「感染症予防法改正案」は警察国家化への露払いになる!

〜政党、労働組合、市民団体、市民の皆さんへ改悪反対を訴える〜

 

 私たちバイオハザード予防市民センターは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下感染症法と略す)の改正に関し、すでに声明の形で反対の見解を表明した(本年4月28日付、注1)。また、去る11月8日の衆議院厚生労働委員会において社民党阿部知子委員の要請により、当センターの川本事務局長は参考人として改正案に対する批判・反対の意見を述べた(注2)。

 甚だ遺憾なことに、社民党を除く全ての与党と野党はこの改正案に十分関心を示すこと無く、改正の本質についての掘り下げた討議もないまま委員会を通過させた。当然、衆議院本会議においてもこの法案は圧倒的多数で成立してしまった。

 このような情況において私たちは、この改正がバイオテロ対策を踏まえて提起されたことを、再度明確に想起する必要があることを訴えたい。そして、非意図的に災害が発生するバイオハザード(生物災害)と、意図的に災害を発生させるバイオテロとの違いを、一層明確に認識せねばならないと考える。

 本来この感染症法は、人権尊重に立脚し、自然発生の感染症(バイオハザードの典型)による被害から人々を護るための厚生労働行政にとり必要な法律である。しかし、バイオハザードとは異なる非倫理的・意図的・計画的本性のバイオテロ(時に国家による生物戦争)への対策を考えての本法改正と謳われては、市民の立場でそれを容認することは全くできない。そもそもバイオテロ対策は、治安行政・警察行政さらには防衛行政の一環であり、公衆衛生行政の一環である感染症対策に組み込まれるべきものでは決してない。敢えてそれを強行するならば、戦前の公衆衛生対策(=伝染病対策)が警察権力による人権無視の強制執行であったと同様の事態が再現されることになることは必定である。人権確保の視点から既に廃止されたエイズ予防法やハンセン病予防法の歴史を顧みても、私たちはバイオテロ対処を念頭に置く今回の感染症予防法改正案に反対せざるを得ない。

 国会議員諸氏をふくむ全国民が感染症に罹る可能性を平等に持っていることは、否定し得ないことである。それゆえ、感染症法が改正されたならば、罹患者の人権を蹂躙しても行なわれる警察の治安対策行動に全ての人々が曝されることになるであろう。恐るべき警察国家の完成である。一人一人が自分の人権を主張し、隣人・知人の人権尊重を掲げて、感染症法改正に反対しようではないか。

 なお、今回の改正案は、国際動向や世界保健機関の規定に合致した法規定になっていないこと、バイオ施設の建築基準(とくに耐震基準)や立地基準を示していないことなど、重大な具体的問題に全く触れていないという欠陥も持っている。一層総合的に広い視野から感染症対策を捉え、的確な法律を一日も早く確立すべきである。

 

 注1:当センターHP参照 http://homepage2.nifty.com/bio-anzenken/ 

 注2:第165国会厚生労働委員会会議録第5号

 

2006年11月30日

                バイオハザード予防市民センター

                   代表幹事 本庄重男  新井秀雄

                 千葉市緑区大椎町1188−78 川本方

                   電話&FAX 043−294−8607