生労働省告示第201号)において、「JIS K3800(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット)に規定するバイオハザード対策用クラスⅡキャビネットの規格又はこれと同等以上の性能のものとする」こととされており、感染研で使用されているキャビネットはJIS規格品及びJIS準拠品です。

また、現場試験は公益社団法人日本空気清浄協会が作成したJACANo17D-2009(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット現場検査マニュアル)に基づいて実施しており、バイオセーフティ管理室が結果の報告を受け、確認をしています。

 

 

 

②グローブボックスに関するJIS規定の不十分さと現場試験の規定がないことが問題。

 

JIS規格には「9.検査」で「現場検査(維持管理)」の定めがあり、「8.2 HEPAフィルタの透過率試験」によるとされている。JIS及びJACAマニュアルを遵守したという根拠が報告書に記載されていない。

また、JIS規格品と準拠品の仕様の違いは?準拠品が「規格品と同等あるいはそれ以上の性能」があるとする根拠は何か?

 

 

5-4.停電時対応などについて

 

戸山庁舎に関するH25年度病原体等取扱安全監視委員会議事録によれば、

・オートクレーブの使用記録簿で、停止時間の記入の無いものが目立つ。

  ⇒「終了時間」のタイトルを適当なタイトルに変えることとする。

・超遠心機の耐震対策がない。

・安全キャビネットの3か月点検記録が記載されていないところがある(実験室4.5

・戸山には村山みたいに目を洗う蛇口がない。戸山にあってしかるべき。バイオセーフティ管理室で話し合うこととする。

・停電時対応 バックアップ電源は大丈夫か、差圧は維持されるのか?

・(委員長)普通の電源が落ちたときに、バックアップの電源が働かなかった場合は、人がその中にいた場合は、封じ込めを一部犠牲にして、その人が出るということが起こりうると言う事。例えば、バイオ室の方は、一応それが(電気がつく、電気がつかない時、視野を確保できる)が担保されているんですよね?

(委員)チェックしていなかったですよね

(委員)空調が止まった時に、リークがありうるってことは織り込み済ということでよいのか?

(委員)しょうがありませんと言っちゃうと、えらいことです。何か行動計画みたいなものを作って周知しておく必要があるのでは?

(委員長)バイオセーフティあるいは病原体委員会の方で、少なくとも来年度までに検討いただくということにする。

とある。

 そこで伺う。

①これら委員会で出された課題(上記ゴシック字参照)はその後、どのように対処されたのか?

なお、火災時にはバックアップ電源の有無に関係なく、防火上、空調は停止する。この場合の病原体のリークの問題、対処についてどう考えているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇口については、目の洗浄に用いるボトルの設置により、停電時については、直ちに非常灯が点灯し、自家発電機が起動することとされており、平成25年度病原体取扱安全監視委員会において指摘を受ける前からすでに対応済みでした。超遠心機については、ベルトにより固定することにより指摘前にほぼ対応済みでしたが、1か所未対応であったため、平成251024日に対応しました。

なお、これらが対応済みであることは、平成26919日に委員会に報告しています。

病原体は密閉されたチューブ(強固な防漏性容器)に入れられており、さらに防漏性のケースなどに収められ、施錠された保管庫(冷凍庫)の中にあるため、空調停止により室内又は室外の空気に漏れ出ることはありません。

 

①停電時、自家発電機で稼働するのは部屋の陰圧保障ファンだけで空調設備全体やバイオハザード対策キャビネットのファンは停止したままである。つまり、キャビネットから室内に汚染空気が流入すしリークの可能性がありえる。

 また目の洗浄にボトルで十分か?

 さらに委員会開催前に対応済というなら、委員の方たちは委員に相応しくない「無知」な人ということにならないか?

 

②病原体をバイオハザード対策キャビネットで取扱い中に火災発生に伴う停電=空調・キャビネットファン停止が生じた場合のことを問うているのに見当違いの回答である。

 

5-5.BSL3,BSL2施設におけるキャビネット、HEPAフィルタの管理について

 

 開示文書を基に、感染研所長宛て以下の件について要望書で再三回答を求めてきたが、明確な回答がない。

 そこで伺う。

①村山庁舎、戸山庁舎のBSL3,BSL2施設にはキャビネットは何台あり、内、JIS規格に適合するものは何台あるのか?

②キャビネットの現場試験が、HEPAフィルタの透過率試験、走査試験などについてJIS規格が定める詳細な試験条件(上流側のPAO濃度・粒子サイズ、走査ルート・速度、吸引位置・速度など)を遵守して行われているかどうか試験結果報告書を含めて厳格にチェックしているか?またその責任部署はどこなのか?

 

各施設におけるキャビネットの設置状況は次のとおりです。

 

BSL2実験室設置のクラスⅡ安全キャビネットの台数

 戸山158台、村山162台の合計320

 これらのうちJIS規格機種は、戸山63台、村山52

 それ以外はJIS準拠機種です。

BSL3実験室設置のクラスⅡ安全キャビネット台数

 戸山26台、村山27台の合計53

 これら全てはJIS準拠機種です。

キャビネット設置後のJIS規格に基づく検査は定められておりません。国立感染症研究所では、公益社団法人日本空気清浄協会が作成したJACANo17D-2009(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット現場検査マニュアル)に基づいて検査を行っており、責任部署であるバイオセーフティ管理室が検査結果の報告を受け、適切に対応しております。

 

JIS規格品と準拠品の仕様の違いは?準拠品が「規格品と同等あるいはそれ以上の性能」があるとする根拠は何か?

 

JIS規格には「9.検査」で「現場検査(維持管理)」の定めがあり、「8.2 HEPAフィルタの透過率試験」によるとされている。JIS及びJACAマニュアルを遵守したという根拠が報告書に記載されていない。

5-6.安全管理規程第7条に定める4つの委員会の活動について

 

 安全管理規程第1条の「感染研における病原体等に起因して発生する曝露及び感染症法に基づく事故の未然防止を図ること」という目的を達成するために4つの委員会が設けられているが、内3つの委員会は以下のように休眠状態にある。

バイオリスク管理委員会 H2526年度開催なし

バイオリスク管理運営委員会 H2126年度開催なし

高度封じ込め施設運営委員会 H2126年度の内、開催は23年度だけ

病原体等取扱安全監視委員会 年1回庁舎毎に開催

 

また、毎年開催している病原体等取扱安全監視委員会にしても、上記(5-4)にある通り、遅くとも戸山庁舎への移転前(1992H4)年)に検討すべき事項を20年以上経過してから議論している始末である。

 

そこで、伺う。
BSL4問題、施設の老朽化、耐震性の確保、レジオネラ属菌に関わる指針違反、内部事故など様々な課題があるにも関わらず3つの委員会が休眠状態にある理由を伺う。

 

 

 

 

ご指摘のバイオリスク管理委員会及びバイオリスク管理運営委員会については、「国立感染症研究所バイオリスク管理委員会規程」及び「国立感染症研究所バイオリスク管理運営委員会規程」に基づき、委員長が必要に応じ、又は、委員の要請を受けて委員会を招集することとされております。また、高度封じ込め施設運営委員会については、「国立感染症研究所高度封じ込め施設運営委員会規程」に基づき、委員長が必要に応じ委員会を招集することとされておりますので、休眠状態にある訳ではありません。近年の開催状況ですが、平成27年度はバイオリスク管理委員会が1回、高度封じ込め施設運営委員会が3回開催されておりますし、平成28年度はバイオリスク管理委員会が1回、バイオリスク管理運営委員会が1回、高度封じ込め施設運営委員会が2回開催されております。なお、安全管理規程第11条に定める病原体等取扱安全監視委員会が年一回、病原体等の取扱いの実施状況を査察しております。

委員長が職務怠慢で招集しなかったから委員会が休眠状態になったということ。H26年度までの実態を問うているのにH27年度以降開催している云々と言うのは当方の指摘であわてて開催したのではと邪推してしまう。

 

開催しても専門的知見が乏しい委員が見当違いのことを議論しているように思えるが・・・。

平成27年度以降の委員会議事録の写しをいただきたい。

 

病原体取扱い施設の安全情報と特定秘密について

 

感染研裁判の確定判決(20039月、東京高裁判決)は「感染研においては、病原体等が漏出等しないよう、現代の最新の科学的知見に基づく安全管理体制の構築とその見直し作業が強く求められている。そして、適正、円滑に安全管理業務を遂行するためには、その実情を地域住民をはじめとする国民一般に広く情報公開等して、その理解と協力を得ることが最も重要であると考えられる」(判決116頁)とし、病原体取扱いに係る安全情報の公開を強く求めている。

 

そこで伺う。
上記確定判決を尊重する立場からも、病原体取扱い施設の安全情報については、特定秘密とせず、国民に全面公開すべきと考えるが、御省の見解を伺う。

 

 

病原体等に関する情報については特定秘密としていないが、テロ防止の観点から、病原体等取扱施設の名称、所持する病原体等、病原体等の保管場所等に関する情報は非公開としている。一方で、例えば一種病原体等取扱施設である国立感染症研究所では、定期的に自治体、消防、地域住民が委員となっている連絡協議会を開催して、施設で実施している研究の内容や稼働状況、安全管理体制等について地域と情報を共有しており、また、定期的に市民セミナー、見学会等を開催し、地域住民に開かれた施設の運営に努めていると認識している。

 (厚生労働省健康局結核感染症課)

 

テロ防止を理由に非公開とする法的根拠は何か?

 

感染研のことだけを聞いているのではない!

国立感染研が地域住民等と安全情報を共有しているなら、国内の他の施設も同様にすべきと考えるが?

 


BSL4施設など病原体取扱い施設の安全確保に関わる法令とその遵守状況について」の関係省庁への質疑項目と回答対照表

(前号からの続き)

5

感染研施設における管理の実態について

 

 公文書開示請求により入手した2011H23)年度~2014H26)年度の戸山庁舎、村山庁舎の文書内容を踏まえて、以下伺う。

(厚生労働省大臣官房厚生科学課)

 

5-1.村山庁舎の冷却塔冷却水のレジオネラ属菌による感染の危険について

 

厚生労働省(厚労省)の告示第264号「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」は、冷却塔冷却水のレジオネラ属菌類調査の実施と検出した場合の対策を規定している。しかし、村山庁舎では、H24年度は6号棟の2か所の冷却塔しか調査しておらず、それぞれ280560CFU/100mlの検出がありながら、H25年度は調査をしていない。H24年度の報告書の所見では「レジオネラ属細菌再検査の実施を推奨いたします」とあるが、実施した形跡がない。26年度は8か所の冷却塔の循環水について各1回検査しているが、内6か所で100CFU100ml以上のレジオネラ属菌が検出されている。しかし、報告書の「担当者コメント欄」には何一つ記載もなく、指針に定める「対策実施後の再検査」の報告書は存在しない。

 そこで以下、伺う

①こうした村山庁舎における指針違反の実態を監督官庁として把握したのはいつか?またその結果どのような指導がなされたのか?

②また周辺地域でレジオネラ症の発生の調査を実施したか?

