2009年秋季シンポジウム(2009125日)

 

「インフルエンザワクチン接種とタミフル投与の危険性」報告レジメ

 

 

1.新型インフルエンザ対策のまちがいとワクチンの危険性

 

                          古賀 真子(ワクチントーク全国)

 

 2009年4月24日に米国で豚インフルエンザに7人が感染したことに端を発した、新型インフルエンザ問題は、メキシコでの数10名の死亡が報道されるやH1N1の「新型」の出現として、全世界を恐怖におとしいれました。

 その後、日本では、成田での無駄な検疫、感染した高校生や感染が疑われる人に対する数多くの人権侵害問題、「発熱外来」など医療現場の混乱などの「新型インフルエンザパニック」が起きました。

今回の新型インフルエンザは、ウイルス学的には豚由来の「新型」です。感染力は強く、症状は急に全身症状となりますが、比較的短期に解熱します。肺炎等の合併症に注意する必要はありますが、季節型に比べても病原的には弱毒です。予後が比較的良いことなどから、一般的には季節性のインフルエンザ対策と大きく変える必要はないといえます。

 

 ワクチンの有効性は確立していない

インフルエンザは風邪ではないと強調されますが、風邪とされているものの中にも重症化するものがありますし、インフルエンザでも軽いものもあります。(スライド6,7,8,9省略)

インフルエンザが特定の病気について基礎疾患をもった人や乳幼児、高齢者にとって怖い病気であることは新型でも従来の季節型でもかわりません。

日本でも毎年インフルエンザで1万人以上の人が亡くなるという現実を忘れたかのように、新型に対する異常ともいえる対策がとられ続けています。強毒化した鳥インフルエンザによる新型インフルエンザパンデミック対策のマニュアルが、感染力が強いというだけで豚由来のインフルエンザに、「恐怖の新型インフルエンザ」として適用され大騒ぎになっているのです。

厚生労働省は、根拠は不明ですが、新型ワクチンについての効果と安全性は季節性のものと同程度としています。しかしながら、季節性インフルエンザワクチンの効果についてすら、有効性を検証したデータは世界的にもありません。逆に日本で唯一、無効性を検証したものが前橋データです。その後の厚生科学研究費を使った報告でも、日本では高齢者についても乳幼児についても神谷班の不十分な「効かない」というデータしかないのです。厚労省ですら、ワクチンの重症化予防効果についても「一定の有効性」しか認めていません。(スライド13~22)

その季節性と同程度との効果評価に基づいての7700万人分の新型インフルエンザ危機管理対策としてのワクチン接種計画は感染症対策として全く的外れとしか言いようがありません。

 

ワクチン接種では感染を防げない〜重症化予防という欺瞞

1994年の予防接種法改正でインフルエンザが法律の接種対象疾患からはずされたにもかかわらず、個人に対する重症化予防効果はあるとの前提でワクチンは復活の道を突き進んできました。

今回、重症化予防目的を掲げて、「足りないワクチン」を基礎疾患者のみならず、医療関係者、妊産婦といった接種対象の優先順位付けがされ、ついには、高校でも大学受験のためのセンター試験対策として「集団的個別接種」を行う自治体がでてきました。

今回ワクチン接種対象として、小中高生が大きな数の接種対象と数えられています。しかし、流行の拡大を理由に健康な学童や中高生に感染予防効果のないワクチン接種することは問題です。日本では35年余にわたり、健康な学童に集団接種を続け副作用を起こしたという苦い経験があります。接種率を高くしても流行を防げなかった(感染防止効果はない)のですから、今更集団接種という社会防衛思想を復活させるのはナンセンスです。

