■わくちんトーク37  2010 ワクチントーク全国集会報告

          臼田篤伸 (代表幹事 風邪・インフルエンザ・がん問題研究者)


●「今考える、新しいワクチンの問題点」

これが今回の集会のメインテーマだった。

829日、標記研究集会が港区の芝公園福祉会館で開催された。以下のような重要課題に的を絞った講演と質疑が行われた。とりわけ、子宮頸がんワクチンに対する疑問が噴出し、各地自治体の女性議員も多く参加し、白熱した討論が交わされ問題点が浮き彫りになった。

新しいワクチンの考え方 うつる病気の基本母里(もり)啓子(ひろこ)氏(ワクチントーク全国代表)母里氏は1960年代伝染病研究所にてウイルス学を専攻、医学博士、公衆衛生院疫学部感染症室長などを歴任された方だが、一貫して厚労省の予防接種行政に疑問を持ち批判してきた。感染症に対する基本的な考え方をわかりやすく解説した。まず、「うつる病気にかかってはいけないのか」という根本問題から説明。「うつる病気を全てワクチンで予防する必要がある」との誤った考えが今日のワクチン万能主義をはびこらせた。ワクチンは、そもそも、激しい感染症に対して国策として始まった。そして、いろんなバリエーションが生まれ、接種が拡大されてきた。被害認定者を厳しく絞り込んだ上で、その人たちにお金を送って済むものかどうか。それをもとにワクチンをどんどんやっていくのでよいのか。厚労省は「新型が出た時、打ちやすいようにワクチンに慣らしておかなければいけない」と平気でいう。高齢者でワクチンを打たない人が死ぬとインフルエンザが原因といい、ワクチンを打って死ぬと持病のせいだという。新型騒動が収まったところで、ワクチンに慣らしておくために、ここにきて子宮頸がんワクチンがクローズアップされてきた。かつて1990年代前半にインフルワクチンが副作用被害と無効性により否定された時、MMRワクチンを導入。その副作用の無菌性髄膜炎で千人以上が被害認定されるなど大騒動となった。こういう歴史の繰り返しだった。以下に、復活したインフルワクチンの更なる拡大と、最近注目されているワクチンについて、専門的立場の方々から解説があった。

●予防接種法改正の問題点と新型インフルエンザワクチンー古賀真子氏

 ワクチン行政のあり方をめぐって、以下のような問題点の鋭い指摘があった。

@わが国のワクチン行政は20年遅れたとの推進側の論理に対しては、遅れたのではなく、「いらないワクチン」を強制されない運動の歴史を築いて来たかである。東北大名誉教授・吉原賢二氏による被害者の全国的調査がなされるまでは、ワクチンの被害者は存在しないことになっていた。それを引き継いだワクチントーク全国の粘り強い戦いがあったことが挙げられる。しかしながら現実には、副作用多発などにより中止されたワクチンが、原因、評価がうやむやにされたまま、忘れたころに復活するという歴史を辿ってきた。その背景にあるのは、厚労省、マスコミによって、受けるのが当たり前で、それをどう受けさせるか、公費助成をどうするかがばかりが議論されてきたことである。安全性、必要性などお構いなし、議員の人気取りにさえ利用されているのが実体だ。とりわけ、外資系企業の見解を審議会に出し、一所懸命国に対して申し入れを行っている。莫大な国費を使い、臨床試験の済んでいない外国産ワクチンの大量購入などがその例である。

A今回の予防接種法改正の問題点として、新型インフルエンザワクチンでは、有効性、必要性、安全性について疑問があり、現予防接種法を改正してまで公的接種とすることには強く反対するとの意見表明がなされた。

●肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンについて―山本英彦氏(小児科医)

 ★ヒブワクチンについての概略は『ワクチントーク31』で述べた。HIB(ヒブ)とはインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae b)の略称。インフルエンザウイルスとは関係ない。インフルエンザ桿菌はカプセルを持つものと持たないものがあり、持つ方が毒力強く、タイプaからfまである。小児の細菌性髄膜炎の原因菌の5割以上がタイプbHIB)。重症化しやすい。健康な就学前児、学童の2−5%がこの菌を保有。そこでこのワクチンが開発された。現在世界の110カ国以上で接種が行われている。日本ではHIBワクチンの認可が遅れ200812月から一般に始まった。効果の正式な統計は出ていない。アメリカでは、このワクチン前後10年を比較すると、5歳以下の侵襲性HIB感染症は99パーセント以上減ったという。ただし副作用はつき物。アメリカで予防接種翌朝、SIDS(乳幼児突然死症候群)と暫定診断される例が発生。今後の有効性調査のサーベイランスの充実が必要。