 

レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針(平成15年厚生労働省告示第264号)では、ご指摘のレジオネラ属菌類調査の実施は規定されておりませんが、「冷却塔の使用開始時及び使用期間中は1月以内ごとに1回、定期的に冷却塔及び冷却水の汚れの状況を点検」等することとされており、村山庁舎においては建物管理業者による毎日の目視点検と概ね月一回の清掃が実施されているため、同指針に基づき適切に対応がなされているものと認識しています。

また、これとは別に、上記点検結果に応じて平成24年度及び平成26年度に業者による細菌調査を実施しており、財団法人ビル管理教育センターが取りまとめた「第3版レジオネラ症防止指針」で示されている検出菌数の目安を超過している冷却塔が確認されていますが、当該冷却塔については国立感染症研究所による薬品の投入又は清掃により対応されており、厚生労働省からの指導等は特段行っておりません。

医師がレジオネラ症の患者等と診断したときは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第104号)に基づき最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならないこととされているため、国立感染症研究所では特段の調査は実施しておりません。

2016329日の感染研戸山庁舎の質疑でこの問題について、「細菌調査については確かに指針で求められる対応は行っていない状態だったのでやはり十分とは言えず、28年度は、必要な検査を実施する」と答え、適切でないことを率直に認めている。本回答と異なる。

②患者発生待ちの姿勢であり、感染研施設がバイオハザードの発生源となる危険があることを認識していないものと思われる回答である。

5-2.村山庁舎における注射器による針刺し事故と対応について

 

2014年度は村山庁舎で「4号棟2階処置室の安全キャビネット内でHTLV-1感染ヒト化マウスの腹腔内に麻酔注射を行った後、注射器にリキャップしたところ左手の親指に針刺しをしてしまった」という注射針刺し事故が起きている。

ところで、戸山庁舎P2P3実験差し止め裁判(1989年~2005年)において感染研側が東京地裁に提出した書証(乙23号証)には、感染研の幹部研究者たちが執筆した「バイオハザード対策ハンドブック」(編集:大谷明・内田久雄・北村敬・山内一也、近代出版、1981)の21頁に次のような記述がある。

「注射針による事故はよく起こるが避けがたい。最も高度なⅢ型安全キャビネットを使用していても、注射針がゴム手袋を通して手指を刺すことがある。最近英国のP4実験室でこのような事故でエボラウイルス感染が起こった」

そこで伺う。

①人為的ミスや過誤などによる同様な事態が村山庁舎で起こらないとも限らない。BSL-4病原体の取り扱い中、職員が感染した場合の処置、自治体、近隣住民の対応、避難計画の整備状況はどうなのか?

 

 

 

 

万一針刺事故等により職員の感染が疑われる場合には、すぐに国立国際医療センター(新宿区)に搬送し、適切に措置、治療がなされることとなっています。また、自治体や近隣住民への対応として「災害・事故等発生時における対応マニュアル」に基づき、武蔵村山市に直ちに通報する体制をとっており、村山庁舎の敷地外に影響が及びおそれがある場合は、村山庁舎の屋外放送設備等の方法により、災害・事故等の状況や住民に求められる避難行動等について、具体的に、かつ、速やかに住民に連絡することとしております。

なお、「災害・事故等発生時における対応マニュアル」については、国立感染症研究所HP及び武蔵村山市HPに掲載しています。

 

針刺し事故に対する厳格な対応が今まで感染研ではとられてきたのか?

 

バイオハザード防止のためには研究施設内に隔離施設が不可欠

 

 

 

5-3.村山庁舎8号棟(BSL4施設)の設備の劣化等について

 

BSL4室が3室ある8号棟には、「H26年度高度安全実験室点検報告書」によればグローブボックスライン29台、バイオハザード対策用キャビネット6台、パスボックス4台、遠心機7台、インキュベータ4台がある。

この報告書では、以下のことが指摘されている。

・グローブボックス:10台のグローブボックスで給気バルブ内側パッキンにひび割れが見られ、密閉度が保てなくなる可能性がある。

・バイオハザード対策用キャビネット:HEPAフィルターが交換周期である5年を経過し、このまま使用し続けた場合、ろ材と枠を固定しているシール材が劣化しクラックが発生しリークが起こる可能性がある。また排気ファンモータ(6台)、給気ファンモータ(6台)も交換周期5年を経過しており、故障した場合、キャビネットは使用不可となる。


 そこで、以下伺う。

①これら設備の更新の現状はどうか?

②グローブボックスはどういう規格、基準に基づき製作され、現場試験は何に基づき実施されたのか?

③バイオハザード対策用キャビネットはJIS規格品なのか? 現場試験は何に基づき実施されたか?

 

 

これらの設備は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)等に基づき、毎年定期検査を専門技術者に依頼して実施しており、その結果を踏まえて、必要な修理及び更新を行っています。また、故障時においても速やかに対応しています。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)により、BSL4施設(一種病原体取扱施設)における一種病原体等の使用は、実験室の内部に備えられた高度安全キャビネット等の規格(平成19年厚生労働省告示第201号)において「JIS K3800に規定しているバイオハザード対策用クラスⅢキャビネットの規格又はこれと同等以上の性能のものとする」こととされており、グローブボックスはこの規格と同等以上の性能を有しています。

また、現場試験について定められた法令等はありませんが、専門業者による試験を実施し、バイオセーフティ管理室が結果の報告を受け、確認しています。

安全キャビネットは、厚生労働大臣が定める安全キャビネット等の規格(平成19年厚生労働省告示第201号)において、「JIS K3800(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット)に規定するバイオハザード対策用クラスⅡキャビネットの規格又はこれと同等以上の性能のものとする」こととされており、感染研で使用されているキャビネットはJIS規格品及びJIS準拠品です。

また、現場試験は公益社団法人日本空気清浄協会が作成したJACANo17D-2009(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット現場検査マニュアル)に基づいて実施しており、バイオセーフティ管理室が結果の報告を受け、確認をしています。

 

 

 

②グローブボックスに関するJIS規定の不十分さと現場試験の規定がないことが問題。

 

JIS規格には「9.検査」で「現場検査(維持管理)」の定めがあり、「8.2 HEPAフィルタの透過率試験」によるとされている。JIS及びJACAマニュアルを遵守したという根拠が報告書に記載されていない。

また、JIS規格品と準拠品の仕様の違いは?準拠品が「規格品と同等あるいはそれ以上の性能」があるとする根拠は何か?

 

 

5-4.停電時対応などについて

 

戸山庁舎に関するH25年度病原体等取扱安全監視委員会議事録によれば、

・オートクレーブの使用記録簿で、停止時間の記入の無いものが目立つ。

  ⇒「終了時間」のタイトルを適当なタイトルに変えることとする。

・超遠心機の耐震対策がない。

・安全キャビネットの3か月点検記録が記載されていないところがある(実験室4.5

・戸山には村山みたいに目を洗う蛇口がない。戸山にあってしかるべき。バイオセーフティ管理室で話し合うこととする。

・停電時対応 バックアップ電源は大丈夫か、差圧は維持されるのか?

・(委員長)普通の電源が落ちたときに、バックアップの電源が働かなかった場合は、人がその中にいた場合は、封じ込めを一部犠牲にして、その人が出るということが起こりうると言う事。例えば、バイオ室の方は、一応それが(電気がつく、電気がつかない時、視野を確保できる)が担保されているんですよね?

(委員)チェックしていなかったですよね

(委員)空調が止まった時に、リークがありうるってことは織り込み済ということでよいのか?

(委員)しょうがありませんと言っちゃうと、えらいことです。何か行動計画みたいなものを作って周知しておく必要があるのでは?

(委員長)バイオセーフティあるいは病原体委員会の方で、少なくとも来年度までに検討いただくということにする。

とある。

 そこで伺う。

①これら委員会で出された課題(上記ゴシック字参照)はその後、どのように対処されたのか?

②なお、火災時にはバックアップ電源の有無に関係なく、防火上、空調は停止する。この場合の病原体のリークの問題、対処についてどう考えているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇口については、目の洗浄に用いるボトルの設置により、停電時については、直ちに非常灯が点灯し、自家発電機が起動することとされており、平成25年度病原体取扱安全監視委員会において指摘を受ける前からすでに対応済みでした。超遠心機については、ベルトにより固定することにより指摘前にほぼ対応済みでしたが、1か所未対応であったため、平成251024日に対応しました。

なお、これらが対応済みであることは、平成26919日に委員会に報告しています。

病原体は密閉されたチューブ(強固な防漏性容器)に入れられており、さらに防漏性のケースなどに収められ、施錠された保管庫(冷凍庫)の中にあるため、空調停止により室内又は室外の空気に漏れ出ることはありません。

 

①停電時、自家発電機で稼働するのは部屋の陰圧保障ファンだけで空調設備全体やバイオハザード対策キャビネットのファンは停止したままである。つまり、キャビネットから室内に汚染空気が流入すしリークの可能性がありえる。

 また目の洗浄にボトルで十分か?

 さらに委員会開催前に対応済というなら、委員の方たちは委員に相応しくない「無知」な人ということにならないか?

 

②病原体をバイオハザード対策キャビネットで取扱い中に火災発生に伴う停電=空調・キャビネットファン停止が生じた場合のことを問うているのに見当違いの回答である。

 

5-5.BSL3,BSL2施設におけるキャビネット、HEPAフィルタの管理について

 

 開示文書を基に、感染研所長宛て以下の件について要望書で再三回答を求めてきたが、明確な回答がない。

 そこで伺う。

①村山庁舎、戸山庁舎のBSL3,BSL2施設にはキャビネットは何台あり、内、JIS規格に適合するものは何台あるのか?

②キャビネットの現場試験が、HEPAフィルタの透過率試験、走査試験などについてJIS規格が定める詳細な試験条件(上流側のPAO濃度・粒子サイズ、走査ルート・速度、吸引位置・速度など)を遵守して行われているかどうか試験結果報告書を含めて厳格にチェックしているか?またその責任部署はどこなのか?

 

各施設におけるキャビネットの設置状況は次のとおりです。

 

BSL2実験室設置のクラスⅡ安全キャビネットの台数

 戸山158台、村山162台の合計320

 これらのうちJIS規格機種は、戸山63台、村山52

 それ以外はJIS準拠機種です。

BSL3実験室設置のクラスⅡ安全キャビネット台数

 戸山26台、村山27台の合計53

 これら全てはJIS準拠機種です。

キャビネット設置後のJIS規格に基づく検査は定められておりません。国立感染症研究所では、公益社団法人日本空気清浄協会が作成したJACANo17D-2009(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット現場検査マニュアル)に基づいて検査を行っており、責任部署であるバイオセーフティ管理室が検査結果の報告を受け、適切に対応しております。

 

JIS規格品と準拠品の仕様の違いは?準拠品が「規格品と同等あるいはそれ以上の性能」があるとする根拠は何か?