もっと怖いのは妊産婦に対する接種の優先対象化とタミフルの予防投与です。従来、日本では妊産婦への接種は積極的に行われていませんでした。新型インフルエンザワクチンの有効性、安全性は、季節性インフルエンザワクチンと同程度という「予測」のもとに、不足分は海外から輸入してでも大量かつ短期に接種をしようとしていますが、ワクチンの有効性・安全性には疑問があります。海外のワクチンは副作用を引き起こして日本では使用を中止したアジュバンドの入っているものも輸入対象となっています。海外でもまだ臨床試験中で、安全性に多くの人が疑問を出している新型ワクチンの輸入は日本人が大規模な人体実験の対象になるような政策です。仮に危機管理のために輸入が必要であるとしても、重症化予防のワクチンでは対応できないことはあきらかです。血税の無駄使いはやめるべきでしょう

今回の国産の新型ワクチンはウイルスの増殖が悪かったために、うまく製造量を満たせなかったとされています。新型インフルエンザ対策の重鎮である、田代眞人氏は意見交換会で、「掛け捨て保険として、使わなくても輸入が必要」との発言をされていますが、これほどまでに、「かかってはいけない病気」とされ、「国家危機管理」とされた新型インフルエンザ対策は、恐怖の連鎖と過剰な防禦志向により、今後ますます人権侵害、社会的混乱と多大な損失を増幅させていくことが懸念されます。

 

ワクチン信仰による対策の危険性

日本が輸入を予定していたグラクソ・スミスクライン社の新型インフルエンザワクチンがカナダで接種中止になって、ワクチンの信頼性に早くも黄色信号が灯っています。厚生労働大臣はカナダに調査団を派遣しましたが原因究明はされていません。では、国産は安全かといえば、実は国内メーカーのワクチンも安全性に大きな問題があります。

北里研究所製ワクチンの臨床試験では、27歳の喘息罹患歴のある女性が接種後15分後にアナフィラキシー(激しいアレルギー反応)を起こすなど、対象200人中2例(1%)の重篤な副作用を発症しました。また、全国の国立病院の医療従事者2万人に接種した報告によれば、重篤な副作用(入院・障害・死亡等)の発症が5人もあり、これは季節性ワクチンの同様の発症率に比べて、何と73倍にあたります。さらに、受託医療機関からの報告では、重篤11例(うちアナフィラキシーによるショック症状3人)、重篤でない症状157人(うちアナフィラキシー7人を含む)が報告されています。

 20091112 日、富山県の70代男性がワクチン接種後、亡くなりました。肺気腫による慢性呼吸不全のため通院中で、接種後、特に変わった様子もなかったのに突然亡くなったとのことです。その後、19日までの1週間のうちに全国で計13人が、次々に新型インフルエンザワクチン接種後に亡くなりました。いずれも基礎疾患のある人で、今回最優先者とされて接種を受けた人たちです。

20091122日、厚労省は慌てて「新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会」を開催しました。この会議で報告された接種後の死亡者は21人。

厚労省は「死亡とワクチン接種との直接の明確な関連が認められた症例は現時点ではない」とし、「現時点では重大な懸念は示されていない」との報道がされました。会議では、往診してまで接種をすることへの医師からの疑問の声は無視され、会議全体が初めから死亡との因果関係を否定、またはあいまいにする目的で開催されたのではないかと思われる議論の経緯と結論でした。ワクチンによる副作用については、「疑わしきは認めない」のが従来からの国の傾向です。今回報告されているように、基礎疾患のある人や高齢者の場合は原疾患のせいにされることが多く、被害認定は困難を極めます。

季節性、新型を問わず、ワクチンに感染予防効果がないことは厚労省も認め、決して強制や義務ではないと強調しています。重症化予防についても信頼できるデータはなく、あるのは副作用への不安だけです。

「疑わしきは認めない」が国の副作用対応の基本

新型インフルエンザ特別措置法は接種した被害者が仮に認定を受けられたとしても、低い救済内容です。認定を受けられない被害者がメーカー相手の訴訟で勝訴した場合には、被害者への賠償を国が肩代わりするという驚くべき内容の法律です。

