■科学者として デング熱の国内流行について                 

新井秀雄(代表幹事)

 

デング熱は、全世界で毎年約1億人が発症し、その中から約0.25%(25万人)が重症のデング出血熱に移行すると推定されている(感染症情報センター;http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_50/k04_50.html)。

国内でのデング熱の流行は、1942年から45年に外地から帰還した兵士らによって持ち込まれ、国内に生息するヒトスジシマカによって媒介され西日本で20万人規模のデング熱流行が発生した(堀田 進「衛生動物」第49巻第4号、1988年;http://ci.nii.ac.jp/naid/110003818852参照)。その後は、海外で感染して帰国後発症することで見つかる(海外渡航者の感染)症例が近年では毎年200人程度確認されている。今年の827日の厚生労働省の発表で、海外渡航歴がなく国内で感染したとみられる1症例(約70年ぶりの国内感染例)が明らかになった。デング熱は、自然界では蚊を介して感染する経路以外になく、人から人へ直接的な感染はないとされ、この場合も海外で感染し帰国した人に吸血した蚊を介して感染した可能性が高いとされた。以来、デングウイルスを保有している蚊が注目され、しばらくして東京代々木公園で捕獲された蚊からウイルスが分離されるようになった。その後、来園者等の感染者が次々発見され、さらに他の公園等でもウイルスを保有する蚊が捕獲されるようになった。

 デングウイルスを保有する蚊(この場合、ヒトスジシマカ)は、どのようにして次世代の蚊にウイルスを引き継いでいくのか。ヒトスジシマカは卵で越冬し、ウイルスが卵を通して次世代の蚊に引き継がれることはない(厚生労働省ホームページ)。人を含めた霊長類以外での感染はみられないというこのウイルスが、気候温暖化の今日、経卵感染などの方法で越冬可能になっていないのかどうか。今回のデングウイルスや蚊について、何らかの人工的な改変操作があるかもしれない。

1114日配信のウォール・ストリート・ジャーナル(日本語版;http://headlines.yahoo.co.jp/list/?m=wsj参照)に、ウォーターリード米陸軍研究所が、健康な人をデングウイルスに感染させる研究プログラムの復活を検討しているとある。それほど病原性が強いとはされていないデングウイルスも遺伝子操作することで、生物兵器の有力な候補に再びなるかも知れない。今後のデング熱流行の動向に注意する必要があろう。

 ヒトスジシマカの活動時期は、5月中旬〜10月下旬とあるが、はたして来年の活動期に国内のデング熱の感染状況はどうなっているか。今年のような感染の事態が再び見られるようであれば、デング熱はもはや国内に常在化していると考えるべきかもしれない。


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