 

JIS規格には「9.検査」で「現場検査(維持管理)」の定めがあり、「8.2 HEPAフィルタの透過率試験」によるとされている。JIS及びJACAマニュアルを遵守したという根拠が報告書に記載されていない。

5-6.安全管理規程第7条に定める4つの委員会の活動について

 

 安全管理規程第1条の「感染研における病原体等に起因して発生する曝露及び感染症法に基づく事故の未然防止を図ること」という目的を達成するために4つの委員会が設けられているが、内3つの委員会は以下のように休眠状態にある。

バイオリスク管理委員会 H2526年度開催なし

バイオリスク管理運営委員会 H2126年度開催なし

高度封じ込め施設運営委員会 H2126年度の内、開催は23年度だけ

病原体等取扱安全監視委員会 年1回庁舎毎に開催

 

また、毎年開催している病原体等取扱安全監視委員会にしても、上記(5-4)にある通り、遅くとも戸山庁舎への移転前(1992H4)年)に検討すべき事項を20年以上経過してから議論している始末である。

 

そこで、伺う。
①BSL4問題、施設の老朽化、耐震性の確保、レジオネラ属菌に関わる指針違反、内部事故など様々な課題があるにも関わらず3つの委員会が休眠状態にある理由を伺う。

 

 

 

 

 

ご指摘のバイオリスク管理委員会及びバイオリスク管理運営委員会については、「国立感染症研究所バイオリスク管理委員会規程」及び「国立感染症研究所バイオリスク管理運営委員会規程」に基づき、委員長が必要に応じ、又は、委員の要請を受けて委員会を招集することとされております。また、高度封じ込め施設運営委員会については、「国立感染症研究所高度封じ込め施設運営委員会規程」に基づき、委員長が必要に応じ委員会を招集することとされておりますので、休眠状態にある訳ではありません。近年の開催状況ですが、平成27年度はバイオリスク管理委員会が1回、高度封じ込め施設運営委員会が3回開催されておりますし、平成28年度はバイオリスク管理委員会が1回、バイオリスク管理運営委員会が1回、高度封じ込め施設運営委員会が2回開催されております。なお、安全管理規程第11条に定める病原体等取扱安全監視委員会が年一回、病原体等の取扱いの実施状況を査察しております。

委員長が職務怠慢で招集しなかったから委員会が休眠状態になったということ。H26年度までの実態を問うているのにH27年度以降開催している云々と言うのは当方の指摘であわてて開催したのではと邪推してしまう。

 

開催しても専門的知見が乏しい委員が見当違いのことを議論しているように思えるが・・・。

平成27年度以降の委員会議事録の写しをいただきたい。

 

病原体取扱い施設の安全情報と特定秘密について

 

感染研裁判の確定判決(20039月、東京高裁判決)は「感染研においては、病原体等が漏出等しないよう、現代の最新の科学的知見に基づく安全管理体制の構築とその見直し作業が強く求められている。そして、適正、円滑に安全管理業務を遂行するためには、その実情を地域住民をはじめとする国民一般に広く情報公開等して、その理解と協力を得ることが最も重要であると考えられる」(判決116頁)とし、病原体取扱いに係る安全情報の公開を強く求めている。

 

そこで伺う。
上記確定判決を尊重する立場からも、病原体取扱い施設の安全情報については、特定秘密とせず、国民に全面公開すべきと考えるが、御省の見解を伺う。

 

 

病原体等に関する情報については特定秘密としていないが、テロ防止の観点から、病原体等取扱施設の名称、所持する病原体等、病原体等の保管場所等に関する情報は非公開としている。一方で、例えば一種病原体等取扱施設である国立感染症研究所では、定期的に自治体、消防、地域住民が委員となっている連絡協議会を開催して、施設で実施している研究の内容や稼働状況、安全管理体制等について地域と情報を共有しており、また、定期的に市民セミナー、見学会等を開催し、地域住民に開かれた施設の運営に努めていると認識している。

 (厚生労働省健康局結核感染症課)

 

テロ防止を理由に非公開とする法的根拠は何か?

 

感染研のことだけを聞いているのではない!

国立感染研が地域住民等と安全情報を共有しているなら、国内の他の施設も同様にすべきと考えるが?

 


BSL4施設などの安全確保に関わる法令とその遵守状況についての再質疑と厚生労働省の再回答対照表(第二回)

 

バイオ市民センター再質疑(2017714日)

厚生労働省再回答(201791日)

注記(川本)

5-1

感染研における管理の実態について

村山庁舎の冷却塔冷却水のレジオネラ属菌による感染の危険について

 新版レジオネラ症防止指針の5.冷却塔水におけるレジオネラ防止対策」には、「冷却塔は増殖した菌を空中へ飛散させるため、レジオネラ症汚染防止の観点から最も注意を払わなければならない建築設備の一つである」とし、

「維持管理については下記項目について行うことが必要である。

レジオネラ属菌殺菌剤の注入
スケール防止、腐食防止、スライム防止のための薬剤注入
冷却塔の定期的な洗浄
設備の定期点検
感染因子の点数に対応したレジオネラ属菌の検査の実施」

とあり、さらに、

「検査の結果レジオネラ属菌が検出された場合の対応は以下のとおりである。

1) 人が直接吸引する可能性のない場合

 100CFU/100mlCFUColony Forming Unit)以上のレジオネラ属菌が検出された場合、直ちに清掃・消毒等の対策を講じる。
 また、対策実施後は検出菌数が検出限界(10CFU/100ml未満)以下であることを確認する。」とある。そこで以下伺う。

① これによれば、前回指摘した村山庁舎の実態は指針違反ではないか?

② 2016329日の「国立感染症研究所と住民との対話2016年」で、この村山庁舎の冷却塔の細菌調査について、感染研当局は「細菌調査については、確かに指針で求められている対応は行っていない状態でしたので、これまでも可能な限りの対応ということでやってきましたが、やはり十分とは言えないということで、28年度については、必要なレジオネラ属菌の検査を行うこととしております」と回答した。対応の不十分さを認め、今後に生かす姿勢を示すべきと考えるが如何か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①② ご指摘の「新版レジオネラ症防止指針」(財団法人ビル管理教育センター取りまとめ)には法的拘束力が無いものと認識しておりますが、平成28年度からは年1回以上の冷却塔の検査を行い、100CFU/100mlCFUColony Forming Unit)以上のレジオネラ属菌が確認された場合に、清掃及び消毒等の対策等を講じるなどの必要な対策を実施しております。

(厚生労働省大臣官房厚生科学課)

 

5-2

村山庁舎における注射器による針刺し事故(2014年度)と対応について

  

 施設から病原体が排気、排水、人や廃棄物などを通して施設の外に排出されても早期に的確・迅速に検知する方法がなく、被害が発生(症状が発現)して初めて漏出がわかるのが生物災害の特徴の一つである。

 実験施設では、針刺し事故を含め実験操作に伴う人為的ミスや過誤により病原体に感染した場合、直ちに発症するとは限らない。いわゆる不顕性感染で発症するまで感染したことが判らないままある日数の潜伏期を経るため、病原体が宿主体外に排出されている状態を見逃してしまうこともありうる。

 発症や感染が確認されたときはすでに地域感染が起こっている可能性が高いことから、

この人為的ミス・過誤による生物災害防止策が重要となる。

 しかし、ご指摘の「災害・事故等発生時における対応マニュアル」には、そもそも生物災害のこうした特徴、危険性には触れられていない。

 人為的ミス、過誤に伴う事故に対する迅速かつ厳格な管理、感染が疑われる者の迅速な隔離を可能にする施設、及び施設の立地要件をこそ明記すべきと考える。

 そこで伺う。

 

① 感染研戸山庁舎P2・3施設実験差し止め訴訟第一審段階(1989年~2001年)で、感染研の「病原体等安全管理規程」が「WHO必携」を満足していないことなどを踏まえて、原告側が戸山庁舎に以下のことを求めている。

「WHOは、救急室を身近なところに設置することを求めているが、戸山庁舎では地下一階に医務室があるだけである。(中略)実験者が危害を受けた場合、直ちに治療を受けることが必要なのだから、庁舎内に設置すればすむということではなく、実験室のすぐ傍に設置することを求めたものである。しかし、地上2階ないし4階から地下1階までは「身近」の距離ではない。しかも、戸山庁舎の医務室には医師も看護婦も常駐していない・・」(「第一審原告最終準備書面」より)

 村山庁舎のBSL4施設のすぐ傍に「救急室」を設置することが不可欠と考えるがいかがか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

① BSL4施設で取り扱う特定一種病原体は、万一職員が針刺し事故等により感染したとしても、発熱などの症状が出るまでの数日間はヒトに感染させることはありません。BSL4施設で特定一種病原体を取り扱う作業中に、万一針刺し事故等により職員の感染が疑われた場合には、応急措置後、すぐに国立国際医療研究センター(新宿区)に公用車で搬送し、適切に措置、治療がなされることとなっており、これにより安全を確保することができるものと認識しております。

(厚生労働省大臣官房厚生科学課)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・「発熱などの症状が出るまでの数日間はヒトに感染させることはありません」は不顕性感染を否定する暴論という他ない。

5-3

村山庁舎8号棟(BSL4施設)の設備の劣化等について

 

BSL4施設で使用する高度安全キャビネットの製品規格については、「JIS K 3800に規定しているバイオハザード対策用クラスⅢキャビネットの規格又はこれと同等以上の性能のものとする」と定められているというが、JIS K 38002009では「参考」として「付属書4」にクラスⅢキャビネットの基本構造が簡単なスケッチ図で示されているに過ぎない。文言として、開口部のない密閉型のキャビネット、内部負圧は少なくとも120Pa、作業用手袋、高圧滅菌器又は浸し槽、流入空気用HEPAフィルタ、排気用二重のHEPAフィルタなどが記述されているに過ぎず、詳しい検査方法・仕様書及び規格はない。

 よって、早急に製品規格を定める必要があると考えるが如何か。

 

②グローブボックスの現場試験について定められた法令等はないとのことだが、その替わり「専門業者」による試験を実施したとのこと。これでは業者に丸投げすることにより、厳格な規定を作成する任務を放棄してということに他ならない。

たとえば開示文書「H26年度高度安全実験室点検報告書(村山)」によれば、グローブボックスの「HEPAフィルタの透過率は0.3μm粒子で0.01%以下」とあるが検査方法の詳細が不明であり、報告書そのものの妥当性が疑われるとともに、これを容認するバイオセーフティ管理室の知見も問われる。現場試験についても厳格な規定を作成すべきと考えるが如何か。

③製品規格も「参考」程度のものしかなく、現場試験の規定がないという未整備状態にある現状において、BSL4実験の実施は不可能と考えるが如何か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①②③

高圧滅菌器やHEPAフィルターは、規制等で基準が別途定まっており、これらに従ったものである必要があると考えている。また、特定一種病原体所持施設の指摘の際は、物理的に病原体等が滅菌されずにキャビネットの外に出ないかという観点なども含めて審査しているものである。

 特定第一種病原体等所持施設には厚生労働省が立入検査を実施しており、高度安全キャビネットの定期点検の内容についても同様の観点から検査を行っている。

   (厚生労働省健康局結核感染症課)

 

 

 

高度安全キャビネット、グローブボックスについて厳格な製品規格、現場試験規格がない。

厚労省の立入調査の詳細を問う。

5-4

停電時対応などについて

 

2014(H26)年度は、議事録によれば、病原体等取扱安全監視委員会が戸山庁舎1回(30分)、村山庁舎1回(1時間15分)、ハンセン病研究センター1回(45分)開催されている。回答によれば、洗眼設備、停電時のバックアップ電源、超遠心機の耐震対策について「対応済み」として2014年(H26年)の委員会に報告したということだが、入手した2014年度の議事録にはこのことについて何の記載もない。

そこで以下伺う。

・報告を記載していないのは、議事録として不十分ではないか?

 ・委員会で指摘される前から「対応済み」だったということだが、いつ対応したのか?