今回の新型インフルエンザ対策は「国家危機管理」として、ワクチン、タミフル以外にも、地方自治体では防災課の担当となるなど、感染症の基本を無視した対策がとられています。マスク、手洗いの大合唱ですが、感染拡大を抑えることはできません。東京都では「隔離ベッド」の増設なども検討しているようですが、「かかりたくない」「かかってはいけない」「うつしてはいけない」ということは究極的には隔離政策しか方法はありませんが、グローバル化した現在、そんなことは不可能です。人類は感染症と共存して歴史を作ってきました。重症化しやすいひとへの手厚い医療と、正しい情報の提供こそが必要です。

 

 

2.タミフル投与の危険性

 

臼田篤伸(バイオハザード予防市民センター代表幹事)

 

●「新型」が軽いインフルエンザであることは客観的事実

20091113日付『週刊朝日』は、新潟大学教授・安保徹氏の新型インフルエンザへの意見を見開き2頁で掲載した。ワクチン・タミフル“翼賛”の中にあって、真実を報道した特筆すべき記事といって差し支えない。当センターでも類似の見解は度々発表してきたが、世界的な免疫学者の所見は、鋭く的を射ている。主な点を列記すると次のようだ。・新型は季節性より毒性が低いことが判明した・季節性インフルの死亡率が千人に一人に対して、新型では10万人に一人で、季節性に比べて100分の一である・ワクチンの副作用によって10万人に一人程度の重い副作用事故がおきているので、病気とワクチンの危険性が近接している。よって、ワクチンのメリットがないばかりか、接種によって副作用のリスクを負う。タミフルについても、異常行動や突然死は、10万人に一人ほどで、新型で死亡する危険性と同じ確率なのでメリットなしという。このほかにも、当センターの、「新型インフルエンザに関する見解」とほとんど一致した意見が記述されており、当センターのインフル路線の妥当性が裏付けられたと考えている。以下、主に浜氏の書籍を引用させていただいて説明を加えていきたい。そのあとで、当センターの独自の見解を述べたい。

●タミフル薬害の発覚−浜六郎氏の献身的追究・努力の結果

 今日のタミフル薬害の発見と、その基本的発症原理の解明は、NPO法人・医薬ビジランスセンター代表の浜六郎医師の功績なくしてはありえない。数々の論文発表や、著作の出版を通じて、タミフルの危険性を白日の下に曝した。とりわけ、『やっぱり危ないタミフル』(2008年、金曜日)にその全体像が記されている。今日、こういう緻密な薬害問題の追究者は日本全国はおろか、全世界的にも見当たらないのではないか。浜氏は、薬害を許さない強い信念と、被害者に対する心からの思いやりの上に立って、真の原因究明をきちんと行う姿勢を貫いている。そこから見えてくるタミフル薬害の現実とは、メーカー、インフル学者、厚労省が一体となった目的のためには手段を選ばない手法そのものだった。

●タミフル薬害を徹底究明

○はじめはメーカー自身が警告したことだったー「一歳未満の乳児にはタミフルを投与しないように」―新型インフル騒動の中で、不安が現実となった

 薬害の原因解明には、高度の医学・統計学的知識が必要なため、薬害が疑われる場合でも、世界的で、広範囲の症例や文献の調査が出来ないと説得力のある立論ができない。30年以上も薬剤の評価検討を行ってきた浜氏にとって、メーカー自身が自主的に標記のような危険情報を提出した(2004年1月)ということは、そのことに相当の根拠を持っていることが直感的にわかったとのこと。すなわち、「メーカーは、1才未満の子には都合が悪いことが起きると十分に予想しているに違いない」と考えた。ところが、あろうことか日本小児科医会は、その直後に、「1歳未満の患児にタミフルを使用してはいけないのか」との質問状を厚労省に提出したという。これに対し同省は、「(保護者の)同意を得た上で、慎重に」するなら「投与してもかまわない」との主旨の回答をしたとのことだ。この回答には、「幼若ラットの試験において薬物の脳内への高濃度の移行が確認されたとのデータがある」との記載もあったという。

