■ワクチントーク33  新たな薬害―タミフルによる突然死

      臼田篤伸 (代表幹事 風邪・インフルエンザ研究者)

 


季節性より軽いインフルエンザ

 1113日付『週刊朝日』は、新潟大学教授・安保徹氏の新型インフルエンザへの意見を見開き2頁で掲載した。ワクチン・タミフル“翼賛”の中にあって、真実を報道した特筆すべき記事といって差し支えない。本誌においても類似の見解は度々発表してきたが、世界的な免疫学者の所見は、さすがに鋭く的を射ている。主な点を列記すると次のようだ。○新型は季節性より毒性が低いことが判明した・季節性インフルの死亡率が千人に一人に対して、新型では10万人に一人で、季節性に比べて100分の一である・ワクチンの副作用によって10万人に一人程度の重い副作用事故がおきているので、病気とワクチンの危険性が近接している。よって、ワクチンのメリットがないばかりか、接種によって副作用のリスクを負う結果となる。タミフルについても、異常行動や突然死は、10万人に一人ほどで、新型で死亡する危険性と同じ確率なのでメリットなしという。このほかにも、当センターの、「新型インフルエンザに関する見解」とほとんど一致した意見が記述されており、当センターのインフル路線の妥当性が裏付けられたと考えている。

●「インフルエンザ死」の新たなパターン

 さらに新型による死亡原因には、これまでに見られない奇妙な現象が起きている。これはインフルエンザ死というより、タミフル薬害死とみる客観情況がある。これについては、浜六郎氏がすでに指摘していて、今後の詳しい調査結果を待ちたいが、マスコミ報道と同氏の見解、それと当センターの指摘事項を踏まえて、現時点でのおよその所見を述べてみたい。

●発熱から呼吸不全が早すぎる

 タミフル使用を隠した報道が目立つのでまだ真相は闇の中だが、最近のタミフル使用は常軌を逸している。あらゆる年齢層に投与を可能としたことが突然死の発生を増加させ、あるいは、重症者を死に至らしめた可能性が否定できない。11月初めに岩手、京都、兵庫で亡くなった3人の女児らの死亡もそれを示唆している。タミフルには一切触れられていない。混乱を恐れて情報操作している可能性が高い。いずれのケースも持病が無いのに、発熱のあと数時間から1日で呼吸不全に陥っている。インフルにはほとんど無かった現象が今回の事例を含めて、これほど立て続けに起きることがありうるだろうか。これまで、インフルエンザ“脳症”の恐怖を煽ってワクチン・タミフルの宣伝をしてきたのではないのか。

●タミフル使用後に悪化例が急増

 『薬のチェックは命のチェック』NO36で浜氏の記事によると、今年7月から95日までに新型インフルで死亡したのは、同氏が掌握している限り10人に上り、このうち6人がタミフルを服用し、2人は服用せず、2人は服用状況が不明という。タミフル服用後の突然死は、これまでの累計で60人を超したが、この数字は氷山の一角に過ぎず、実際はこの何倍、何十倍に上るのではないかと指摘する。このほか、新型インフルの経過中に重症化してICU管理されたり人工呼吸器を付けられた人が、少なくとも22(脳炎・脳症は除く)いて、そのうち10人にタミフルが処方されていたとのことだ。こうした中、WHOもCDCも厚労省も相変わらずタミフル使用を推奨している。同じくマスコミもそれに唱和するばかりだ。

●「分子標的型脳症」の典型

 これまで脳症というと、高熱が出て、解熱剤の多量投与によって引き起こされるパターンだった。これは、リンパ球の過剰防衛反応、つまり「過剰免疫型脳症」と表現するのが正しい。解熱剤によって発熱が極度に抑えられた場合、局所のリンパ球から、「もっと発熱させよ」のサインが脳に送られ、組織破壊性サイトカインの分泌が高められ、脳細胞が破壊された結果である。標記の「分子標的型脳症」は、タミフルによって、体内に広く分布するノイラミニダーゼ酵素の働きが阻害されるために起こる。この酵素は細胞の相互認識に重要な役割を果たす。当然の事ながら脳内にも多量に存在する。『やっぱり危ないタミフル―突然死の恐怖―』(浜六郎、金曜日)にはタミフルによる中枢抑制からくる死亡ないし重度障害のメカニズムが詳細に記されている。それによると、(1)低体温、運動抑制、睡眠(2)呼吸以上、呼吸緩徐、呼吸不規則、呼吸抑制、呼吸停止(3)顔色不良としてチアノーゼ、黒っぽさ、蒼白など(4)虚脱、心肺停止、死亡(5)肺水腫があげられている。これらは一連の中枢抑制の結果もたらされたものである。しかも一つひとつが単独で起きるのではなく、様々な症状が組み合わさって現れる。ノイラミニダーゼ酵素の阻害が脳細胞のあちこちで起きているのだから当然の帰結である。「分子標的型脳症」は分子レベルでの細胞レセプターへの直接的関与だから、タミフルを1,2回飲んだあとにストレートにやってくるケースが目立ちやすいが、いろんな臓器細胞のノイラミニダーゼ酵素に働いた結果、服用終了あたりから起きる遅発・遷延型をたどることも当然ある。

「分子標的型脳症」の名称は当センターが初めて付けた一般名であり、因果関係を的確に捉えている。タミフルに特徴的に発生した近年の脳症は、具体的には「タミフル脳症」と名付ける必然性がある。タミフル脳症の正体を解明し、短期突発型と遅発・持続型があることを明らかにしたのは浜氏である。11月はじめに死亡した上記の3人は、これら脳症の典型的症例として説明できる。

●「病院囲い込み政策」の誤りがもたらした結果

これまで繰り返し述べてきたことだが、インフルエンザかなと思ったら48時間以内に病院にかかって、診断キットで検査してもらい、診断されたらタミフルを飲ませることが国策として行われている。タミフルを投与したり、ワクチンを打つために、わざわざ病院へ行かせることが目的化した結果生まれたのがタミフル薬害である。ワクチン・タミフル推進者達は、この矛盾をこれまでと同様に何とかごまかすであろう。タミフルは、高熱などの症状を1日か1日半早く鎮めるとされるが、多くはタミフルが脳内に侵入した結果起こった低体温現象が真相ではなかろうか。肺炎など合併症を防ぐデータはないし、また発症して48時間近くたって飲んでもウイルスはすでに増えつくしているのが実体であろう。


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