・委員会に出席した委員自身がこれらのことについて知らなかったということは、委員として知識・認識不足ということではないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②そもそも洗眼設備や設備の耐震対策及びバックアップ電源の不備などについては、感染研戸山庁舎P2・3施設実験差し止め訴訟第一審段階(1989年~2001年)で、感染研の「病原体等安全管理規程」が「WHO必携」を満足していないことなどを踏まえて、原告側が以下のように繰り返し指摘してきた項目である。

 

・「WHOは、緊急シャワーや目の洗浄器を設置することを求めているが、戸山庁舎では設置されていない。これは、病原体等が実験者に付着した場合の安全対策を求めたものであるが、感染研はこれも怠っている」(「第一審原告最終準備書面」より)

 

・「3・9 HIVが扱われるP3実験室における超高速遠心分離機

 われわれは、フィルター付き排気口を設けた小室に3台の超高速遠心分離機があるのを見た。この小室は、超高速遠心分離機の回転部品が外れたり、壊れたり、地震が起こったりする時に、その遠心機自体の横滑りを防ぐようには設計されていなかった。(中略)遠心分離機の一つが横滑りした場合、他の二つの遠心分離機があまりにも接近しているので、次々に遠心機自体が衝突して横滑りを繰り返す「連鎖反応」を引き起こし、回転部品が外れて病原体が排出される可能性がある」(「国立感染研の査察鑑定書」CH・コリンズ博士(WHO顧問、「WHO必携」総括編集者、D・ケネディ博士(WHO顧問)より)

・「8.P3施設について 1.停電時について

安全キャビネットの一次バリアーとしての機能が消滅する。(中略)実験中であれば、停電により除去されなかった汚染空気が、キャビネット内から室内に漏えいし、あるいは実験者を汚染する危険性は十分あり得る。さらに実験者の出入りによる実験室外への漏洩の危険性は否定できない。停電時、P3実験室で確保される空調電源は陰圧保障ファンだけであり、復電するまで実験に着手できない」(「第一審原告最終準備書面」より)

 

 その他、「第一審段階」において数十項目にわたり様々な安全管理に係る課題が指摘されている。委員会としてのそれに相応しい知見、認識の有無が問われていると考えるが如何か。

・報告を記載していないのは、議事録として不十分ではないか?

 委員会開催前に実施する施設の査察の事前説明会において、報告を行ったことであるため、委員会議事録には掲載されておりません。なお、前回回答において、「平成26919日」としたのは、正しくは「平成929日」の誤りでした。訂正してお詫び申し上げます。

 

・委員会で指摘される前から「対応済み」だったということだが、いつ対応したのか?

 「病原体等暴露対応要綱」で、目への暴露の応急措置として「流水あるいは滅菌整理食塩水で洗浄」することになっています。洗眼設備については、平成25年の委員会において、当該要領に基づき洗浄設備が設置されている前提で改善意見をいただいており、少なくとも平成25年の委員会開催の段階では対応済みであったと認識しております。なお、当該意見については、現行通りの設備で対応可能と判断しています。

停電時のバックアップ電源については、実験施設の稼働時(平成410月)から対応済みです。

超遠心機の耐震対策については、前回回答したとおり1か所が未対応であったため、平成251024日に対応しました。

 

・委員会に出席した委員自身がこれらのことについて知らなかったということは、委員として知識・認識不足ということではないか?

 病原体等取扱安全監視委員会の委員は、病原体等の取扱いに関して学識経験のある職員等を所長が任命するほか、外部委員を委嘱しています。

 

病原体等取扱安全監視委員会の委員は、病原体等の取扱いに関して学識経験のある職員等を所長が任命するほか、外部委員を委嘱しています。

(厚生労働省大臣官房厚生科学課)

 

・前年の委員会で指摘された点について、査察の事前説明会で説明したのなら、その説明内容の要旨を議事録に記載すべきではないのか?それとも査察の事前説明の内容を査察報告書に添付しているのか?周知するためにも公式記録として残す必要がある。

 

・「病原体等暴露対応要綱」を開示いただきたい。

 洗眼設備がないことは②で指摘するようにWHO指針違反であることを90年代に原告が指摘済み。

 

・停電時のバックアップ電源の中身がそもそも不十分。キャビネットの無停電のバックアップ電源がない。

 

・外部委員も含めて空調設備、実験設備に関する専門家はいないのが実態である。

                                       次号に続きます             (幹事 川本 幸立)


BSL4施設などの安全確保に関わる法令とその遵守状況についての再質疑と厚生労働省の再回答対照表(第三回)

 

バイオ市民センター再質疑(2017714日)

厚生労働省再回答(201791日)

備考

5-5

感染研における管理の実態について

BSL3,BSL2施設におけるキャビネット、HEPAフィルタの管理について

 

BSL

BSL

JIS規格機種

準拠機種

JIS規格機種

準拠機種

村山庁舎

52

110

0

27

189

戸山庁舎

63

95

0

26

184

115

205

0

53

373

 

 

 

 

 

 

 


① 上表の回答を得たが、JIS規格機種と準拠機種の違いは具体的に何か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

② 準拠機種が、「規格機種と同等あるいはそれ以上とする性能」があるとする根拠は何か?

③ BSL3施設でJIS規格機種がないのは何故か?

④キャビネット設置後の定期検査の実施については、感染症法第5624、同法施行規則第3127,28,29,30で年1回以上の実施が、JIS38002009の「9.検査」ではHEPAフィルタの透過率、吹き出し風速、流入風速が指摘されている。

 一方、JACANo17D-2009JIS K 38002009規格との整合性を保つための現場検査マニュアルとされている。

 これらより、現場検査の実施頻度は感染症法施行規則、検査方法はJACANo17D-2009に従って実施することが感染症法の趣旨を厳格に実行するものになると考えるが如何か。

⑤感染研では、「JACANo17D-2009に基づいて検査を行っており、責任部署であるバイオセーフティ管理室が検査結果の報告を受け、適切に対応」しているとのことだが、大いに疑問である。一つの例を挙げるが、文書開示請求手続きで入手した感染研戸山庁舎・村山庁舎の2012年度P2P3実験室バイオハザード対策用キャビネット点検報告書を検討した結果、以下のことが明らかになった。

 

・報告書には準拠すべき法令や技術基準が記載されていない。つまり何に基づいて適合・不適合を判断したのか不明である。

HEPAフィルタ(610㎜×610㎜角)の走査試験で28.3L/minの検出器で、直径25mmの検出管を使用した場合、検査に要する時間は約5分であるが、報告書では走査時間が2分程度が最も多く、JACAに記す「50mm/s以下の速度で、検出管の走査域が重なり合うように走査する」が守られていないようである。

・走査試験時のHEPAフィルタ上流側のエアロゾル供給量は0.30.5μmにおいて1000万個/分が望ましいとされるが、実際は6080万個/分しかなく、相当な誤差を考慮する必要がある。

 

以上より、感染研では、JACANo17D-2009に厳密に従わない手法で点検が実施されており、キャビネットのHEPAフィルタの性能(HEPAフィルタのすべての個所における最大透過率が0.01%を超えない)について未確認状態にあると言えるのではないか、これらについて見解を伺う。

① 国立感染症研究所では、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)第31条の210号、第11号、第12号及び第14号の規定に基づき、厚生労働大臣が定める安全キャビネット等の規格」(平成19年厚生労働省告示第201号)の第1に定める「日本工業規格JISK3800(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット)に規定するバイオハザード対策用クラスⅡキャビネットの規格」に適合する性能の機種を「JIS規格機種」と、海外からの輸入品で海外の規格に適合することが確認された機種又はJISK3800規格制定前(平成5年以前)の機種などであってJIS規格機種と同等以上の性能のものであることをメーカー又は代理店に確認済みのものを「準拠品種」と区別しています。

 なお、前回の回答において台数の内訳に誤りがありましたので、下記のとおり訂正いたします。

 BSL2実験室設置のクラスⅡ安全キャビネットの台数のうちJIS規格機種は、戸山庁舎63台⇒105台、村山庁舎52台⇒116

 BSL3実験室設置のクラスⅡ安全キャビネットの台数は戸山庁舎26台、村山庁舎27台⇒32台の合計53台⇒58

 うちJIS規格機種は、戸山庁舎0台、村山庁舎0台⇒5

それ以外はJIS準拠品です。

 

②準拠機種がJISK3800規格と同等あるいはそれ以上の性能であることをそれぞれのメーカー又は代理店に確認済みです。

 

③前回の回答が誤っていたため、訂正します。BSL3施設のJIS規格機種は戸山0台、村山5台になります。

 

BSL3の安全キャビネットについて、感染症法施行規則第31条の287号、第31条の291項第7号及び第31条の301項第7号で定められている年1回の頻度で、JACANo17D-2009において必須の検査項目について検査しています。また検査方法については、使用場所での性能を保証するため、安全キャビネットの型式に応じた方法により検査を行っております。

 BSL2の安全キャビネットについては、感染症法施行規則第31条の284項、第31条の294項及び第31条の304項により安全キャビネットの設置は義務付けられていませんが、安全性を高めるため国立感染症研究所病原体等安全管理規程第3条に基づき安全キャビネットを設置し、年1回の頻度で検査しています。また、検査方法については、使用場所での性能を保証するため、安全キャビネットの型式に応じた方法により検査を行っております。

 

⑤問5-5④においてご説明したように、安全キャビネットの使用場所での性能を保証するため、安全キャビネットの型式に応じた方法により検査を行っており、性能について未確認状態であるとは考えておりません。

(厚生労働省大臣官房厚生科学課)

メーカー、代理店の確認基準、証明書は?

 

JIS規格機種が少ない理由は?製造年月日による?古い製品?

 

戸山庁舎のBSL3施設にJIS規格品がない理由は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

具体的に問題点を指摘したにも関わらず回答がない。業者に丸投げの証拠だ

5-6

安全管理規程第7条に定める4つの委員会の活動について

 

① 「5-2」の針刺し事故対応にもかかわるものだが、文書開示請求により入手した20092011年度の感染研村山、戸山庁舎の事故報告書(針刺し3件、刺傷1件、機材落下汚染、実験動物咬傷2件、施設・設備事故)を検討した結果、とりわけバイオリスク委員会の各委員において、各事故をバイオハザードの観点から検討する姿勢が皆無に近いことに驚かざるを得ない。(「別紙2」参照)

 バイオハザードの観点から検討する姿勢が皆無に近いという状況とは、感染研安全管理規程第1条に定める「使命」が疎かにされ、委員会組織としてBSL4施設の稼働の体制ができていないと考えるが如何か。

 

 

 

 

 

 

 

 

② 単に、委員会の開催回数を問うているのではない、その実効性を問うている。

BSL4施設問題、施設・設備の老朽化、耐震性の確保、地震・火災・停電・システム異常時対応、レジオネラ属菌、内部事故、HEPAフィルタ・安全キャビネットの現場試験結果など数々の課題があるにも関わらず、それらを課題と感じないからこそ開催しないのではないか?実験者には、自身が扱う実験設備・器具の安全性について専門的知見を備えることが求められると考えるが如何か。