○重大な危険情報を発見

 浜氏は、2005年1月、タミフルの承認申請概要(新薬承認情報集)から重大な事実を確認した。タミフル投与後数時間以内に、生後7日の離乳前ラット24匹中、18匹が死亡していた。その後の追試験でも同様だった。症状は、体温低下や自発運動の低下、呼吸緩徐・不規則などであり、中枢抑制の結果もたらされた呼吸抑制で死亡したことが明らかだという。これは、人においても乳幼児、とりわけ1歳未満では非常に危険なことを示唆していた。浜氏が発行人を務める『薬のチェックは命のチェック』(医薬ビジランスセンター季刊誌、以下『薬・命』と略記する)で「乳幼児には禁忌とすべき」ことをずっと訴えてきた。

○ぞろぞろ出てきた小児の突然死

 これら事実に符合するように、乳幼児の突然死事故がぞろぞろと出てきた。2002年から2003年冬に、大阪で6人の小児が睡眠中に突然死したことが、大阪市立総合医療センター小児救急科の塩見正司医師によって論文で発表された。6人中4人は、タミフルを一回だけの服用で死亡した。他の一人は同じインフルエンザ薬・アマンタジン、もう一人は喘息薬・テオフィリンを服用していたという。このほかにも各地で突然死や、異常行動死が報告されている。タミフル薬害では、異常行動が注目されがちだったため、呼吸抑制による突然死の実態はあまり表に出てこなかった。これを医学的に解明したのが浜氏であった。

○発熱から呼吸不全が早すぎる

 最近のタミフル使用は常軌を逸している。あらゆる年齢層に投与を可能としたことが、小児を中心として突然死の発生を増加させ、あるいは、重症者を死に至らしめた可能性が否定できない。11月初めに岩手、京都、兵庫で亡くなった3人の女児らの死亡もそれを示唆している。タミフルには一切触れられていない。混乱を恐れて情報操作している可能性が高い。いずれのケースも持病が無いのに、発熱のあと数時間から1日で呼吸不全に陥っている。インフルにはほとんど無かった現象が今回の事例を含めて、これほど立て続けに起きることはタミフルなど、薬剤の介在を強く示唆している。

○現実に、人間で“動物実験”をやっているようなもの

 1123日付読売新聞によると、インフルエンザ脳症の患者が7月以降、28都道府県で計132人に上ることが、国立感染研の調査でわかったという。季節性インフルエンザによる脳症患者の報告は、例年4050人で、新型インフルの流行から4ヶ月でその2倍以上に達したとのこと。その大半を15歳未満が占めている。さらに、脳症は、「ウイルスによって免疫系が過剰に反応し、脳が腫れた状態になる病気」とのコメントが記されている。タミフル服用について一切触れられていない。一方、インフルエンザ発症後に飛び降りなど生命に影響が及ぶ可能性のある重度の異常行動は、925日―1115日の間に、全国で151例報告された(12月1日付毎日)。とくに未成年者に多い。例年に較べ頻度の高さが指摘されている。これらはいずれも、タミフル薬害の特徴を強く反映しているにもかかわらず、浜氏が指摘したような従来の脳症とは異なる「タミフル脳症」から巧みにはぐらかしている。しかもこの数字は氷山の一角に過ぎないとみられる。全年齢層へのタミフル投与による壮大なる人体実験が目下進行中である。

●インフル死の新たなパターン

 上記のような死亡事故は従来のインフル死ではそれほど問題になっていなかった。今度の「新型」を通して、タミフルが膨大な人数に使われた結果、「タミフル薬害」としてクローズアップされたことと見て間違いない。下記のような短期突発型の害作用と見るのが自然である。脳中枢への直接的作用によってもたらされたものだ。中枢抑制として、呼吸抑制、体温低下、これらが引き金になって、睡眠中の突然死、急性心肺停止、肺水腫(非心原性)、異常行動事故死などを浜氏はあげている。

