わくちんトーク50 反原発運動に対する「大阪大弾圧」

   臼田篤伸  代表幹事 インフルエンザ・風邪・がん問題研究者


関西で吹き荒れた弾圧の嵐 

 201255日北海道の泊原発の停止によって全ての原発がストップした。しかしそれも束の間、71日には大飯原発が再稼動した。関西を中心とする反原発グループは大飯原発の再稼動後、活動拠点を大飯から大阪に移した。大飯の「原発再稼動反対監視テント」の大阪版が大阪市役所前に出現した。主な目的は橋下徹大阪市長の監視と彼が強行しようとしている「震災がれきの広域・焼却処理」に反対するためのテントであった。このグループが此花区民ホールロビーで行った抗議行動に対して、大阪市と警察は多数の機動隊員を一気に突入させ、警告なしで4人の活動家を狙い卑劣な逮捕を行った。このほかに、福井と関西電力本店前などで不当逮捕・起訴が相次いだ。

●橋下市政下で反対派を暴力的に逮捕 

維新の会」などと美名を唱えつつ、反面で、右翼的・反動の刃を研いでいる橋下徹大阪市長の下で行われている反原発運動の弾圧は、常軌を逸するものである。彼は当初、大飯原発再稼動反対の意思表示をしたものの豹変し、関電や大手企業の立場を優先する路線を突き進んでいる。それどころか、反対派を暴力で弾圧する極めて悪質な手段に出ている。原発反対派を排除しつつ、再稼動推進の露払い役を果たしているのが橋下大阪市政と見ることができる。

●此花(このはな)区民ホールで起きたこと

 昨年1113日、大阪市によるがれき焼却についての住民説明会が開かれる直前に、監視テントのメンバーを中心に此花区民ホールの会館時間内に、同ホールの前で、「がれきの広域・焼却処理反対」「焼却は危険」「がれきは利権」などの反対の声を上げていた。その時、集まっていた20数名に対し100人以上の警官があっと言う間になだれ込み、指を差し、名指しまでしてメンバーのうち4人が警察により逮捕連行された。3人は建造物侵入、1人は連れ去られようとする仲間を助けようと警官の腕をつかんだとか振り払ったとかでの公務執行妨害だった。最長の拘留期間を経て、124に公務執行妨害の人は釈放された。建造物侵入の3人は、この容疑では起訴できないとの判断からか同日、威力業務妨害に罪名を変更し起訴した。3人は今も弁護士以外の接見が禁止されている。

●警告なしに活動家の狙い撃ち

 今回の一連の逮捕は、公安警察主導の下で行われた活動家の狙い撃ちであった。彼らは311以前はいかなる運動とも無縁だった人たちである。その一人がうちの息子だった。市民の反対の声と行動を公安警察を使って封じ込めるやり方は、戦前の治安維持法による社会主義者の弾圧と相通じるものである。

●下地真樹・阪南大学准教授ら2人逮捕=前代未聞の弾圧

 この起訴から5日後の12/9朝8時に新たに2人が逮捕された。その1人が阪南大の下地准教授だった。2ヶ月まえの1017JR大阪駅前で「がれきの広域・焼却に対する抗議」の声を上げ、その後駅構内を通過したとして、威力業務妨害、鉄道法違反、不退去で2ヶ月遡っての驚くべき不当逮捕だった。同日午後5時から行われた「放射能がれきストップ!11月試験焼却/大阪市役所包囲行動」に先立ち、午後3時から、大阪駅・北東角の歩道上で45分程度の街頭宣伝を行った。終了後、参加者は駅構内のコンコースを大阪市役所に向けて三々五々歩いて移動した。その際、JRの管理職らが多数動員され、一行の移動を妨害した。駅構内を抜けたあと、今度は公安警察が移動中の参加者を執拗に妨害してきた。参加者は妨害に対して抗議しながらも整然と大阪市役所に向かい、5時からの包囲行動に合流した。これだけのことに対して2ヵ月後に三つの罪名をかぶせて事後逮捕に及んだのである。1113大阪説明会の会場前で4人を逮捕し、3人を罪名変更してまで無理な起訴を強行した上で、さらに2人を逮捕するという前代未聞の弾圧であった。あとの下地氏ら2人に関しては広範な人々の抗議の声の前に、検察は処分保留で釈放に追い込まれた。

●罪名を変更して6人起訴拘留中

 関西での一連の反原発行動に関連して、昨年末時点で6人が起訴拘留されている。一人の方は既に裁判が始まっている。大飯原発再稼動阻止行動で初めから現地で抗議活動していた方である。今回の大阪大弾圧で、警察は「建造物侵入」「公務執行妨害」容疑と発表したが、貸会議室や図書館のある複合施設の通路に会館時間内にいることがどうして「建造物侵入」なのか、何ら警告なしにいきなり市民に襲い掛かった警察官がなにゆえに一方的に「公務執行妨害」などといえるのか。仕方なく検察は、「威力業務妨害」という何ら妨害事実のない無実の罪状を作り上げての起訴となった。大阪市が大阪府警とグルになってあくまで汚染ガレキの焼却(20132月本焼却開始予定)に突き進むためであり、そのための障害除去が目的なのである。

●原発再稼動推進のための謀略

 以上のように、虚偽の事実でもって、原発の危険性をまじめに考え行動している善良な市民を逮捕拘留するなど、前代未聞の恥知らず行為である。この「大阪大弾圧」から言えることは、経済論理最優先の下、人権無視を繰り返しつつ原発を推進する横暴集団が、日本の政治を牛耳る時代に成り下がってしまったとも言えるのではないか。また、先の総選挙の結果を見れば、この国の多くの人々が原発推進派を結果として選択したのであり、誠に情けない人間集団に成り下がってしまったのであろうか。

●原発再稼動にひた走る安部政権

 政権を奪回した安部政権は、原発災害を反省するどころか逆に開き直って、発足早々に原発再稼動および新設促進を打ち出した。かつての自民党が推進してきた原発建設推進路線の復活を公言した。原発問題は自民党が作り出した張本人であるから、原発再稼動と事故に対する情報の隠蔽、東電を始めとする関係者の責任を曖昧化するのは当然のこととなろう。支持率が大して高くもなかった自民党が、圧倒的多数の議席を獲得できた小選挙区制度の怖さが露呈した暮れの選挙結果でもあった。二度の原爆投下、1999年のJOCの臨界事故による被爆死、福島原発事故による放射能垂れ流しと被爆、厖大な人々の強制的避難生活などを体験した国民が選択した政権である。この国の世論は、世界に恥を曝したとも言えるのではなかろうか。

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