① 村山庁舎のBSL4施設は、感染症法に基づき特定一種病原体等所持施設及び一種病原体等所持者に係る指定を受けた施設であり、同法に基づく基準を遵守しています。国立感染症研究所としても国立感染症病原体等安全管理規程等を定めており、これに基づきバイオリスク管理委員会のもとに高度封じ込め施設運営委員会を設置し、施設利用計画の審議・承認、報告、安全管理規程等に定める事項の実施状況及び法令遵守の状況を点検することにより病原体等の安全管理及び病原体等に起因して発生する曝露及び事故の未然防止を図っているところです。このほか、同規程に基づき病原体等取扱安全監視委員会を設置し、病原体等の取扱いの実施状況を査察・監視し、病原体等の安全な取り扱いを確認しています。

 また高度封じ込め施設運営委員会及び病原体等取扱安全監視委員会では、BSL4施設の安全管理体制を強化するため、高度封じ込め施設運営委員会ついては平成2711月より、また病原体等取扱安全監視委員会については平成281月よりBSL4施設の安全管理に詳しい外部有識者を参画していただいております。

②国立感染症研究所では、国立感染症研究所病原体等安全管理規程に基づき、バイオリスク管理委員会、高度封じ込め施設管理委員会、バイオリスク管理運営委員会及び病原体等取扱安全監視委員会を必要に応じ開催し、それぞれの委員会が所管する課題に対応してきました。

 病原体を取り扱う職員等は、国立感染症研究所病原体等安全管理規程に基づき、取扱う病原体等に関し、その本質、人体に対する病原性、実験中に起こり得るバイオハザードの範囲及び安全な取扱い方法並びに実験室の構造、使用方法及び事故発生等の緊急時処理等について、十分な知識を有し、かつ技術的修練を経ていることが求められています。

 また、同規程に基づき、病原体等の安全管理に必要な知識及び技術の向上を図るとともに安全管理には社会的責任を伴うことを周知させるための講習会や病原体等の取扱いに関する教育及び訓練を施すこととするとともに、この教育訓練を受けた職員等でなければ病原体等を扱う実験室に立ち入ることはできないこととすることにより、安全性を確保しています。

(厚生労働省大臣官房厚生科学課)

各委員会の使命、具体的な所掌、詳細な評価・チェック項目が明らかではない?ツールがないのではないか?

 

外部有識者の専門分野を問う

 

一般論で逃げる姿勢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病原体取扱い施設の安全情報の公開について

 

①「病原体等に関する情報については特定秘密としていないが、テロ防止の観点から、病原体等取扱施設の名称、所持する病原体等、病原体等に関する情報は非公開としている」とのことだが、テロ防止を理由に非公開とする法的根拠を具体的にお示しいただきたい。

 

②一種病原体等取扱施設、二種病原体等取扱施設、三種病原体等取扱施設は、H294月現在、全部で140施設あるということだが、これら施設は、病原体の取扱いに関する安全情報(所持する病原体名、安全管理の実態と体制等)の提供や病原体等漏えい等事故災害時の対応について、地元自治体(消防署、保健所など)と定期的な協議が必要と思われる。関係省庁としてその実態を把握しているか、また把握している場合は協議内容の詳細を伺う。

 

③一種病原体等取扱施設である国立感染症研究所では、地域住民を含めて情報を共有しているということだが、他の施設で、こうした地域住民と安全情報を共有している施設は、何施設あるのか伺う。

 

 

 

病原体等に関する情報は、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるため、非公表としている。なお、行政機関が保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第5条第4号は、「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を非開示情報と規定している。

 警察庁、消防庁、海上保安庁とは必要に応じ特定病原体等取扱施設の情報を共有している。

 なお、他の施設の情報公開については、詳細を把握していない。

(厚生労働省健康局結核感染課)

 

公開による利益と非公開による「利益」の比較衡量を具体的に論ずるべき

 

他の施設の状況も把握しておくべき

                                                          (幹事 川本 幸立)

国立感染研は「感染症法」「感染研安全管理規程」を遵守しているのか?

 川本幸立(幹事)

政府、感染研、日本学術会議は、「感染症法」「感染研安全管理規程」を遵守し、HEPAフィルタ、バイオハザード対策キャビネット(以下「キャビネット」と言う)などを適切に使用しておれば、バイオ施設から病原体が漏れるなどして周辺に生物災害(バイオハザード)が発生する可能性はないから、BSL-4施設を含めて人口密集地に立地しても何ら問題ないとする立場(いわゆる「HEPAフィルタ・キャビネット安全神話」)である。

 そうであれば、そもそも感染症法や安全管理規程には平常時非常時を問わず「バイオハザードゼロ」を保証するに相応しい規定がなされ、感染研では「責任ある管理」がなされていることを立証し説明責任を果たす義務が政府、感染研にはある。一方、当事者である地元の自治体(首長、議会、住民)はそれらを強く求め、自ら安全か否かを判断する主体でなければならない。

 

 当市民センターでは、2013年度、法に基づき感染研に対し安全管理(主に戸山庁舎、村山庁舎)にかかわる約20の文書の開示請求を行い、開示された文書内容を検討し、それを踏まえて感染研との文書による質疑応答も2回行った。

 その結果、以下のことが明らかになった。

  キャビネットのHEPAフィルタについて、法で定める技術基準(JIS 3800)に従って現場試験が行われている根拠もなく、かつ技術基準に適合しない不良品が多数あるなど、技術基準を無視した管理が横行している。現場試験は外部の業者に丸投げである。

  安全管理規程第1条の「感染研における病原体等に起因して発生する曝露及び感染症法に基づく事故の未然防止を図ること」という目的を達成するために設けられた4つの委員会(同第7条)がキャビネット、HEPAフィルタの管理(技術基準を含む)について無関心でありかつ必要な知見を有していない。

   建築、建築設備、実験機器・器具類の経年劣化が進んでいる。

 

 つまり、感染研において、「責任ある管理」は不在であり、周辺の住民は性能が確認されないHEPAフィルタを通過した実験室排気を一年中、「再利用」させられていることになる。

なお、HEPAフィルタは「0.3μmの粒子を99.97%以上を捕集する」性能を持つが、610mm角のフィルタで直径6mmの穴があっても検査に合格するものであり、穴の有無をチェックする「走査試験」(最大透過率0.01%を超えないこと)も直径0.25mm(250μm)の穴を許容するものである。

 以上より、政府、感染研、日本学術会議が依拠する「安全神話」は実態を検証もせず、何ら根拠もないことが明らかである。村山庁舎のBSL-4施設を稼働する要件は何一つ満たされてはいない。



■感染研村山庁舎のBSL4施設の「現状」! ~現地からのレポート~         

                           須藤 博

20158月、武蔵村山市の藤野市長は、村山庁舎のBSL4実験施設の稼働を条件付きで容認し、塩崎厚労相は稼働にゴーサインを出した。その後の状況について、武蔵村山市の現場から報告する。

市長は、容認に当たっては協定書でなく、「要望書」とそれに対する厚労大臣の「確認書」でお茶を濁した。大臣の確認書は、「霞が関文学」よろしく巧みに骨抜きしてあったが、今のところ、感染研側は市長があげた要望事項を遵守している。

まず、現時点でエボラなどBSL4クラスのウイルスを輸入しての実験は強行していない。施設の移転要望に関しても、(公式には!)検討中と答えている。安全管理のための「国立感染症研究所村山庁舎施設運営連絡協議会」は14回にわたって開催され、周辺自治会の代表と市の担当が加わった席で、「官制」ながらオープンな議論の場が確保されている。

問題のBSL4施設は、すでに稼働を開始している。まず20165月から9月にかけて、「SFTSウイルスを感染させたサルに対する抗血清の効果」を検証する実験が行われた。SFTSは、「重症熱性血小板減少症候群」を発症させるウイルスで、マダニに感染した猫に噛まれた飼い主の死亡が報じられたことで、一躍有名になった。

この病気の致死率は30%と高いが、分類上はBSL3施設で実験可能なウイルスである。しかし動物実験(サル)を使って安全を確保するには、密閉型のBSL4施設を使用するのが有効とのこと。研究の成果として、「感染したサルに抗体製剤を投与する実験を行うことで、SFTSの治療効果が認められ、今後、ヒトに使える治療薬につながる貴重な成果が得られた」(要旨)と報告されている。

実験を担当したのは、感染研ウイルス第一部長の西条正幸氏で、同氏は、武蔵村山市と厚労省が稼働に向けての協議を進めるために設置した、初期の「施設運営連絡協議会」で、厚労省の役人として熱心に説明に当たっていた。同氏は、現在「高度封じ込め施設長」も兼任していて、BSL4施設を推進した研究者が、率先して稼働の先鞭を付けた形だ。

 20177月からは、第4類の病原体であるニパウイルスの研究が始まっている。テーマは、「ニパウイルス感染症の診断システム(抗体検出法)の開発と評価」である。ニパウイルス感染症による致死率は32%とも70%とも言われ、アジア(マレーシア、バングラデシュ、フィリピン)で流行している。

日本での患者発生に備えて検査法を確立するため、20193月までの予定でBSL4施設での研究が行われている。このウイルスも分類上はBSL3施設が該当するのだが、動物を実験に使うためBSL4施設が適当とのことだ。

 これら2つの実験には、もちろん生きたウイルスが使用されている。分類上はレベル3ながら危険度についてはエボラウイルスと何ら遜色なく、周辺自治会の一員として、今後も慎重のうえにも慎重を期したオペレーションを求めて行きたいと思っている。


■遺伝子組換え実験施設の廃止に伴い、「安全協定」を解消                 

~昭和電工研究所と千葉市緑区の5町内会・自治会

川本 幸立(幹事)

 

 約2か月前の325日、千葉市役所本庁舎で、20年前の199412月に昭和電工先端技術開発研究所(以下、「昭電研究所」)と千葉市緑区の5町内会・自治会(以下「地元自治会」)の間で締結された「環境安全協定」を解消する「覚え書」を結ぶ手交式が、千葉市環境保全部長ら立ち合いの下で行われました。

 

 1994年に「環境安全協定」を締結したのは、千葉土気緑の森工業団地(千葉市緑区)内に同年1月に開設した昭電研究所で行われる業務の内、とりわけ遺伝子組み換え実験について多数の住民が周辺環境への危険可能性を危惧し、安全情報の全面開示と対話、研究業務規制を求めたことによります。(注1)

 

 注1:1993年に千葉市議会に2回の請願(それぞれ1万余、2万余の署名)で、①昭電と住民との間で協定を締結し、千葉市も関与すること、②病原性のあるものは扱わず、安全性を実証しない限り、遺伝子組み換え実験を行わないこと、③バイオなど先端技術に関する環境対策指針を制定し、条例を整備すること、④企業体質改善の証として新潟水俣病裁判の早期解決を昭電に求めること、を求めました。この背景には、昭電の公害体質(米国で38名の死者を含む数千名の被害者を出した遺伝子組換え食品Lトリプトファン事件、新潟水俣病など)に対する危惧と、もともと神奈川県大磯町に建設される予定だった昭電研究所が大磯町民の運動による反対派の町長誕生で建設計画が「中止」に追い込まれいつの間にか千葉の工業団地で建設が始まったことへの行政への不信感がありました。

 

今回、この安全協定を解消した理由は、研究所が2011年より遺伝子組換え実験をとりやめ、実験施設も撤去し、昨年11月、条例に基づき千葉市に遺伝子組換え実験設備の廃止を届け出たことによります。(また、動物実験についても2013年末をもって終了し、本年2月、条例に基づき千葉市に届け出ました)

 