死に至らないまでも、タミフルによると見られる副作用の事例は、身の回りにも事欠かない。代表例として幻覚があるが、死と隣り合わせの恐怖体験などとして現れる。寝床に入って目をつぶると、枕元に「三途の川」の川が忍び寄ってきて、怖さで一晩中寝付けなかった。不眠のため、朝起きても足元ふらふら。普通1,2日の休み出で済むのに5日も休む羽目になったという。以下に示すようないろんな副作用を考慮すると、この薬は治癒期間を短縮するどころか、かえって長引かせることもあるので注意が必要だ。

○呼吸不全がなぜこんなに早くやって来るのか

 言うまでもなく、タミフルの副作用は、からだ全体に及ぶので、抗ウイルス作用とは別に、脳に働き、呼吸抑制、低体温がダイレクトにやってくるからである。呼吸不全が早くやってくるのは必然的帰結である。タミフルの未変化体は、通常は脳内にはほとんど移行しないが(血液―脳関門の働きによる)、未熟な動物や、インフルエンザ急性期(高サイトカイン状態)では、血液―脳関門が十分に機能せず脳内に移行しやすいことが分かっている。ちなみに、未変化体タミフルの4分の3程度が、肝臓の酵素(エステラーゼ)によって、抗ウイルス作用のある活性型タミフルに変わる。  

○FDA(米国食品医薬品局)が3年前にすでに危険性を報告 

 『やっぱり危ないタミフル』によると、FDAは20058月から20067月までに発生した103人のタミフル使用後の有害事象患者を解析した結果を公表した。それによると、

@オセルタミビル(タミフル)の使用と異常行動は、時間的に関連がある。

A報告した医師の多くは、これが薬剤による副作用であると感じている。

B異常行動は極めて特異であり、インフルエンザ脳症や熱せん妄の典型的症状と異なる。

 この報告は、客観的な指摘であり、タミフルによって起きる特異なインフルエンザ脳症(タミフル薬害)を黙殺した今日の報道とは、相容れないものである。以上の所見を総合的に判断して、脳症の二つのパターンを総括してみよう。

●脳症に二つのタイプ

 従来、脳症というと、まず高熱が出て、痙攣や異常行動、言動などがあげられ、最悪の場合には、重度障害、あるいは死亡することがあるとされていた。多くの場合、解熱剤の乱用が介在することが明らかになっている。ところが近年、熱が下がったのに、突然の異常行動や、呼吸不全によって死亡するケースが目立ってきた。しかもタミフルが繁用されるようになってからの事態である。この二つの型を識別しておかないと、タミフル薬害の理解はできない。今日の報道は、単に「脳症」と言って、両者をごちゃ混ぜにして、焦点をわざとぼかし、タミフル薬害を隠蔽しているのが実状だ。そこで、当センターでは論理を分かり易くするために、脳症を次の二つのパターンに識別して考えることを提案してきた。

分子標的型脳症――中枢抑制型脳症

 浜氏は、タミフル服用1−2回で生じる低体温や呼吸抑制、突然死、肺水腫は脳中に移行した未変化体タミフルの中枢(脳)抑制作用によると述べている。よってこれは、「中枢抑制型脳症」と表現することができる。いずれにせよ、これはタミフル分子と、脳神経や神経伝達物質との相互作用で起こると考えるのが自然である。よって、当センターでは、分子標的型脳症と呼ぶこととした。「中枢抑制型脳症」でも無論構わない。

○免疫過剰型脳症―免疫過剰型はサイトカインストームによって起こる

 これまで脳症というと、高熱が出て、解熱剤の多量投与によって引き起こされるパターンがほとんどだった。これの本態は、リンパ球の過剰防衛反応とみるのが妥当である。すなわち、「過剰免疫型脳症」と表現するのが正しい。解熱剤によって発熱が極度に抑えられた場合、局所のリンパ球から、「もっと発熱させよ」のサインが脳に送られ、組織破壊性サイトカインの分泌が高められ(サイトカインストーム)、脳細胞が破壊された結果である。ちなみに、ワクチンによる副作用被害もこれに該当する。ほかの感染症の感染を受けたときにワクチンを誤って打つと、その抗原に対してリンパ球が一斉に過剰反応を起こす。これによってもサイトカインストームが起き、脳細胞が破壊される。この被害が後を絶たない。

