新型インフルエンザに関する見解

 2009106

       バイオハザード予防市民センター 代表 新井秀雄 臼田篤伸 

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●異常なまでのワクチン・タミフルの徹底政策

 新型インフルエンザに関する最近の政治と報道、とりわけワクチンとタミフルの徹底した押し付け政策は、常軌を逸している。若者を中心とした集団的流行は見られるものの、国民生活を脅かすような流行や症状が果たして発生しているのだろうか。922日現在で、死亡者は18人を数えたが、その大半は慢性病を抱えた人たちである。流行の広がりから見るならば、死者数は決して多いとは言えず、むしろ通常の流行より少ないとも言えよう。したがって、国民を不安に陥れるような過剰なインフルエンザ対策、それを増幅する異常報道は厳に慎まなければならない。しかしながら現状は、未曾有のワクチン、タミフル使用の徹底が叫ばれている。今日のインフルエンザ情勢とは、まさに「翼賛政治」そのものではないのか。

正しくは「新型」ではなくAソ連型(H1N1)の変異型

今度の「新型」は、50歳代以上の人が罹りにくい特徴がある。これについては、浜六郎氏が、『薬のチェックは命のチェック』(以下『薬・命』と略記)35号で分かりやすく解説している。季節性インフルエンザの4分の1を占めるAソ連型(H1N1)と同じタイプだからである。50年前にアジアかぜ(HN2)が発生するまでは、H1N1のみが流行していた。したがって1956年以前に生まれた現在53歳以上の多くの人はHN1型の免疫を持っているから罹りにくいのは当然のこととなる。

●季節性とあまりかわらないインフルエンザ

 前記『薬・命』において、浜氏は「いつもと変わらん、軽いインフルエンザー正しい情報を身に付けよう」の見出し記事を載せている。それによると、今回のパンデミック騒ぎでは、当初、「豚インフルエンザ」「豚由来新型インフルエンザ」などと呼ばれ、インフルエンザの流行がパンデミック直前の状態だと世界中が大騒ぎした。やがて、5060歳以上の人はかかりにくいという情報があり、その後データとしても裏付けられたという。それならば、5060才以上の人が以前にかかったことのあるウイルスがまた流行りだしたに過ぎないのではないかと指摘する。つまり、いつもの季節性インフルエンザ(A型HN1)とあまり変わりがないということになる。その後、WHO430日に、「豚インフルエンザ」ではなく、「新A型インフルエンザHN1」とした。しかし、浜氏は、百歩譲って「新型」だと仮定しても、大半の人が軽症で経過し、結果として自然感染の免疫が出来るわけだから、タミフルなどによる特別な治療も予防も不要と述べている。

●インフルエンザは風邪の一種

 この10年ほどの間に、風邪とインフルエンザを別々の病気として切り離すことが、厚労省を取り巻く風邪学者らの手によってなされた。「インフルエンザは風邪じゃない」キャンペーンがそれで、政府広報として新聞等に連日のように掲載された。怖い病気として国民を不安に陥れ、ワクチン・タミフルを国民全体に押し付けようとの試みだったが、真実とはかけ離れたものだ。山本英彦氏の最近の論文(『小児にとってインフルエンザは特別な疾患だろうか』 診断と治療、20093月号)によると、市中大病院の分析結果から、インフルエンザは、入院対象疾患という観点からは特別な存在とはいえないこと、小児インフルエンザは、大部分が少し程度の重い風邪であると述べている。さらに、エビデンスのきわめて薄いワクチンを流布するために、頻度の極めて低いまた対応可能な場合の多い重症症例を強調しすぎているのが、今日インフルエンザを特別視させている現状である、と指摘している。さらに脳症の発症は、消炎鎮痛剤やタミフルなどの薬剤が主原因であることも明らかにされている。よって、風邪とインフルエンザの病名分離は、ワクチン、新薬を大量投与するために編み出された方便だったことが見えてくる。病原体のみをターゲットにする欧米合理主義医学(臓器別医学)に盲従し続けた結果と見るのが妥当である。

●心ある研究者を登用せよ

 インフルエンザを重要疾病とする決定には、一部の決まった学者ばかりが関与してきた。それもワクチン・タミフルの旗振り学者ばかりである。欧米の学者や製薬会社に協力する人間が揃っている。国立感染症研究所の幹部もその中心的役割を果たしているのは周知の事実だ。科学的、客観的に医薬品を評価する姿勢がほとんど見られないのが、これまでのインフルエンザ関連の情報といっても過言ではない。大阪を中心として、科学的で説得力あるインフルエンザ情報を発信している学者グループがある。その代表格が、前出の浜六郎氏が主宰するNPO法人・医薬ビジランスセンターである。