 今後、遺伝子組換え実験を再開することはまずないと考えられますが、経営方針の変更もあり得ます。その場合は、私たちの運動により1994年に制定された「千葉市先端技術関係施設の設置に関する環境保全対策指針」に基づく手続き(住民説明会など)を一から行うことになります。また、千葉市と昭電間の環境保全協定の縛り(研究業務規制など)は生きています。

 これらを踏まえ、「環境安全協定」を解消する「覚え書」を昭電研究所と5自治会との間で「覚え書」を手交し、その中で「乙(昭電研究所)が、将来、先端技術研究所土気において遺伝子組換え実験を再開する場合は本協定の趣旨を尊重する」ことを明記しました。

この20年を振り返って~課題は「住民自治」と主権者としての自覚

協定は、公害の未然防止と昭電、住民間の理解、信頼関係の強化を目的(第1条)に、昭電、住民それぞれ7人ずつ出席する環境安全協議会の定例会を年1回開催する、協議会には11項目(バイオ、実験動物、化学物質、大気、水質汚濁、廃棄物など)の安全管理事項を報告し協議し合意事項は尊重し推進すること、住民の立入調査権、研究業務規制(病原体は扱わない、遺伝子組み換え実験はP1B1レベルを越えないことなど)が明記されていました。この協定に従い、19952月から20142月まで計21回の協議会が開催されました。私たちは安全管理の実態を昭電の原簿で確認し、立入調査ではごみ・廃棄物の中身までチェックしました。協議会内容は「土気環境安全協議会」ニュースで住民に報告(全戸配布)しました。

 

 全国でバイオ施設の環境安全をめぐる住民紛争が絶えません。20年前はこの安全協定のような住民と対話し安全情報を開示し立ち入り調査を認める協定や、協定締結を推進する地方条例もつくられるだろうと考えていました。しかし、20年たってもそうした話は耳にしません。その理由は「官」と「産業界・企業」との二元社会であること、住民側に主権者としての自覚が希薄なことが挙げられます。

 325日の「覚え書」手交式で発言する機会があり、「市民自治」との関係について触れましたので、以下に紹介させていただきます。

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【「覚え書」手交式あいさつから】

この「環境安全協定」は20年前に、昭和電工研究所と地元5町内自治会の協定に千葉市が立会人として確認する形で締結されました。

 協定の意義は、研究業務が周囲に及ぼす環境安全への影響について、行政や事業者任せではなく、当事者である住民自ら判断していくことにありました。

ポイントは、事業者と住民間で直接、環境安全に関する情報の公開、立入り調査を行い、対話することにありました。

 私たちは、この取り組みを通じて、この20年間、協定第一条に明記された2つの目的、「公害の未然防止」「相互の協調・信頼関係の強化」を果たせたことを高く評価します。

昭和電工様には、協定はこれで解除されますが、覚書内容の遵守とともに、住民とのさまざまな交流を通じて、協定第一条の2つの目的が今後も継続して達成されるようお願い申し上げます。 

一方、千葉市に対してですが、今、千葉市にも市民自治推進部が設けられ、部のホームページを見ますと「市民自治の推進」「市民協働の推進」が謳われています。この20年間の協定に基づく経験は、環境施策における「市民自治」の貴重な教訓だと言っても過言ではありません。

 行政施策をとかく住民「満足度」で評価する風潮にある昨今ですが、住民を行政サービスの消費者・受益者という一面でのみとらえ、「あとは行政におまかせ」という意識を住民に与えかねないものです。

本来、住民は地方自治、市民自治の担い手=主権者として学び考えを表明し、意思決定に参加することが求められます。

この20年間を通じて、この市民自治意識の形成が市政全般にわたる課題の一つであることを体験しました。

地域自治組織のあり方、協働の定義の見直しも含めて、市民自治の推進に向けて市民、NPOとともに「協働」で取り組まれることを希望します。


表―2:質問(川本)と回答(国立感染研)比較

 

質問書(川本幸立、20131129日付)

回答書(国立感染研、20131226日付)

前文

 行政文書開示請求で受領しました開示文書(開示決定通知書日時:平成25613日、感染研発第308324号)の内容を踏まえ、以下の件について質問させていただきます。

 文書にてご回答くださいますようお願い申し上げます。ご多用中、誠に恐縮に存じますが、年内に回答くださいますようお願い申し上げます。

貴殿からの20131129日付「開示文書内容についての質問の件」について、国立感染症研究所としてご回答申し上げます。

 

1①

1.H24年度P3実験室バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット「HEPAフィルタ」透過率試験結果について

①走査試験の詳細(検出管の吸引口のフィルタからの位置、吸引口の形状、走査速度、走査ルート及び延距離、吸引管サイズ、フィルタ気流速度と吸引速度)の詳細についてご教示ください

当研究所におきましては、所内施設設備の保全に関し、適正かつ適切な管理をするため、従前から定期検査を着実に実施するとともに、各種不具合等が生じた場合は速やかに対処しております。また各々の施設設備に必要となる各種検査・試験に関し、専門職を有する業者に依頼するとともに、当該検査・試験において得られた結果の信頼性の確保(計測の精度管理を含む。)に努めております。今般、平成24年度に実施した各種検査・試験に関する詳細情報をご要望(質問)されておられますが、当研究所において保有する行政文書は、本年6月の行政文書開示決定(部分開示あり)をもって公開したものが全てであり、更なる行政文書は在りませんので、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

2①

2.H24年度P2実験室バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット「HEPAフィルタ」透過率試験について

①走査試験の詳細(検出管の吸引口のフィルタからの位置、吸引口の形状、走査速度、走査ルート及び延距離、吸引管サイズ、フィルタ気流速度と吸引速度)の詳細についてご教示ください

質問1の回答に同じ

3①②

3.H24年度P3実験室給排気用HEPAフィルタの現場性能試験について

①検出管の詳細(HEPAフィルタ及びダクトからの位置、吸引口の形状及び管サイズ、フィルタ気流速度と吸引速度)についてご教示ください

②「一時的にカウントされる再現性のないカウントは、計測器自身の電気ノイズ、サンプリングチューブ回路などから偶発的にはく離した塵によるものでリークではない」と断定する具体的な根拠についてご教示ください

    質問1の回答に同じ

    当研究所におきましては、専門職を有する業者に依頼しておりますが、当該業者の行った検査・試験については、日本工業規格に基づく計測によるものであり、直ちに結果の信頼性(計測の精度管理を含む)を損なうものではないと認識しております。

4.バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット現場性能試験で不合格あるいは基準値範囲外となったものについて、更新・改修状況の現況についてご教示ください

当研究所におきましては、バイオハザード対策用クラスⅡキャビネットに係る平成24年度定期検査の結果を踏まえ、不合格の機器は、直ちにその使用を中止しました。なお、当該機器は、そのままでは使用することができませんので、適正な使用をするに当たり、補修するか、または当該機器を廃棄のうえ新たに購入するか、いずれかを選択するため、所要経費を確認のうえ判断することとしております。

 

 

終わりに、これまで公開しました文書において、今後、当研究所が改善すべきことなどご指摘いただくことができましたら、そのご指摘内容を真摯に受け止め業務改善していく所存です。いろいろお手数をお掛けしますが、よろしくお願い申し上げます。

(情報公開担当窓口)国立感染症研究所調整課調整評価係

Tel03-5285-1111(内線2039

 


■日本にP4施設は必要か                            

新井秀雄(代表幹事)

 

はじめに:今年度の当センター総会時のシンポジウムにおいて標記の話題で私の個人的な考えを話題提供しました。内容的には、今年の3月に長崎大学内で実施されたP4施設の学内建設に反対する学内外の方々向けの学習会に用意していたものが基になっており、結論的には今の日本の現状下ではP4の稼働(建設)を必要としていないということに尽きます。

 

1.  P4と国際伝染病

 ラッサ熱、マールブルグ熱、エボラ熱のような国内に存在しないいくつかの伝染病は、「国際伝染病」(その病原体取扱いはいずれもP4施設でのみ可能)と名付けられた。いずれも現在では「1類感染症」と「検疫感染症」の中に入っているが、①日本には常在していない、②感染力が強く、致命率が高い③治療法、予防法が確立していない感染症である。国内では未経験の重篤な感染症であり、もしも国内に侵襲すると大災害発生の可能性があるとされている。

2.  国内のP4施設-国立感染症研究所(以下、感染研と略)

国際伝染病に対応できる研究施設として1981年に東京都武蔵村山市にある感染研支所内に建設されたが、地元住民と市議会の反対により実質的なP4施設としての稼働は現在も停止中である。2001年アメリカでの炭疽菌郵送事件のあと、07年に生物テロ対策を盛り込んで感染症法が改定され、この感染研のP4施設は大改修工事が行われた。しかし、P4施設の本来の稼働は依然として停止のままである(詳細は当会ニュースレター第56号の須藤博氏の記事を参照されたい)。

3.  国際伝染病の国内侵襲を阻止する実際的な対応

国内に存在しない国際伝染病を国内に侵襲することを阻止する実際的な措置が「検疫」となる。検疫の体制があれば侵襲を100%阻止できるわけではないが、先ずは国際協力(流行状況の情報公開と流行地への接近禁止等)の下に、国内への侵襲を検疫機関の区域内に限局することが求められる。同時に、国際伝染病の流行地での限局化対策が重要であり、この面での国際協力が欠かせない。

4.  国際伝染病由来の生物災害を防ぐ

国内に侵襲する以前の対策は、検疫が最重要となる。19873月にシエラレオネから帰国した人にラッサ熱の疑いがあった。ウイルスの培養と分離はできなかったが、結果的にラッサウイルスに対する抗体がみられたことよりラッサ熱と診断された。患者本人は回復し、また二次感染もみられなかった。その後すでに四半世紀が経過するが、この事例以外の国際伝染病の国内侵入例はない。現在、国際伝染病の診断に関しては、感染研においてウイルス遺伝子、抗原、抗体等の検出および検出法もマニュアル化されており診断はいつでも可能な体制になっている。病原体の生のウイルス分離は、P4施設が使用できない現状では不可能であるが、たとえ出来たとしても時間がかかる。実際には、より迅速な病原体遺伝子検出法等の手法によって診断し、直ちに適切な処置をすることになる(しかし、幸いなことに、このような緊急事態はこの25年間一度も発生していない)。患者の救命努力と国内侵襲を防ぐ措置は緊急であり、時間のかかる生ウイルス検出による確定診断を待つわけにはいかない。

万一に、検疫バリアーを突破して国際伝染病が国内に侵襲し流行が国内に蔓延する事態が発生してしまった場合には、国内の各所にあるP3施設にて診断して、それ以降の対応をすることになる。この時点で病原体ウイルスは国内に拡散していることになり、その対応は各所で随時臨機応変的に対処せざるをえない。具体的には、特定指定病院以外にP3施設を持つ通常の感染症対応病院をも別途に緊急に指定して隔離することになる。