●タミフル薬害に二つのパターン

浜氏は、タミフルで起こる害反応を大きく二つに分けた。短期突発型と遅発・持続型である。その中間的な症例もあることが補足されている。『やっぱり危ないタミフル』(金曜日)から引用させていただく。

○短期突発型

 1、2回服用後に起きる。その典型例が睡眠中の突然死と異常行動からの事故死である。くわしくは、既述の「インフル死の新たなパターン」の項を参照されたい。

○遅発・持続型

 このタイプの反応は極めて多彩だが、死亡につながる重症例の典型は、タミフルを5日間服用した前後から出現して、肺炎・敗血症となり、いろいろな臓器が冒されて死亡に至る遅発型の反応である(多臓器不全)。遅発型の場合には、しばしば出血を伴う。死亡には至らないまでも、遅れて異常行動が発現し、それが長引く場合(遅発・持続型反応)や、血糖値の上昇や糖尿病が悪化した例もあるという。また、両者の中間的な例として、高齢者では、短期突発型の呼吸抑制が起きた後から、肺炎や敗血症を合併して、それが重症化して死亡したとみられる例もあるという。

     「効く」データの捏造方法―データを都合よく総合して「効く」という作為(図13

 

 

 

●タミフルによる異常行動の有意差を否定するする悪質な統計操作

 タミフルによる重大な副作用の発生の可能性が高まっていく中で、危機感を募らせたタミフル推進者達は、統計学的にどうやって「タミフルは危険」の有意差をなくせるか知恵を絞った。データをどういじっても関連性を否定できないから、次の驚くべき手段に出た。

@服用時期を無視した集計法―明瞭な関連データを否定するためのトリック(図41日目の高い異常行動数と2日目の低いそれとを合体させ、タミフル薬害の有意性を打ち消した。

Aタミフル処方群のタミフル服用前の異常行動を、非タミフル群に編入した。服用、非服用の2群に分けておこなわれた統計調査だったが、服用群中の服用前の異常行動を探し出して、それを除外するならまだしも、非タミフル群にわざわざ編入する暴挙を行った。

●当センターのインフル対策−今日のインフル対策に欠如するもの

ワクチンやタミフルの推進派もちろんのこと、反対派であっても「風邪、インフルにおける昼夜の免疫力の差」を取り上げる人はまずいない。この辺に反対派が広く国民から支持されない原因の一つがあるように思う。「風邪を引いたら寝ていれば自然に治る」では日常活動を休めない人への説得力に欠ける。理想論ばかり唱えていても国民のニーズにきちんと応えなければ権力は取れないのと似ている。当センターの見解を以下に示す。

筆者(臼田)は、インフルに対する体の免疫力が昼夜で異なっていることに30年程前から着目してきた。客観的ベースがその出発点となった。つまり、インフルの症状に気づくのは起床時が多いこと、朝インフルの症状がないと、日中に症状が起きることはまずないことの2点だった。その研究結果を日本プライマリ・ケア学会誌(21巻1号、1998)で発表するとともに、その成果に基づいて、体にやさしく、安全で、安上がりの合理的かつ具体性のある予防対策を訴え続けてきた。簡潔に記すと次のようだ。筆者の歯科医院の患者706人を対象としたアンケート調査を行ったところ、症状自覚時間帯は、起床時が335人で、全体の50.4%を占め、統計学的にこの時間帯が有意に多かった。睡眠中の嚥下の停止をはじめとする上気道諸活動の停滞がウイルスの増殖促進に深く関与していることが推定された。また近年、新潟大学の安保徹教授が発見した、「白血球の自律神経支配」の法則によって、それが決定的に裏付けられた。夜中の副交感神経優位の時間帯にウイルスに対抗するリンパ球の活動が活発となり、発熱などのインフル症状を高めた結果だった。これらのことは、睡眠中に予防策を施す必要性に根拠を与えた。それに基づいて睡眠中に可能な予防策として、現状では、吸気加湿法を応用した「ぬれマスク」と目覚めた時に意識的に行う「予防嚥下法」が有益と考えている。そして、次善の策として、自分に合った市販の風邪薬をひき始めに飲むことによって、副交感神経の働きすぎとリンパ球の過剰防衛を抑え、結果として、風邪症状を緩和することが可能となる。自然治癒対策としてしきりと言われているような「手洗い」などにどれ程の効果があるのか、その疫学調査を目にしたことがない。ウイルスと対決することのみを目的とするワクチン、タミフルを推進する前に、もっと実感できて、体にやさしく、免疫力を高める予防対策の充実を望みたい。