●病院囲い込み政策に国民を動員するな 

インフルエンザかなと思ったら48時間以内に病院にかかって、診断キットで検査してもらい、診断されたらタミフルを飲ませることが国策として行われている。今度の「新型」騒ぎで、病院や診療所がその感染拡大の場として危険との指摘が見られるようになったにもかかわらず、病院囲い込み政策に回帰してしまった。タミフルを投与したり、ワクチンを打つために、わざわざ病院へ行かせることが再び目的化したといって差し支えない。ワクチン・タミフル推進者達は、この矛盾をこれまでと同様に何とかごまかすであろう。今日のインフルエンザ医療に概ね肯定的立場をとる読売新聞の「医療ルネサンス」(62日付)でさえ次のような疑問を指摘する。「季節性インフルエンザにかかっても大半の人は自然に治る。病院に来ればかえって感染を広げてしまう恐れもある。今回の新型ウイルスでも、タミフルを服用する前に、症状が治まっていた患者も多い。タミフルは、高熱などの症状を1日か1日半早く鎮めるとされるが、肺炎など合併症を防ぐデータはない。また発症して48時間以内に飲むことが必要だ」と。厚労省は、病院へ競ってかかることの危険性をはっきりと国民に示すべきである。インフルエンザの成り行き任せの流行と、ワクチン、タミフルの大量投与が繰り返され、「病院囲い込み政策」の愚行が果てしなく続くこととなった。

●危険なワクチン・タミフル オンリー路線

今日までの新型による死亡者数を見ると、意外なほど少い。つまり、新型と言っても通常のインフルエンザと大差ないと見るべきだろう。亡くなった人のほとんどが、解熱剤や、タミフル、リレンザを服用しているので、それらが原因の可能性も十分に考えられる。新聞は、入院して治った1,2例のケースをわざわざ大きく“重症だ”と書きたてている。インフルエンザウイルス自体、どこにでもいる常在菌と同類であり、ワクチンなどやっても自然界に拡がる宿命を持っている。つまり、感染を防止できないことが分かっている。そこで専門家らは、ワクチンによる「重症化防止論」を編み出した。ところがワクチンには恐るべき怖さが潜んでいる。全く健康な子どもや成人が、突如として死亡したり重度の障害者にさせられることがある。その実例は国内でも枚挙に暇がない。また、新型ワクチンの危険性は、1976年に米国ニュージャージー州のフォート・ディクスの陸軍軍事センターに始まったH1N1型インフルエンザ騒動で明らかになった。当時のフォード大統領によって、大規模なワクチン接種作戦が実行された。ところが、ギランバレー症候群という神経疾患が接種者に相次いで発生したため中止に追い込まれた経緯がある。新型のワクチンが、どさくさ紛れに、安全性も確認されないままこれから大量接種されようとしている。新型インフルエンザよりもワクチンの危険性のほうが大きいと言わざるを得ない。一方、タミフルについては、たいした効果もない上に、重大な副作用の発生が明らかにされている。浜六郎氏は、「厚労省研究班は、タミフル服用群に起きていた異常行動を、タミフル非服用群に編入するなどのテクニックで、非服用群の異常行動を多く見せる操作を行っていた」ことを具体的に明らかにした。ところがここにきて、タミフル全面解禁にまで立ち至っている。これまで禁止されていた乳児や10代、そして妊婦にまで使用を推奨している。まことに恐ろしい事態が進行中である。

●ワクチン被害者を救えるはずがない

 政府は9月下旬に、新型インフルエンザのワクチンを、今年度内に国産と輸入をあわせて約7700万人分(5000万人分が輸入)確保する方針を固めた。当初は国内治験なしの接種を画策したが、どさくさ紛れの大量接種の危険性を叩かれるとすぐさま、おざなりの少人数の治験策を打ち出した。また、ワクチンの副作用被害と訴訟を国が肩代わりするなどの方針が矢継ぎ早に決められている。欧米などの大手製薬企業の言いなりになっているのが実情だ。ワクチン被害者「救済」の美名の下に、国民に「安心」「安全」を喧伝しているが、実のところ救済などできるはずがない。今日までのワクチン被害者の惨状を見れば明らかなことだ。死亡したり、重度の後遺症に陥った被害者をどうやって救うのか。さらに、ワクチン被害の認定そのものが実際には、ほとんど却下されている。高熱に幾日も冒され、生死の境をさまよった挙句に、重度障害に陥るか、死亡した被害者の、そのまた一部の人々しか認定されないのである。救済を言う前に、被害認定基準を国民に、きちんと情報公開することが大前提である。新型ワクチンと季節性ワクチンの二重接種までもが容認されつつある。08年度季節性インフルエンザワクチンによる重度後遺症などの副作用事故は、121人に上っている。既述のように、1956年以前生まれの国民に接種は無用なのも当然のことだ。インフルエンザそのものより、新たなワクチン被害者の発生の危険性のほうが高いと見るのが妥当である。