5.  日本においてP4施設の稼働は必要か。

事実としては、1987年に感染研にP4施設が建設されて以来、実質的にP4施設としては

使用されず、これまで特段の不都合もなかった。これは、国際伝染病を流行地現地で対応し、謂わば「風土病」的に流行地に抑えこむことで拡散させないための国際的協力が効果的であったことの結果とも言える。限局して拡散させない事例として、天然痘ウイルスは現在米国とロシアの特定の施設に「保管」されている以外には存在しないことになっている。かつては、国内の研究施設等でもこのウイルスの取り扱いはあったが現在は処理して皆無となっているが、今後米露の2施設から天然痘ウイルスを輸入して国内のP4施設で生ウイルスを取り扱うどのような必要もない。同様に現在診断法が確立している国際伝染病の原因病原体ウイルスを国内へ輸入して取り扱う理由もないと考える。もしも必要があれば、流行現地での国際的な協力機関においてなされるのが最も妥当であり、そのための予算的、人材的、施設資材的な国際協力に今以上の協力が望まれる。とりわけ志ある国内の若い研究者の現地機関への参画と援助を公的に支援されたい。

6.  生物テロ対策とP4施設

現在、世界中で40箇以上もあるといわれるP4施設の多くは、2001年のアメリカでの同時多発テロ直後の炭疽菌郵送事件以降のP4建設ラッシュによって設置されたようである。生物テロに使用される生物兵器の病原体に国際伝染病ウイルス等ないしはその遺伝子操作体が考えられていることはありうる。生物テロ対策の名目で今後もP4建設(稼働)が進むと思われる。

 

おわりに:個人的には、P4施設での科学的基礎実験を全否定するつもりはない。ただ、そのP4施設の立地条件が問題であり、今の日本に必要とは考えていない。

意図的な生物災害(生物兵器)との関連でのP4施設は、今後国内でも問題となることと思われる。


WHO 指針と勧告および世界の P4 施設の立地状況                                                 

                             長島 功

622日、「シンポジウム:日本にP4施設は必要か?」レジュメより

 

[1]『保健関係実験施設の安全性』(WHO、コリンズ・ケネディ博士編)の立地規定(同書16頁)

 

ラボラトリーの位置

ラボラトリーとそれに付随する地域または区域の、それら相互及び建物全体に関する相対的な位置が考慮されるべきである。

―①共通の機能を持つかまたは修理用の設備や実験用の設備が同じである実験室は施設の重複を避け、建物の中での試料の運搬を減らすために建物の一つの区域にまとめて設置すべきである。

―②大きな荷物の定期的な配達を必要とする実験室は荷物を受け取る区域または荷物専用のエレベーターの近くに位置すべきである。

―③患者が訪れて標本を提出するか届けなければならない場合があるとしても、実験施設はできる限り患者のいる地域、住宅地、公衆の集まる地域から離れて立地されるべきである。

―④実験室は建物の内部でそれが他の区域への通り道や通路になるような位置に設置すべきでない。

―⑤高度の封じ込め実験施設ないし危険度の高い実験施設(事実上BSL-4施設を指す―引用者)は患者や公衆のいる地域と往来の激しい交通路とから離れて立地されるべきである。

(訳注)高度の封じ込め実験施設を仮にBSL-3・4実験室と考えても、政府の言うようにpatient or public areasを病院内の区域と考えることはできない。というのは、そういうことになれば、BSL-3・4実験室が病院内に置かれていることになり、全く危険なありえない状況を想定しなければならなくなるからである。

 (訳注:現在ではBSL-4 laboratoryは「BSL-4実験室・実験施設」と訳すべきだが、1997年当時のWHO指針では、"BSL-4 laboratory"は独立した建物であると考えられていた。というのは、"such a laboratory is constructed"と言う表現があり、また"Maximum Containment Laboratory""the facility"と言い換えられているからである(See: Laborartory Biosafety Manual, second edition, 1993, p.24)。

―⑥修理用の設備は保守点検作業が実験作業に最小限の邪魔にしかならないように行われるような位置に設置されていなければならない。

―⑦可燃物の使用とむすびついて火災の危険の大きな実験施設、たとえば組織病理学の実験施設は、火災の影響と類焼を最低にするために患者や公衆が近くにいる地域ならびに可燃物貯蔵施設から離れて立地されなければならない。」 

●予研=感染研裁判で住民原告側の国際査察を行ったCH.コリンズ博士(元WHO顧問)とD.A.ケネディ博士(コリンズ博士は本勧告の編者であり、ケネディ博士は著者である)は、同研究所の「鑑定報告書」のなかで、同研究所の立地の是非を判断する際に、前記の③と⑤の規定の参照を求めている(「感染研の国際査察(4)―国立感染症研究所の査察鑑定書(芝田進午訳)」『技術と人間』19983月号、100頁参照)。

 

●なお先に述べたように、この箇所の解釈に関する政府見解は、以下に示すようにlaboratory「実験検査室」とのみ解し、laboratoryの位置に関する勧告を病院内での「実験検査室」の位置について述べたものであるとみなしている。

 

「バイオ施設の安全性確保に関する質問主意書」(200035日)質問第14

 

質問5.WHO Safety in health-care laboratories, 1997”では、「高度封じ込め実験施設あるいは危険な実験施設は、患者や公衆のいる地域とよく使われる道路から離れて立地されなければならない。」(p. 16)とし、バイオ施設の立地について規制している。日本でもこれに従い住宅地及び公衆の集まる地域に六知することを禁ずる法的な規制が必要と考えるがいかがか。

 

政府答弁(2000512日)

「お尋ねの「Safety in health-care laboratories」は、世界保健機関の公式文書ではなく、内容についてはその著者が責任を持つとされていると承知している。また、同文書の16ページにおいては、高度封じ込め実験検査室あるいは感染リスクの高い実験検査室は、患者のいる場所や公共部分あるいは人の行き来の多い通路から離れて設置すべきである旨が記載されているが、これは、病院等の施設内においてどこに実験検査室を配置するかを論じているものであり、実験検査室が住宅地及び公衆の集まる地域に立地することの是非を論じているものではないと承知している。」

(反論)政府答弁では、同勧告では病院等の施設が保健関係実験施設の主要なものとして重視されているように見受けられるが、以下の訳文に見られるように、病院内における実験検査室は、「そういうものもある場合がある」というくらいにしか考えられていない。

 「保健関係のラボラトリーは、入院患者と外来患者の治療室とともに病院の建物の一部を占めている場合もあるが、それに代わって、病院の敷地やそれと同様の敷地の上に建てられた孤立した建物であるか、または総合大学、医科大学ないしは公衆衛生研究所におけるように、その中で研究・教育活動が行えるような独立した建物複合群である場合がある。」

 したがって、同勧告の16ページの「ラボラトリーの位置」と題された一節は、病院内の実験検査室の位置について規定したものではなく、WHOsummaryの中の第3節を要約した一文が述べるように、保健関係施設の地理的な立地を規定したものに他ならない。

いずれにせよ、原発の立地について武谷三男がかつて述べた「場所は重要な安全装置」であるとの原則はバイオ施設にも当てはまると言える(武谷三男編『安全性の考え方』岩波新書、1967年、211)。

                                 

[2]ケネディ博士との往復電子メール

① 私からケネディ博士への電子メール

親愛なるケネディ博士

ご無沙汰しております。

 今回メールをお送りしましたのは、故コリンズ博士とあなたの編集によるWHOの勧告『保健関係施設の安全性(1997年)』(以下、『安全性』)が再び日本国民から注目を集めているからです。それというのも、長崎大学が人口密集地に囲まれた医学部構内にBSL4のバイオ施設を建設する計画を発表したからです。大学側は、この計画はWHOの指針と先に挙げた勧告[『安全性』]に違反しておらず、この計画がWHOの両文書に合致しているとのWHOの確認を得ている、と言っています。

 私たちが大学側と争っている点は、勧告[『安全性』]の16頁にある「ラボラトリー」という言葉が「実験検査室」と「実験施設」のどちらを意味するのかという問題です。

 日本政府は、第5項(政府の示した日本語訳では「高度封じ込め実験施設あるいは危険な実験施設は、患者や公衆のいる地域とよく使われる道路から離れて立地されなければならない」)を以下のように理解しています。

 「高度封じ込め実験検査室あるいは感染リスクの高い実験検査室は、患者のいる場所や公共部分あるいは人の行き来の多い通路から離れて設置すべきである旨が記載されているが、これは、病院等の施設内においてどこに実験検査室を配置するかを論じているものであり、実験検査室が住宅地及び公衆の集まる地域に立地することの是非を論じているものではないと承知している。」

 私の考えでは、政府による第5項の解釈は全く間違っています。この項目における「ハイレベル封じ込めラボラトリーまたはハイリスクのラボラトリー」とはBSL34のラボラトリーを意味していると思います(あなたの意見ではこの分類の仕方は妥当ですか)。私はこのようなラボラトリーが病院内に存在するというのはありえないと考えます。

 また第5項、第7 項の正確な解釈についてもご提示ください。というのは、この解釈問題は私たちが長崎大学または政府と争っている第一のまた最重要の論争点だからです。

 あなたにお願いしたいのは、第3項と第5項のあなたの解釈を示していただきたいということです。私たちが勝利を得ることができるかどうかはあなたの回答にかかっています。

長くなりすみません。

お返事をお待ちしております。

敬具

長島功

2013327

 

② ケネディ博士からの返事

 

親愛なるイサオ

 私の考えでは、長崎大学医学部構内におけるBSL4バイオ施設の設置に反対するあなたがたの場合には、三つの項目(第3項、第4項および第5)が当てはまります。

 

*訳注

345項とは以下のとおりです。

 

3 患者が訪れて標本を提出するか届けなければならない場合があるとしても、ラボラトリーはできる限り患者のいる地域、住宅地、公衆の集まる地域から離れて立地されるべきである。

4 実験室は建物の内部でそれが他の区域への通り道や通路になるような位置に設置すべきでない。

5 高度の封じ込めラボラトリーないし危険度の高いラボラトリーは患者や公衆のいる地域と往来の激しい交通路とから離れて立地されるべきである。

 

1.今になってみれば、解釈を容易にするためにこれらの項目の言葉づかいを改善できたと思っています。

2.私の意見では、第3項は、ラボラトリーはできるだけ患者が検査または治療される区域または人が住む地域や公衆のメンバーが自由に往来する地域に設置または立地させるべきではない、ということを言っています。このWHOの出版物[『安全性』]は"laboratory"という言葉を定義していません。しかし、1416頁の「ラボラトリーの建物と敷地」という見出しの下で言われてことを参照すれば、"laboratory"という言葉はここでは、病原体、化学物質、科学的または医学的な調査・検査がおこなわれ、放射性物質などからの受け入れることのできないリスクを実験室の研究者や他の人たちに与えるかもしれない建物または建物群のことを指しています。故コリンズ博士も私のこの解釈に同意しただろうと確信します。この回答の第8節を参照ください。

3.私の意見では、第5項は、単一の実験室または実験室群が他の目的のために使用される1つの建物内に設置されなければならない場合には、リスクを減らすために、それらはその建物内の他の区域につながる通路に接した区域に設置されるべきではありません。

4.私の意見では、第5項は、高度の封じ込めラボラトリーないし危険度の高いラボラトリーが他の目的に使用される建物内に設置されなければならない場合には、リスクを減少させるために、それは患者が検査または治療される区域内にまたはその建物の他の区域に通じる通路に接した区域内に設置されるべきではありません。