●病院囲い込み政策の果て

繰り返し述べてきたことだが、インフルエンザかなと思ったら48時間以内に病院にかかって、診断キットで検査してもらい、診断されたらタミフルを飲ませることが国策として行われている。「病院囲い込み政策」は、当センターが現状のインフル政策を規定した名称である。タミフルを投与したり、ワクチンを打つために、わざわざ病院へ行かせることが目的化した政治であり、その結果生まれたのがタミフル薬害である。ワクチン・タミフル推進者達は、この矛盾をこれまでと同様に何とかごまかすであろう。タミフルは、高熱などの症状を1日か1日半早く鎮めるとされるが、その多くのケースで、タミフルが脳内に侵入した結果起こった低体温現象が関与しているのが真相ではなかろうか。肺炎など合併症を防ぐデータはないし、また発症して48時間近くたって飲んでもウイルスはすでに増えつくしているのが実体であろう。

 

 

3.シンポジウム「インフルエンザワクチンとタミフルの危険性」を開催して

 

長島 功(当センター事務局長)

 

 昨年の12月5日に新宿区障害者福祉センターにて2009年秋季シンポジウムが「インフルエンザワクチンとタミフルの危険性」と題して行われました。

 本稿では、その討議内容には立ち入らず、当センターがはじめて薬害関係のシンポジウムを開催した準備とその結果についてやや私情を含めて述べてみたいと思います。

 今年度からインフルエンザワクチンについて造詣の深い臼田篤伸幹事が代表に就任されたこともあり、今年になって発生し流行している新型(豚)インフルエンザに関するシンポジウムを開催することを私が提案しました。これまでは、バイオ施設の立地問題やそれをめぐる住民運動に関する問題がシンポジウムのテーマでしたので、インフルエンザというやや勝手の違うテーマを取り上げることに多少は不安がありました。しかし、薬害もバイオハザードの1つであり、このシンポジウムは当センターの活動の幅を広げるいい機会だと思いました。

 しかし、会員にシンポジウム開催の通知をし、出欠の確認をしたところ、出席の通知をしてきた人がたったの7名でした。幹事以外は2名という惨憺たる結果でした。私は危機感を感じ、宣伝方法を考えました。そこで思いついたのは、インターネットでインフルエンザワクチンとタミフルの薬害に関係するサイトをさがして、シンポジウムの宣伝を依頼することでした。また、「週間金曜日」の11月20日号が「インフルエンザを吹き飛ばせ」という特集を組んだので、同誌の「市民運動案内板」にシンポジウムの開催要項の掲載を要請しました。編集部に快諾され、シンポジウム会場での同誌の宣伝チラシの配布の依頼までされました。インターネットサイトに関しては、当センターとリンクを張っている「ワクチントーク全国」の栗原敦さんにメールで連絡し、同サイトでシンポジウムの宣伝をしていただきました。

また検索をして見つけたサイトが2つあります。1つは、カンガエルーネットというサイトです。このサイトは、子供を健康に育てることを目指している親のための育児関係のサイトで、薬害を予防することにも関心があるサイトです。ここに会員登録をして、宣伝しました。他方は、「薬害タミフル脳症被害者の会」のサイトです。連絡先にメールを送ったら、早速返事をいただき、シンポジウムに会員を派遣すると言ってくれました。頼んでみるものですねえ、と思いました。もちろん、当センターのホームページにはシンポジウムの内容と開催要領を掲載し、会場となる新宿区障害者福祉センターへのアクセス方法を図示したPDFファイルまで用意しました。