★肺炎球菌ワクチンについて

肺炎球菌はカプセルによって血清型が90種類に及ぶ。主として7種が小児に侵襲性疾患を起こす。この7種がワクチンに含まれる(PCV7)。小児では2159%が、ある時期にのどに保菌。一度新種がのどにつくと、15%は1ヶ月以内に中耳炎などを発病。新生児、乳幼児、高齢者の疾患頻度が高い。2000年にワクチンが導入された。1998年と2006年の比較では5歳以下でワクチンタイプの侵襲性疾患は99パーセント減少。全ての侵襲性疾患は77%減少。肺炎球菌ワクチンは、7価、23価、13価などがある。7価ワクチン導入の2000年、7種は肺炎球菌菌血症の88%、肺炎球菌髄膜炎の82%、肺炎球菌中耳炎の70%を占めた。いろいろ増えて、いたちごっこの状況。ワクチンの副作用では、とくに発熱がきつい。副作用の研究は遅れていて、突然死で片付けられるケースがある。HIB5歳以下に、肺炎球菌は成人、とくに高齢者に多いため、この年齢層がワクチンのターゲットになる見通し。

●子宮頸がんワクチンの考え方―堀口貞夫氏(産婦人科医)

 降って湧いたように現れたこのワクチンをめぐって、厚労省から正しい情報がほとんど提供されていないことがわかった。このワクチンも米・英の大手製薬メーカーによって、日本などを標的としてロビー活動が行われている。新型インフルの減少に伴って、それを補完する目的を併せ持つワクチンとして、メーカー、業界が強力に宣伝に乗り出した。がんの予防ワクチンとして初登場だが、その効果を始めとして、実体はきわめて不鮮明なことが白日に曝された。まず、子宮頸がんの主原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)とみられている。その種類は200種にも上るが、その中で発がん性HPVは現在15種に絞り込まれ、そのうちの発がん性の高いとされる2種(16型と18型)がワクチンに組み込まれている。ところが、厚労省が承認したグラクソ・スミスクライン社のワクチンには日本人にガン発生率がやや高いウイルス(5258型)が組み込まれていない。このほかに多くの問題点があるので、各地の自治体で一斉に始まった子宮頸がんワクチン助成“運動”の妄動を堀口氏の講演をもとに少し掘り下げてみたい。

子宮頸がんワクチンの妄動

耳慣れないこのワクチンの運用について情報が極めて少ないのに、日本中(世界中)が子宮頸がんワクチンの“熱病”に冒されている。欧米ワクチンメーカーの巧みな売り込みに乗せられた日本の製薬会社、ワクチン推進学者らが一体となって厚労省に働きかけ承認を取り付けた。効果、臨床試験、副作用などほとんど明らかにされておらず、その背景は疑惑に満ちたものである。

●「サーバリックス」とグラクソ・スミスクライン社――欧米大企業の意のままに操られるわが国のワクチン行政

現在子宮頸がんワクチンは米・メルク社の「ガーダシル」と英・グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」の二つがある。厚労省が承認したのはグラクソ社の製品。同社は「予防効果がどのくらい続くのか、追加接種が必要か」は不明とした上で、半年に3回接種で、最長で6.4年位の効果持続程度とあいまいなものだ。「根拠の極めて乏しいワクチン」を裏付けている。同社は昨年10月当時のサーバリックス承認前後は、新型インフルワクチン購入契約で厚労省と交渉中であり、過剰ワクチンのわが国への押し売りとサーバリックス承認要求とを巧みにセットにしたと推理される。なぜ同社のワクチンのみが続けて承認されたのか、合理的な説明が必要である。

欧米合理主義の典型

当然のことかも知れないが、高度の科学技術をビジネスとしてそろばん勘定で割り切ることが絶対的に優先する経済社会、これが白人社会が生み出した「欧米合理主義」といえるように思う。よってインフルエンザにしろ、子宮頸がんにしろ、自然治癒対策など始めから頭にない。とにかく高い製品を売りつけることが目的だ。よって、安上がりで体にやさしい自然治癒対策は骨抜きとなる

●新型騒動後の空白期を狙った

ワクチン行政の大黒柱・インフルワクチンは学童へ義務として集団接種を年2回繰り返してきたが、その効果の疑問と副作用事故多発により1994年に義務接種から外された。その空白を埋めるために今度はMMR(新三種混合)ワクチンが義務付けられたが、その中の「おたふくかぜワクチン」で無菌性髄膜炎が乳幼児に多発、4年で取りやめになった経緯がある。ところがワクチン推進派の激しい巻き返しが起こり、「インフルエンザは風邪じゃない」キャンペーンが大々的にマスコミ報道された。その結果、ワクチン・タミフル至上路線が敷かれたのである。