 ●従来型風邪薬の活用が大切

ここで従来からある市販の風邪薬を、引き始めにすぐ家で飲むことによって、軽く治められることを科学的に説明したい。自分に合った薬を常備しておくことにより、副作用の不安もなく、病院に慌てていく必要がなくなるばかりか、他人にうつす事も少くなるのである。かぜ・インフルエンザの症状を重くするのは、主にリンパ球のウイルスへの過剰防衛によるものだ。このリンパ球の働きを適度に抑えてくれるのが、全ての風邪薬に共通に入っている塩酸メチルエフェドリンである。その効果を適度に調整するために、ほかの副作用の少ない成分も調合されている。インフルエンザの初期の段階では、リンパ球のウイルスへの反応が始まったばかりだから、発熱や頭痛もまだ軽く、少量の風邪薬でも威力を発揮する。火事と同じで、家庭ですぐ出来る初期消火の成否が決定的に重要なのである。

●無責任でおざなりの自然治癒対策を根本から見直そう

くり返すが、インフルエンザの専門家らは、成分も効果も怪しく危険と隣り合わせのワクチン・タミフルで、国民を病院に総動員しようとしている。その前に、本当にやるべきことは何なのかが、今厳しく問われているといわざるを得ない。「手洗い、うがいをこまめにやろう・・・」など、日常の生活習慣ばかりを取り上げ、少しアレンジしつつ、進歩のないうたい文句を何十年となく繰り返してきた。とりわけ、手洗い予防法の奨励は、目に余るものがある。その効果を証明する疫学データは何一つないからだ。手洗いキャンペーンによって、駅などのエスカレーターの手すりにつかまりたくないなど、潔癖症が蔓延しつつある。人は無数の雑菌の中で生きているのであるから、それらを排除するのではなく、共存して免疫を高めていくことの方が大切なことと思う。今求められているのは、客観的データに基づいて、誰もが納得できる予防対策を国民の前に提示することである。当センターは、今日のインフルエンザ対策の批判だけを目的とするものではない。体にやさしく、安全で、安上がりの合理的かつ具体性のある予防対策を訴え続けてきた。実際に風邪(インフルエンザを含む)が進みやすい時間帯の調査を実施した。その結果、夜中の時間帯に行なう「ぬれマスク法」や「予防嚥下法」などが効果的であることが判明した(『かぜ症候群における咀嚼と嚥下の役割』臼田篤伸、日本プライマリ・ケア学会誌211号、1998年)。

●自己管理できる感染症―ウイルスの侵入場所が発症場所

 上気道感染症である風邪・インフルエンザは体の予防管理しやすい部分から症状が始まる。上記のような対策を取り入れれば、個人の努力、工夫によって、その症状をコントロール出来る。無理しなければ日常生活を休まずに、軽く治めることが可能となる。こうした可能性をかなぐり捨ててワクチンとタミフルの効果だけを煽っている。日本小児科学会会長の横田俊平横浜市立大教授は、「当面、対処法は早期のインフルエンザ治療薬投与しかない」と言っている。客観的裏づけのない「手洗い予防法」などで国民を惑わすのではなく、当センターが提唱しているような、もっと身近に出来る具体的で科学的対策を取り入れるべきである。かかる効果的な自然治癒対策を重視するよう新政権に強く要望する。

 

総括

 

@ 今回のインフルエンザの流行は、新型と言うよりはむしろ、Aソ連型(H1N1)の変異型と考えるのが妥当である。「アジア風邪」以前のほぼ53歳以上の人が罹りにくいという客観的事実がその根拠を与えている。したがって、季節性インフルエンザとあまり変わらず、さほど重くないインフルエンザとみることができる。

A ワクチンやタミフルばかりをインフルエンザ対策と決め付けている研究者・官僚(ワクチン・タミフル オンリー路線)によって、わが国のインフルエンザ政策が決定されるのは極めて危険であると同時に、膨大な税金の無駄遣いである。もっと総合的に、具体的なインフルエンザ情報を発信している研究者を政策立案に登用すべきである。

B インフルエンザかなと思ったら、48時間以内に病院に行くことを勧める対策は、国民を病院に総動員しようとする「病院囲い込み政策」に他ならない。ワクチンやタミフルは、その効果への疑問とともに、重大な副作用の危険性をはらんでいる。全国民にこれら対策を押し付ける手法を根本から改めるべきである。

C 上記のような危険と隣り合わせのインフルエンザ対策ばかりを行うのではなく、おのおのの人に合った従来型風邪薬の活用や、もっと分かりやすい自然治癒対策を取り入れるべきである。「手洗い予防論」などにみられる非科学的予防対策を改め、実際にインフルエンザが進みやすい夜中の時間の対策を取り入れなければならない。すなわち、当センターが提唱するような「ぬれマスク法」や、「予防嚥下法」などの活用が急務である。