 さて、当日を迎えました。私の気分は期待半分、不安半分の中途半端な状態でした。参加者が10名前後しかいない場合も覚悟しましたが、宣伝の効果を信じて、会場定員の30人分のレジメを用意して行きました。いよいよシンポジウムが始まり、最初の講師の古賀真子さんが話し始めたときには、出席者は12名ほどでした。ところが、彼女が話を進めるうちに徐々に増え、「母里啓子(もりひろこ)さんがこそこそと今入ってきました」と彼女が言うではありませんか。母里啓子さんはインフルエンザワクチンの無効性と危険性を訴えている著名な方で、著書も何冊か出されています。そのような大御所が私たちの小さなシンポジウムに参加するとは正直言って驚きでした。インターネットの宣伝の効果でしょうか、それとも古賀さんが知らせてくれたのでしょうか。そのうち参加者が次第に増え、用意したレジメが無くなりました。参加者の中には、「薬害タミフル脳症被害者の会」の方がおられましたが、代表の秦野竜子さんがはるばる愛知県からいらしていただいたことには感激でした。秦野さんには、中学生のお子さんをタミフル服用で亡くされた際のお気持ちなどを話していただきました。被害者のご遺族の悔しさと無念の気持ちがよくわかりました。 

またこのシンポジウムに関してもう1つ不安がありました。それは参加者に医療関係者(医師や看護師)や感染症研究者がいない可能性があるということでした。そのため、一般の方から、治療・診断に関する専門的な質問をされると答えられなくなるという一抹の不安がありました。ところが、そういう不安は杞憂でした。先ほど名前を挙げた母里啓子さんは『インフルエンザ・ワクチンは打たないで!』の著者で保健所の所長や感染症の研究機関の室長を歴任した専門家です。また群馬県から小児科医の高木泰子さんも駆けつけてくれ、一般の参加者の質問にわざわざ答えていただきました。高木先生は、「インフルエンザにかかると高熱が出るので心配だが、ほっといて大丈夫なのか」という質問に、「インフルエンザに罹った子供には熱を下げる薬を1度も出したことがない」というご自身の治療方針を切々と説いていました。(ちなみに解熱剤の服用が脳症・脳炎を発症させることは薬害を批判するグループでは常識になっています。)最後に、おまけと言ったら失礼ですが、シンポジウムの終わり間近に医薬ビジランスセンターの浜六郎先生がはるばる大阪から会場に飛び込んできました。横浜で学会があったついでに参加されたということでしたが、シンポジウムの最後に武蔵村山市から来た会員の古浦さんがタミフル服用に関する廣田研究班の報告の統計に関する質問をしたのに対して、浜先生は壇上まで来て答えていました。ご存知の方もおられるでしょうが、浜先生は『やっぱり危ないタミフル』の著書で有名な元医師であり、現在は大阪でNPO法人「医薬ビジランスセンター」を主宰しています。

 そんなこんなで結局シンポジウム参加者は、最後の浜先生を含めて30名と推測されますが、実際にはそれ以上の人が会場にいたと思います。当日アンケートをお願いしましたが、その結果を見ると、大勢の方が「参考になった」とか「安易に薬剤を使う危険性を感じた」のような意見に象徴されるようにこのシンポジウムが参加者に大いに有意義だったことがわかります。また「何がきっかけでこのシンポジウムを知ったか」という質問には、先ほど紹介した「カンガエルーネット」のサイトや「週間金曜日」の「市民運動案内板」を見て来た人が数名おりました。宣伝の効果があったのですね。

このように参加者が多くてほっとしたのですが、それよりも嬉しかったのは、薬害被害者の方や薬害を告発している専門家の方々と交流し知り合うことができたことです。これは、今後の当センターにとって大きな財産になるだろうと思います。私たちにとっても本当に有意義なシンポジウムでした。(2009年12月26日記)