 戦後のわが国のワクチン行政は、インフルワクチンと一体になって推進されてきた。今度の子宮頸がんワクチンキャンペーンもその流れの一つ。グラクソ・スミスクライン社の売り込み手口は新型インフルでぼろ儲けした後の空白を見越した悪質商法だ。

効果は疑問だらけ

 HPV(ヒトパピローマウイルス)は100200種類もあり、性器癌から検出されるHPV15種類くらいに絞られ、さらに日本人では16,18,52,58,33,31,35型の7タイプの検出頻度が高いのが特徴。ワクチンが対象とするのは1618型の2種類。子宮頸がん患者からはトータルでこの2種類の型が約6割に過ぎない。それをあたかも100パーセント効くかのごとくに宣伝されている。この6割でさえ確実に防ぐ保証はない。しかも注意すべきことは、一度HPVに感染してしまうと効果がないというのだ。これが初交前の女子中学生に接種が勧められる根拠だ。同ウイルスによる動物の発ガン実験は一切行われていない。HPVだけでがんは発生するのではなく、局部の環境要因、性交に伴う物理的要因、体の免疫低下などが密接にかかわって発がんに至るとみるのが自然である。

●死亡を含む副作用も多発

わが国ではこのワクチンの接種が始まったばかりで副作用の実体把握のしようがない。欧米ではどうだろう。インターネット『THINKER』には死亡例が多数報道されている。世界各地でも接種拡大の動きが広がっている。インフルパニックの次は「子宮頸がんパニック」が起こりそうな気配がある。

●子宮頸がんの発生機序

癌という病気は、あたかも突然運の悪い人を襲うかの誤解があるように思う。HPVが実際感染しても発病率は極めて低い。パピローマウイルスの感染のみが癌発生の原因と決め付けているが、まことに疑問である。がんの中にこのウイルスがいたというだけのことであって、一般的な常在菌がいたに過ぎないのではないか。この点、胃がんの発生とピロリ菌(胃の常在菌)の関係に似ているように思う。堀口氏は「ウイルスは感染してもすぐ発症するわけではなく、ほとんどは途中で剥がれ落ちて消えてしまう。がん化するのは感染者のうち0.15%程度ときわめて低い。がん化するには十数年かかることが多く、検診でがん化の2―3段階手前のものがわかるので子宮ガンは検診したら防げる」という。

●自然予防対策は骨抜き

この病気が大変プライベートな場所に起き且つプライベートな行為に伴って発生することもあって、がん予防のための望ましい性行動論議がなされた形跡がない。とにかくワクチンをやることが「正義」という論法だ。欧米合理主義、ワクチン至上主義そのものである。コンドーム装着など節度ある性行動、定期的な検診が最も確実な予防法といえそうだ。

●安全な性行動の指針が求められている―パートナー同士の清潔意識が不可欠

厚労省は適切な情報を国民に伝えなければならない。かつてのエイズ騒動の時に、コンドームの普及運動が起きたのは記憶に新しい。子宮頸がんがそんなに恐ろしい病気ならば、結婚前の10代の女子の性行動において、男子に対してコンドームを要求することと、お互いの局部の清掃を行うのが当たり前と思う。義務教育や高等教育の最中に行う快楽の性行動に、基本的予防行為をないがしろにして、なぜそんなに手厚く、かと言ってたいして「役立たず」の保護を行うのか理解できない。

ライフスタイルの改善と副交感神経の刺激で癌化を防ぎ、罹っても命落とさず

健康的でストレスを溜め込まない生活を送っている人では、ウイルス感染細胞やがん細胞が発生してもリンパ球がそれらを殺し、排除してくれる。これには副交感神経の働きを高めるような明るく前向きなライフスタイルに心掛ければよい。逆に、いつもイライラしてストレスだらけの生活をしていると、交感神経の働きが強まり、顆粒球が余計に増え活性酸素が体中に満ち溢れることになる。とりもなおさずそれはリンパ球が減少し、がんが発生して増殖しやすい体内環境である。この人たちがわずか「0.15%」の中に含まれる人と思って大過ない。よってパピローマウイルスなど常在菌の一種と思えばよい。安保徹氏の「白血球の自律神経支配」の法則はここでも生きている。

 

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