なぜこの片田舎に慶應義塾の研究所か?


高橋龍郎(山形県鶴岡市在住)

 なぜこの片田舎に慶應義塾の研究所か、という経過について簡単に述べます。

 1994年頃から庄内地区に4年制大学をと云う声があったらしい、そして2001年開校したのが公設民営の「東北公益文科大学」である、ところが大学は酒田市に、大学院が鶴岡市にとなったことから4年間指をくわえて見ていることになった鶴岡市は新大学の運営主体である慶應義塾に、公設民営の研究所を建てるから来て欲しいと頼み込んだ、世間の目がバイオ研究所に次第に厳しくなって来ている折りから、無料で差し上げると云うし、運営費や研究費も補助するとのこと、金も出すが口も出す企業と違い金は出すが口は出さないと云う願ってもない好条件、と云う次第で「快諾した」のが真相のようだ。

《行政の対応》

 私が遺伝子組み替え食品に関心を持ち始め、予研裁判を知った時期でもある、この研究所についての市の広報誌に「P2レベルの研究室を備えている」と云う文字を見付けた、早速具体的な情報を知りたいという思いに駆られ、まず市の情報公開条例を利用することにした、ところが入り口の段階で「公開請求されてもその検討する文書自体が存在しません」で扉を閉じられてしまった。そこで「そうですか」では引き下がれないと思い、建築確認書や排水処理に関する下水道課への届け、廃棄物処理に関する届け、防火施設に関する消防署への届けなども一切無いのかと質したところ、やっと下水道課に提出された書類を公開した、なお建築確認書は県に出しているので「建築計画概要書」を閲覧したが、廃棄物処理と排水処理は専門業者に依頼しているし防火関係は地区消防事務組合扱いで市は関係ないとの対応であった。

 最後に私が、市の職員として市民の生命と健康、安全を守る立場から研究所との間で「環境保全協定とか公害防止協定」等を締結する必要が有るのではありませんかと意見を述べたところ、研究所としても文部科学省の指針に基づいた内部規約を作成するだろうし、鶴岡市は慶應義塾を全面的に信頼しているので協定などを結ぶこと等一切考えていません、と云う回答であった。

《今後の取組み》

 そこで私はこれ以上県や市に情報公開を求めても、また担当職員と会話をしても進展は期待できないと判断して(市職員に遺伝子工学やバイオハザードに関する知識のある人は少なくとも幹部職員には居ないようだ)直接慶應義塾研究所から情報を得るしかないと考えた、しかし私一人だけでは相手も軽視するだろうし私自身もしんどいので、以前バイオ研究所の危険性を訴え当初の予定地を変更する事を求める署名活動を行った方がおられたので連絡したところ、その時には水道問題に関する住民投票条例制定を求める署名活動をしていたグループに参加しており、グループの人達も水道問題が一段落したら研究所のバイオ問題に取り組みたいと話している、その時には連絡するからと云うことだったのでその人達と一緒にやっていくことに決めた。

 5月21日連絡が入り第一回目の話し合いが行われ、私から情報公開や市の対応について説明し、研究所の見学説明会に参加した人からはその時質問への答や施設についての感想等が述べられ、5月28日に再度会議を開き研究所や鶴岡市に対して行う質問の具体的な内容について話し合うことにした。

 第2回目の会議では、どのようにしたら研究所から情報を引き出されるか、どのような情報を聞きたいのか等について話し合った、質問状を出して回答を求める方法も考えたが、相手が警戒して口を閉ざす可能性があるという意見があり、市民の間に研究所について聞きたいことがくあると云うことで、市民、行政、研究所が自由に意見や質問を出し合い、それぞれの考えを述べあえるようなフォーラム形式の集会を持つことに決定した、ただし最小限次の事については答えられる準備はしてきて下さいとして、下記の質問事項を事前に研究所側に提示しておくことにした。

・「実験指針」に則った「安全管理規定」等を定めているか、それを公開するか。 ・「実験安全委員会」等を設置しているか、それには市民など研究者、職員以外の人も入っているか、または入れる予定はあるか。P2レベルの研究所と聞いているが、今後レベルを上げる可能性はあるか。
・供与体、宿主、ベクター、マーカーとしてどのような生物試料を取り扱う予定か。
・放射性物質を使う予定はあるか。重金属を使う予定はあるか。排水処理の方法はどうなっているか。
・廃棄物処理の方法はどうなっているか。排気装置の位置と方向はどこか。
・排気装置のHEPAフィルターの精度はどの位か。昭和電工と千葉市緑区の住民との例もあるが、鶴岡市民と研究所との間で「安全協定」等締結する考えはあるか。
・現在の段階で危機管理態勢は整備されているか、例えば地震や火災などの時の実験体等の外部漏出防止策とか自治体への連絡網の整備は整っているか。
・遺伝子組み替えにより生物試料が病原性を帯びなかったかどうかの確認を行うことになっているか。
・また行政側には事前通告はしないが、慶應義塾本体又は研究所と、環境保全協定或いは先端科学技術安全協定を締結する考えはあるか。
・今後予想されるバイオ研究所の設置を見越して鶴岡市独自の「環境保全条例」や「先端科学技術安全規則」等を制定する考えはあるか、 等を質問することにした。
 大事なことはいかに多くの市民から参加してもらうかと、全てに於いて明確な回答は期待できないと予想されるが、その場合どの様にして継続して取り組んでゆくかが最大の課題と考える。

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