■ワクチントーク35  新型インフル 無責任な?末                

    臼田篤伸 (代表幹事 風邪・インフルエンザ研究者)

 


●新型インフルは季節性よりずっと軽症

 今回の「新型」が重症型のパンデミックでないことは、これまで指摘したとおりである。ついでに、このインフルエンザについて、浜六郎氏は「新型」あるいは「豚インフルエンザ」と呼ばないのが妥当だと述べている。単に09年に流行りだしただけなので「09Aインフルエンザ」と呼ぶべきというので、参考までに記した。筆者はとりあえず「新型」で統一する。「新型」が軽かったことは、簡潔にいうと、例年の季節性インフルによる死亡率の5分の1から10分の1に過ぎないからだ。しかもこの死亡者の多くがタミフル関与の疑いが濃厚なのである。

●重症化・死亡の原因にタミフルが関与

 インフルが下火になった状況下で、『薬のチェックは命のチェック』37号には、新型インフルに関する浜六郎氏の的確な見解が掲載された。「新型」の死者の約半数にタミフルが関係しているという。処方されてから半日以内の死者は全員がタミフルを投与されていた。インフル学者らは死者数が諸外国に比べて少なかったのは、タミフルなどの投与が十分に行われた結果だという。タミフルの危険性については、マスコミ報道から姿を消した。

●幻覚や異常行動だけでも不適格な薬

 繰り返し指摘してきたように、タミフルは分子標的薬としての危険性を代表する薬だ。がん治療薬の世界もそうだが、インフル薬の世界が分子標的薬に完全に汚染されようとしている。これらが全身に存在する酵素や神経細胞に作用する。ストレートにやってくる副作用は、中枢神経によってもたらされる幻覚や異常行動、呼吸などの中枢抑制となるのは分かりきっている。統計学の悪質な操作によって、危険なタミフルが巧みに「安全薬」にすり替えられた。

海外のメーカーに踊らされた日本 

タミフル同様、ワクチンについても、海外のメーカーによる売り込みは極めて巧みである。マスコミによって新型恐怖の脅しが隅々まで行き渡っていたわが国の世論を見越して、莫大な量のワクチン輸入契約を取り付けた。先を競って政府は9900万回分もの購入契約を結んだ。牛肉などの農産物並みに、膨大な量のワクチン、タミフルのわが国への輸出は、欧米諸国にとっては、貿易黒字の実績向上として評価されるのであろう。これが欧米合理主義者たちの習性か。牛肉の輸出のために、鯨肉や、黒マグロなど、わが国の伝統的食文化の破壊を省みないこととも相通じる。

●マスコミが大量供給の宣伝役だったはず

 新型恐怖を国民に散々焚きつけたマスコミが、今になって社説で、「次の流行に経験生かそう」などと巧みに責任逃れを始めた。反省の姿勢が見られない。つい最近まで「インフルワクチン、今のうちに」などと煽ったが需要がまるで伸びない。一方で2月11日付読売の社説は、「ワクチン余り」の責任をほかへ責任転嫁し始めた。その要点を拾うと次のようだ。「一時は不足すると騒ぎになった新型インフルワクチンが大量に余りそうだ」、「大量に余ったことに、医療機関には政府を批判する声もある」、「足りないよりよかった。むしろ大切なのは余ったワクチンをどうするかだ」、「日本も契約解除がどこまで可能か交渉すべきだ。途上国に対する支援を含めて、新たな活用策も考えてほしい。ワクチンには使用期限がある。余らせた揚げ句に廃棄ではもったいない」、「そもそも、ワクチンの大量購入にいたったのは、国内のワクチンの製造・供給体制が十分でないことが背景にある。これを抜本的に強化する方策や副作用の補償制度など、検討すべき課題は多い」と。途上国に残り物を押し付けるなど失礼な話だ。死亡したり、重度の障害を負わされた被害者を救えるはずがない。根拠の希薄な底なしのインフル無駄遣いをやめて、生活苦で歳も越せないホームレスの人々などへの支援に回したらどうか。

タミフルが環境汚染!

わが国は世界のタミフルの7割を消費するという。それを含む排泄物や飲み残しが河川に流出し、それを水鳥などが飲んで、体内でウイルスと接して、変異を起こして薬が効かない感染力の強いウイルスが生まれる可能性があるという。これについて、日本薬剤師会が調査を始めたとのこと。冬の渡り鳥は、下水処理場からの温かい水を好む傾向があることも要因となっている。とにかく、タミフル消費の「とんでも大国」日本、副作用も垂れ流しの哀れな姿だ。

●インフル新薬による薬漬け医療が進行中

 311日付読売に「新型インフル治療薬充実」の見出し記事が載った。インフルにもいろんな抗ウイルス薬が目白押しに登場し、薬漬けが始まろうとしている。タミフルで、もう沢山だと思っていたのは甘かった。新型インフルは発症直後から重症化しやすいとの根拠を捏造し、製薬各社が開発競争している。タミフル系統のノイラミニダーゼ阻害薬の多様化のほかに、RNAポリメラーゼ阻害薬まで出現した。RNA合成を阻害したら、これまた全身性に副作用が出ること必然であろう。

●病院にかからないことが第一健康法

 病気の早期発見があたかも健康維持の秘訣であるかのような世論がマスコミによって作られた。それをうまく利用したのが、筆者が指摘した「病院囲い込み」政策である。上記のように、ワクチン・タミフルには薬効よりも負の側面が強すぎる。筆者の歯科医院の中高年のお客には、薬漬け医療の餌食になっている方が年々増えている。「病院で検査してもらってわざわざ病気をもらってこないように」とアドバイスをするが、検査値の異常=病名の宣告=毎日の薬の服用、を医師から説得され、それを鵜呑みにする人がほとんどだ。交感神経の過剰緊張によるアドレナリンの分泌過剰を是正するような生活指導はほとんどなされない。インフルの話からそれたが、最近よく「インフルに罹ったら外出を控えるように」を耳にする。健康人が風邪の一種のインフルで、いちいち仕事を休んでおれますか? 風邪を食い止めること自体、できない注文だし、食い止める必要もない。軽い風邪ならば、仕事をやったほうが早く治る。早めに自分に合った市販の風邪薬を少なめに飲んで、「臼田式」ぬれマスク、予防嚥下法などを活用していただきたい。また、タオルを絞って、冷蔵庫の氷を一つ入れて丸め、額に乗せて寝ると効果が大きい。首にタオルかスカーフを巻いて温めるのも忘れずに。

以上の諸問題を整理・検討し、厚労省や国立感染研、民主党などへの公開質問状を考えていく必要性が高まってきた。


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