以下の諸節は、WHOの『病原体等実験施設安全対策必携』第3版(2004年)(以下、「指針」)の第5章の25126頁に関するものです。

5.25頁で「指針」は、「高度実験室・施設―BSL4の運営は、国や他の適当な保健当局の管理化に行われなければならない」、そして「BSL4実験室・施設の開発に取り組んでいる組織体で、さらなる情報が必要な場合にはWHOのバイオセーフティ当局に連絡を取られたい」と述べている。私の意見では、これは日本のどこにあってもそのBSL4実験室・施設は日本政府の直接的な管理の下または日本政府に対して直  接の責任を負う機関の管理の下になければなりません。さらに、日本政府またはその機関は、その厳密な立地場所を含めて、この[BSL4の]実験室・施設はWHOの「バイオセーフティ・プログラム」により与えられた助言に合致していなければならないという要求を満たさなければなりません。

6.私の意見では、WHOBSL4実験室・施設の国による管理の必要を唱えている理由は、WHOが各国政府はBSL4の封じ込めを必要とする実験作業が国の利益のために必ず正当化されるよう望むだろうということを考慮しているからです。さらに、各国政府は、その国民がその領土に意図的に導入された最も危険な病原体の漏出から適切に保護されることを保証するのに最も適した機関です。

7.26頁では、「高度封じ込め実験室・施設―BSL4―は、独立した建物内かまたは頑丈な建物内の明確に区別された区画に立地・設置しなければならない」と述べています。私の意見では、これは、BSL4施設は一棟建てで立ち入りが管理される建物でなければならないか、または立ち入りの管理された建物内の独立に管理されている施設でなければなりません。以下の項目は英国保健安全局の危険病原体諮問委員会(AGDP)編『バイオセーフティ指針』(2010年)の表7、注1に関するものである。

8.同指針は、BSL4では「実験室群」は同じ建物内の他の区域から分離されていなければならず、または独立した建物内にあると述べています。これは2004年にWHOが言ったことと一致しています。この英国の2010年の文書は、「実験室群は、エアロック、着替え室、貯蔵室、および生物因子[病原体のこと]や微生物の不活化または処分のための付随する部屋を含めて基盤インフラ、設備およびサービスを伴う1つま  たはそれ以上の実験室を意味します。私の意見では、「実験室群」はこの回答の上記第2項で挙げられたような「実験室」の意味を表しています。

この回答があなたのお役に立つことを願っています。これについて何か質問がありましたらお知らせください。

敬具

デビッド

2013412

 

[3]WHOの指針と勧告などの内容

①指針:”Laboratory Biosafety Manual, 2004”邦訳『実験室バイオセーフティ指針』

●「実験室から(安全キャビネット以外から)の排気を建物の外に排出する場合は、内部に人間の居る建物および空気取り入れ口から離れたところに拡散するようにしなくてはならない。使用する病原体にもよるが、実験室の排気はHEPA フィルターを通して、排出して差し支えない。」(邦訳21頁)

(注)P3実験室に関する規定であるが、P4施設もこれを順守することになっている

●「高度実験室バイオセーフティレベル4の運営は、国や、他の適当な保健当局の管理下に行われなければならない。」(同25頁)

●「高度封じ込め実験室バイオセーフティレベル4は独立した建物内か、頑丈な建物内の明確に区画された場所に設置されなければならない。」(邦訳26頁)(第3版で新たに加えられた規定)

●「緊急事態対応計画の策定にあっては、以下の項目が取り込まれるように考慮する:―危険に曝される可能性のある職員と住民人口(populations)の特定

②勧告”Safety in health-care laboratories, 1997”(『保健関係実験施設の安全性』)

●この勧告の効力:

 政府はわれわれの質問主意書に対する回答(2頁)のなかで、この勧告は「世界保健機関の公式文書ではなく、内容についてはその著者が責任を持つとされている」と述べている(前掲の”Laboratory Biosafety Manual, 2004”にも同様の文言がある)が、著者の一人であるCHコリンズ博士(元WHO顧問)によれば、同文書はWHOの技術専門部会のメンバーによって書かれたものであり、明らかにWHOの正式な文書であるという。日本がWHOの加盟国であるならば、その文書が公式のものではないからそれに従う必要はないというようなWHOを無視する消極的な姿勢に終始するのではなく、その出版物に示された見解を尊重することが加盟国としての模範をしめすことになると考える。また現在でもWHOの公式ホームページに要約が紹介され、販売されているので、この勧告は現在でも効力がある

(注)コリンズ博士が病原体実験施設の立地に関するこの勧告を出したのは、198812月に日本の新宿区戸山の人口密集地に予研=感染研が機動隊を導入して移転を強行した事態を憂慮したためだと考えられる。というのは、奇しくも同勧告が発行された年(1997年)の618日にコリンズ博士とケネディ博士は感染研の国際査察を行ったからである。同勧告の出版と国際査察のどちらが時間的に先かどうかは分らないが、それらが同じ年に行われたことは偶然ではない。  、

3"Laboratory Premises(実験室の建物と敷地)"の趣旨(前頁の下線部より)

「実験室の建物と敷地に関する第3章は、最大限の安全確保のために実験施設(laboratory facilities)の立地を決め、設計する際に考慮する必要のある多くの事柄について論じている。」

 (注)"laboratory"には「実験室」を指す場合と「実験室の建物(実験施設)」を指す場合の2通りの意味があることに注意。英英辞典では同語は"room or building used for (esp scientific) research, experiments, testing etc."と定義されている。しかし、後に示すように、政府は"laboratory"をもっぱら"lab room"(「実験検査室」)のみを意味すると偏った解釈をしている。私たちは、第3章では"laboratory"は「実験室」と「実験施設」の両方の意味を表していると考えるので、以下では文脈によって訳し分ける。

周辺環境の保護はlaboratoryの義務

  WHO指針は「第3節 実験施設の建物と敷地」の冒頭の「一般的な設計目的」と題した節の最後(14頁)で、保健関係実験施設の義務について次のように述べている。

 「保健関係実験施設は、その職員、使用者、訪問者の健康と安全を保障すべきであり、隣接する建物と公共の場所(adjacent buildings and public places)をふくめて、地域的環境ならびに全般的環境(the local and general environment)を保護すべきである。」

  このようにWHO指針が、実験施設の義務として、内部の関係者の保護だけでなく、周辺環境及び環境全般の保護を挙げていることは、実験施設の安全対策の必要性に加えて、実験施設の立地条件をも規定するWHO指針の基本姿勢を表している。


■6.23シンポ報告

人格権の尊重(バイオハザードの予防)か?警察国家化(テロ対策)か?

川本幸立(幹事)

 今年1月のシンポジウム「いま話題のワクチンを考える」で講師の母里啓子さんが、「脅威を煽るメディアと脅しに過剰に反応する国民」という構図を指摘されました。

ワクチン問題だけでなく、過去の戦争についても「70年前、日本社会は異様な空気に包まれていた。『作られた熱狂』である。この熱狂を作り出したのは、新聞・ラジオなどのメディアだったと言われる。その中で、日本は戦争への道を歩んでいた」「軍への批判を続けると(不買運動により)自分自身はもちろんのこと、自分が所属している新聞社の存続が危うくなる。軍部への批判を控えて無難な国益への同調が繰り返された」「メディアの報道によって満州権益は日本人にとって最も重要な国益となった」「紙面を読んだ国民も、大きな喝さいを送った。このメディアと民衆の熱狂が、やがてひとり歩きを始める」と指摘されています。(NHK取材班「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」(下)NHK出版、2011年)

 母里さんの指摘は、こうした過去の戦争責任問題だけでなく、消費増税や尖閣諸島領有権、核発電所再稼働問題でも共通する構図です。

 そこで、バイオハザード予防の視点から、「メディアが煽る脅威に騙されない市民自治社会」をどうつくっていくのかを考えようということが私の発表の動機です。

 

「科学の成立する前提は生命の権利、正義、法、良心である」(芝田進午氏「意見書」より)

 

核発電所事故をめぐり、「科学」「科学者」の基本が問われています。もちろんバイオハザードについても共通するものです。予研=感染研裁判で故芝田進午先生は、裁判所への意見書のなかで次のように主張されています。(「バイオハザード裁判」緑風出版、2001年)

「科学が大切なのではなく、人間の生命が大切なのだ。人間の生命のために科学があるのであって、科学のために人間の生命があるのではない」

 「科学は人格権(近代の人権宣言が基本的人権の筆頭に位置づける「人間の生命(健康を含む)、自由、幸福追求の権利」)の延長として、また自然・社会の法則を明らかにして、人格権をよりよく保障し、実現するために生まれる創造的な精神活動である」

 「731細菌戦部隊に協力した『医学者』の『科学』は、断じて科学ではなく、人道に反する重大犯罪であったにすぎない。水俣病裁判で知っていながら有機水銀と水俣病の因果性を否定する偽証をした会社側の御用『科学者』の『科学』は、エセ科学以外のなにものでもない」

まず、人格権の侵害、エセ科学との闘い、としてバイオハザード予防の取り組みは位置付けられます。

 

カルタヘナ法も改正感染症法も人格権、地方自治、2つの確定判決、国際基準を無視

 

 200611月の厚生労働委員会で私は参考人として、感染症法改正案の課題・問題点について以下の点を指摘しました。

 

 WHOが勧告・指針で求めている「バイオ施設をバイオハザードの発生源として認識し、周辺住民への感染防止の可能性を認めその防止を活動の中心的な目標とする」「加盟国は実験室感染の発生とその結果、感染が地域社会に広がる可能性を最小限に抑えること」などを遵守する姿勢が希薄であり、法案がWHOの勧告、指針を満足していることが検証されていない。

 非意図的に発生する「バイオハザード」と意図的・作為的に実行する犯罪的行為である「生物テロ」というまったく違う概念を一つの法律におしこめようとした結果、生物テロ防止の観点が優先され、地方自治体、保健所、住民への情報は遮断され、住民への説明責任は無視されている。

 その結果、人権の尊重を基本に推進するとされた感染症法の目的から大きく逸脱するものとなり、バイオ施設をめぐる2つの裁判の確定判決の成果(現代の最新の科学的知見と万全の施策を講じて未然防止に努める必要があること、未然防止のためにもまた広く国民の理解と協力を得るためにも、情報公開には大きな意義がある)もないがしろにされている。

 

その後、これらの課題・問題点は国会レベルでは深く検討されることもなく原案通り可決されました。また、バイオ施設の耐震安全性確保の課題が放置された経緯については、会報第71号の「地震とバイオ施設(その3)」を参照ください。

 改正感染症法のみならず、カルタヘナ法も、地方自治体や住民への情報公開などを無視したままです。地方自治、人格権は侵害されたままです。

 

地方から条例などの制定運動を!

 

 地方分権の時代、地方自治体は自らの創意と工夫で分権時代に相応しい仕組み(条例などの制定)をつくることができます。バイオハザード予防市民センターは従来から、人格権の尊重を基調として、WHO勧告・指針の遵守の立場から、法試案や条例試案を公表してきました。

エセ科学による地方自治、人格権の侵害がまかり通る現状を変革するために、

バイオ施設に係る環境安全を確保する条例の制定を求め、そこに人格権の尊重、自治体の役割、WHO勧告・指針の遵守、住民への説明責任などを明記すること。

地域防災計画に、バイオ施設を発生源とするバイオハザード時の対応を規定する

バイオ施設の耐震安全性の確保とそのための関係法令(技術指針など)の改正を求める。

の運動に今年度は地域の方々と共に、取り組んでいきたいと考えています。

以上