わくちんトーク41 東日本大震災とインフル政策

臼田篤伸 (代表幹事 インフルエンザ・風邪・ガン問題研究者)


1000年に一度の自然災害であっても言い訳は許されない

 ―安全と国が言うから怖くなりー これは10年前の読売時事川柳大賞に選ばれた句です。まず、この度の地震、津波、原発の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

「想定外」のフレーズが責任の所在者たちから聞こえてくる日々ですが、津波の被害について地震学者はどのように説明するのでしょうか。「1000年に一度だから仕方なかった」のですか。「巨大な防波堤・原発は、津波から安全」のお墨付きを与えた当事者達は今沈黙を守っているようです。自然災害というよりも人災の言葉がぴったりの今度の災害です。津波の威力が、専門家の唱える数字より一桁違っていたようです。

●消えたインフル報道

 今度の震災の直後、一部の新聞には一時的にインフルエンザ流行の報道があったが、その後ぱったり途絶えている。ワクチンの報道も全くない。信じられない状況といってよいだろう。実のところ、インフルやワクチンなど云々する場合でないことを推進者達は知り尽くしているのだろう。95年の阪神大震災の際に当時の厚生省は17万人分のワクチンを製造した。ところが受けたのはたったの2600人で、残りを廃棄処分した経緯があった。当時、インフルワクチンの無用性が知れ渡り生産が激減した時期でもあり、推進派が巻き返しを狙って震災を利用した結果だった。今度の震災でも避難所などでのインフルの流行は聞かれず、被災者の生活が逼迫した状況の下でワクチンなど言い出したら、袋叩きに遭うのを熟知しているからであろう。

●インフルの現状はどうか

 現在、被災地を含め、インフルの流行は極めて少ない状況が続いている。A香港、B型の散発的流行程度である。被災地など集団生活を強いられている地域では、個人の予防努力が求められている。感染者が被災地へ行くのは控えるなど、月並みの注意が感染研から出されている。また、被災地に入る人はワクチン接種を受けてからにするなど相変わらず陳腐な呼びかけをしている。昨秋の残りもののワクチンを受けろということか? 今年のワクチンはまだ出来ていないはずだが・・・。

●被災者にワクチンのニーズがあるのか

 衣食住に不自由な状況下では、風邪の一種に過ぎないインフルワクチンの要望など出るはずがない。過去の阪神大震災で経験済みのことであるからだ。仮設住宅の建設がままならない状況では、被災者は精神的にもまいっている。衣食住の充実をまず図って安心できる生活空間を作ることが優先される。一回数千円かかり、しかも副作用のおまけつき、ほとんど無益なワクチンなど言い出せないのは当然だ。ワクチンよこせなどどこからも聞かれない。こういう状況では、人々は交感神経が張り詰めているのである。よって、リンパ球の過剰反応が起きない。すなわちインフルなど風邪は重くならない道理がお分かりであろう。安保教授の「白血球の自律神経支配の法則」そのものだ。

●インフルワクチンの無用性、改めて露呈

 未曾有の自然災害を前に、インフルエンザなど微々たる災いであることが見え見えである。本当に必要なものならば、こういう時にこそ推進者達は堂々と「インフルエンザの深刻な被害が発生する」と主張すべきである。自らのインチキがばれるから言い出せないのが実状であろう。こそ泥のように正体を隠している。一昨年来の新型インフル騒動で、インフルワクチンが大量に余り、これから廃棄するものがまだ大量に残っているのが実体だ。今こそ、われら市民がインフルワクチンの無用性を当局に対してはっきり示していかなければならない。

●インフル対策はウイルスを撒き散らさないことと自然治癒的初期消火に絞れ

 インフルを撒き散らさないとは、セキなどでウイルスを周辺に放出しないように、マスクをきちんとかけて外出することである。花粉症シーズンとちょうど重なったせいか、インフルの流行も抑えられているのであろう。インフルの発症はほとんどが、夜中の睡眠中である。睡眠時の予防策として、「ぬれマスク」がお奨めなのは今更言う必要もなかろう。風邪(インフル)も、火事と同じで初期消火が命である。

●無駄なワクチン・タミフルの備蓄の実体を国民の前に明らかにせよ!

 ワクチン推進の御用学者たちは、H5トリインフルエンザの大流行を宣伝し、莫大な国費を使って世界初のトリインフルワクチンを作り、年間3000万人分もの備蓄を行っている。1000万人分が毎年期限切れとなり廃棄され、新たに製造される手筈になっている。毎年その額60億円。話は遡るが、2010年1月下旬、流行が終わったのに、カナダから新型ワクチンの輸入まで行った。既に契約済みで解約できなかったようだ。その期限切れも時間の問題だ。

 一方のインフル薬・タミフルとリレンザは、国と都道府県を合わせた備蓄量は1011月末現在で、6000万人分、国民の約45パーセントに相当する。そのうち、ロシュのタミフルが9割の5200万人分、グラクソ・スミスクラインのリレンザが800万人分となっている。副作用事故を巧みに隠蔽して、官・業癒着のインフル行政が相変わらず進行中である。これらも来年度から順次、期限切れを迎え、そのたびに60億円以上の費用がかかる。新たに開発される新薬も参入を狙っている。

●震災復興にインフル関連の無駄金を回せ!

 感染研の感染症情報センターが出した「被災地におけるインフルエンザの予防対策について(第2報)46日現在」でも、抗インフルエンザ薬の宣伝を怠らない。そのくだりは、「インフルエンザは多くの場合自然治癒しますが、抗インフルエンザ薬(タミフル・リレンザなど)が入手できるようであれば、発症が疑われる段階で速やかに抗インフルエンザウイルス薬による治療を行ってください」とある。ワクチンについては、「多くの方々を対象に接種を行うことは、現時点では困難であり、優先的な対策ではありません。これから膨大な人員、ワクチン、費用を費やして準備を行い、ある程度の日数を経てインフルワクチンの接種が可能となった時点で接種を行っても、ワクチンの接種後に効果が現れてくるまでには2週間以上を要するため、その頃にはインフルの流行が収束傾向になっていることも予想されます。−中略―今の段階では、ワクチンによる予防より治療とワクチン以外の方法での予防が優先であると考えられます」と述べる。大震災を目の当たりにして、国民に対し、いい加減に言葉を濁しているのがわかる。この際、官・業癒着の役立たずのインフル予算を大幅に減らして、それを被災者の生活向上に当てるべきである。

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